交流サイトで知り合った四人による共作童話、『クリスマスの天使』の、第8話です。
このお話は、今回の8話で完結です。

描き下ろしの挿絵と一緒に、お楽しみ下さい。

前回までのあらすじ
クマのお医者さんと、ブルドッグの刑事さんのがんばりで、とうとうブタの宝石商さんは、ウサギのシュンくんに宝石を拾ってくれたお礼を支払うと約束したのでした。


クリスマスの天使

作:Kobito、nao、かまど猫、Sian
絵:Kobito

第8話

その夜、トチリさんが仕事を終えて家に帰ってみると、いつもは薄暗い部屋の窓から、こうこうと明かりがもれていて、中から楽しげな歌い声や笑い声まで聞こえて来るのでした。
玄関を開けると、立派なクリスマスツリーのそばに座ったシュンくんが、真っ先に気が付いて、「おかあさん、お帰りなさい!メリークリスマス!」と言いました。シュンくんのそばには、ワインのボトルを抱えたクマのお医者さんと、ブルドッグさん、コリー犬さん、それに、もこもこに着ぶくれたかわいらしい子供が二人いて、暖炉には暖かな火が燃えていて、部屋はおいしそうな匂いでいっぱいでした。
「メリークリスマス!なんだかにぎやかねぇ。まあ、ご馳走もあるわ。」
トチリさんは、たくさんの料理がならんだテーブルを見て、にこにこしているみんなを見回すと、クマのお医者さんに支えられて歩いてきたシュンくんを抱きしめながら、
「ずいぶん元気になったのねえ。いったい何があったの?」
と聞きました。
シュンくんは、「いろんなことがあったんだ。いいことばかりだよ。どれから話そうかな。」と言いました。
クマのお医者さんが、
「天使の奇跡さ。そして、シュンからの、クリスマスプレゼントさ!」
と言ってワインのボトルをかかげました。
シュンくんは、クリスマスツリーの下から、大きなガラス瓶を引っぱり出すと、お金がたくさん詰まったその瓶をトチリさんに渡して、
「このお金で、ぼくのお薬代を払ってね。それから、おかあさんが前から買いたいって言ってた、車を買ってね。」
と言いました。クマのお医者さんが、大金にめんくらったトチリさんにはお構いなしに、
「車!そうだ、トチリさん、わしは今、運転手も兼ねた助手を探しているんだがね。どうだろう。シュンと一緒にうちに来て、住み込みで働いてみらんかね。部屋ならいくらでも余っているし、シュンがわしの家にいれば、働いている間も安心だろう?」
と聞きました。
ブルドッグの刑事さんが、「私どもは警察署の者です。事情は、これからシュンくんがお話ししますが、このお金は、確かにシュンくんの物です。親御さんにお渡しするのを、見届けるために、お待ちしていたのです。」
と話しました。
トチリさんは、あんまりいろんなことがいっぺんに起きたので、びっくりしてしまって、涙をぽろぽろこぼしながら、
「これは、夢じゃないわよね。きっと夢みたいな、すごいことが起きたのね。そして、それは、みんながシュンのために起こしてくれたことなんだわ。」
とつぶやきました。
天使たちは、トチリさんがシュンくんに案内されて、ご馳走の並んだ食卓に着こうとしている時に、そっと家を抜け出しました。
ヨルダは、空を飛んで、天に昇りながら、
「シュンくんを幸せにしたのは、クマのお医者さんや、ブルドッグの刑事さんだったねえ。」
と言いました。
ヒルダは、ちょっと後ろを振り返ると、
「だけど、みんなが幸せそうにしていたから、これでいいのよ!」
と言って、ヨルダと手をつなぐと、また仲良く天を目指しました。
さて、この二人の天使たちは、何か一つだけ、大事なことを忘れているのですが、分かりますか。それは、クマのお医者さんから借りた服で、自分たちが今でももこもこに着ぶくれている、ということです。
ですから、私は、ひょっとすると、来年のクリスマスも、クマのお医者さんの、あの緑色の屋根のお屋敷に、二人が借りた服を返すために、舞い戻って来てくれるのではないかな、と、ちょっぴり期待をしているのです。

おしまい


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あとがき
このお話は、今まで書いてきた作品の中でも、特に気に入った仕上がりになりました。共作に参加された方が、要所要所でアイデアを出してくれたおかげで、想像力が刺激されて、書きはじめの予想以上に、物語が奥行きと広がりのある豊かなものになったからです。
双子の天使、クマのお医者さん、ウサギの母子、小瓶に入ったきらきらしたもの、これら物語の根幹を成しているキャラクターや設定、アイテムは、共作者のnaoさん、かまど猫さん、Sianさんが考えてくれたものです。お三方のアイデアがなければ、この物語自体、成立する事はありませんでした。
一人で物語を書くのに比べて、共作はお話がどう展開するのか分からないという点で、書き進めるのがとてもスリリングでしたし、それを完成させることができた、という事が、私にとって、とても大きな自信になりました。
この経験をまた、次の作品作りに生かして行きたいと思っています。
参加されたお三方、楽しい共作を本当にありがとうございました。^^

Kobito






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コメント:
この記事へのコメント:
お話作りに参加させていただいたSianです。
こんなにすてきな絵をつけてくださるなんて感激です!
宝石泥棒がたいほされてすんなり終わるかと思いきや、小憎らしいブタさんがなんていいお仕事を…(笑)
他のキャラたちも見事に動かしてくださり、すばらしいハッピーエンドにしてくださってどうもありがとうございます。
とても楽しい体験でした♪
2017/02/06(月) 13:37 | Sian
Sianさん、
見に来てくれてありがとうございます。^^
小憎らしいブタさん、宝石泥棒よりも憎らしいほどの名演でしたね。^^
参加者それぞれが、魅力的なキャラクターを登場させてくれたから、物語を書き進めるのがとても楽しかったです。そして、最良のハッピーエンドにできて、私もすごく嬉しいです。
そして、参加されたSianさんに、楽しかったって言ってもらえたので、それが一番の喜びです。^^
2017/02/06(月) 17:14 | kobito
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共作童話 『クリスマスの天使』 第8話 お母さんへのプレゼント|Kobitoのお絵描きブログ