交流サイトで知り合った四人の共作で完成させた童話、『クリスマスの天使』の、第7話です。
描き下ろしの挿絵を、テキストの一番下に貼ってあるので、物語と合わせてお楽しみ下さい。

前回までのあらすじ
ブタの宝石商さんは、宝石を拾ってくれたウサギのシュンくんにお礼も言わないばかりか、ひどい言葉を投げつけます。
双子の天使もクマのお医者さんもかんかんに怒って…。

クリスマスの天使

作:Kobito、nao、かまど猫、Sian
絵:Kobito

第7話

「なんて野郎だ!」
「ひどいわ!」
「ひどいよ!」
ヒルダとヨルダも、クマのお医者さんと一緒になって怒りましたが、ブタの宝石商さんは、ふんっと笑っただけでした。
ブルドッグの刑事さんは、口をへの字に曲げて、その様子を見ていましたが、おもむろにブタの宝石商さんに、
「世話になって礼を言わんのはけしからん。それに・・・、」
と言って、シュンくんの頭をやさしくなでながら、
「あんたには、拾って届けてくれたこの子に、最低でも五パーセントのお礼を渡す法律上の義務がある。宝石を五パーセント分、砕いて渡すかね。」と聞きました。
ブタの宝石商さんは、ぽかんとしていましたが、すぐに目をまん丸にして、
「とんでもない。そんな事したら宝石の価値が大きく下がっちまう!」
とどなりました。
ブルドッグの刑事さんは落ち着き払って、
「では、代わりに宝石の価値の五パーセント分のお金をシュンくんに支払いなさい。あんたの届けでは、宝石の価値は一個一億マニーだったから、二個で二億マニーだな。二億マニーの五パーセントはいくらだね?」とたずねました。
ブタの宝石商さんが、うつむいて返事をしないので、クマのお医者さんが代わりに、
「一千万マニーですな。」
と答えました。
ブタの宝石商さんは、急にベッドのそばにひざまずくと、シュンくんに猫なで声で、
「君、まさか拾っただけで、そんな大金をよこせなんて言うんじゃないだろうね。そんな厚かましいことは、いくらなんでも言わないだろうね。」
と聞きました。
ブルドッグの刑事さんは、シュンくんからブタの宝石商さんを遠ざけながら、
「シュンくん。では五パーセント分の宝石をもらいなさい。今から石工のガンパチの所へ行って、ハンマーでパチッと砕いてもらおう。」
と言いました。
「やめてくれ!刑事さん!金は支払う!」
ブタの宝石商さんは、たまらずそう叫ぶと、立ち上がっておろおろ声で、
「しかし、そんな大金を持って行かれたら、私の儲けがなくなってしまうじゃないか!」
と嘆きました。
ブルドッグの刑事さんは、ふところから一枚の写真を取り出すと、そこに写ったヘルメットをかぶったモグラさんの姿を、ブタの宝石商さんに見せながら、
「そんなことはあるまい。あんたがこのピンキリ―の採掘師から、いくらで宝石を手に入れたか、我々が調べを付けていないとでも思っているのかね。」と告げました。
ブタの宝石商さんは、写真をまじまじと見て、何か言いたそうに口をパクパクさせていましたが、なんにも思いうかばなかったようで、くやしそうに口をつぐんでそっぽを向きました。
すると、それまでおとなしく話を聞いていたシュンくんが、
「ブタさん、ぼくも、拾っただけで、そんなにたくさんのお金をもらうのは、もうしわけないと思うよ。だから、ブタさんが、くれるだけのお礼で、いいよ。」
と言いました。そこで今度は、クマのお医者さんや、ブルドッグの刑事さんがあわてました。案の定、ブタの宝石商さんは、「そいつはありがたい。では・・・。」と言って、にわかに元気を取り戻すと、チョッキから急いで財布を取り出して、一枚二枚とお札を数えはじめました。
クマのお医者さんは、ブタの宝石商さんのそばに立ってにらみつけながら、
「くれぐれも、法律上の義務があることを忘れるなよ。あんたの出方によっては、シュンが許してもわしが許さんからな。」
と脅しましたが、ブタの宝石商さんは、「本人同士の話し合いで決まった事ですからなぁ。」と言って取り合いませんでした。
すると、ブルドッグの刑事さんが、クマのお医者さんの反対側からブタの宝石商さんのそばに立って、耳元で、
「ピンキリ―の採掘師から、宝石をいくらで仕入れたか、買い手の大金持ちが、知りたがっていたなあ。」
とひとり言のようにつぶやきました。
ブタの宝石商さんは、顔色を変えて、お札を数える手を止めると、しばらく考えていましたが、とうとう、
「分かりましたよ!きっちり支払えばいいんでしょう!」
と投げやりにさけびました。

つづく


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共作童話 『クリスマスの天使』 第7話 ブルドッグの刑事さんのつぶやき|Kobitoのお絵描きブログ