絵にしろ、童話にしろ、夢のあるものを描くには、失ってはいけないものがあります。
それは、「子供心に対する慈(いつく)しみ」です。
どんなに上手に描けた作品でも、この心の部分が欠けていると、子どもに良質な夢を与えることはできないと思います。
では、「良質な夢」とは、具体的にどんなものでしょう。
それは、人間性を豊かにする、他者に対する思いやりの心を育む、真実を見抜く目を培(つちか)う、など、面白さや表面上の美しさを越えたところで、子どもの成長をうながすような、内面性を持った作品のことです。
ここで、注意しなければいけないのは、私の言う内面性を持った作品とは、教育やしつけを目的とした作品のことではない、という事です。
人間には、生まれながらに備わった、良心というものがあるので、ことさらに教育を意識して描かなくとも、作品そのものに良心の滋養になるものが含まれていれば、それを子どもたちは感じ取って、きちんと吸収してくれるものです。
だから、描き手はむしろ、教育的であることよりも、作品をいかに心の滋養に富んだものにするかに、心を尽くすべきだと思います。
エンターテイメントを追求したり、教育的な内容になるように気を配ったりするのも、作品を形にするひとつの方法ではありますが、子どもが心の豊かさや多面的な物の見方を獲得するには、より感覚的で内面的な作品が必要になってくると思いますし、今のような刹那的で即物的な時代には、子どもにより深みのある作品と接する機会を与える事が、成熟した人間性の育成という点で、以前にもまして重要になって来ているとも感じます。


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