四人の共作で完成させた童話、『クリスマスの天使』の、第6話です。
描き下ろしの挿絵と一緒に、お楽しみ下さい。

前回までのあらすじ
ウサギのシュンくんが、拾った宝石を持ち主のブタさんに返したいと言うので、天使たちは、警察署にいるブタさんを、シュンくんの家まで連れて来ることにしました。


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クリスマスの天使

作:Kobito、nao、かまど猫、Sian
絵:Kobito

第6話


しばらくすると、天使たちは、今度はブタの宝石商さんや、ブルドッグの刑事さんといっしょに空を飛んで、戻ってきました。
ブタの宝石商さんは、目をぎゅっとつぶって、ブルブル震えながら、ブルドッグの刑事さんの背中に、おんぶされていました。
天使たちが二人をシュンくんの家の前に下ろすと、ブルドッグの刑事さんは、
「さあ、着きましたぞ。いいかげん目をお開けなさい。」と言って、ブタの宝石商さんの耳を引っぱりました。
ブタの宝石商さんは、ブルドッグの刑事さんから下りて、きまり悪そうにフロックコートのえりを直すと、
「やれやれ、こんな乱暴な運ばれ方をされたのは、生まれて初めてだ。飛ばしたのが子供じゃなかったら、訴えてやるところだ。」
と言って、シュンくんの家を値踏みするようにじろじろと見て、
「みすぼらしいあばら家だな。泥棒のかくれ家じゃないのか。」
と、ばかにしたようにつぶやきました。
すると、玄関の扉が開いて、クマのお医者さんが顔を出しました。
「やあ、いらっしゃい。空の旅はいかがでしたかな。まあともかくどうぞお入り下さい。と言っても、私の家ではないんだがね。そら、天使たちも入んなさい。」
「いいの?」
ヨルダとヒルダが一緒に聞くと、クマのお医者さんは、
「シュンの具合がずいぶん良いからね。さっきから、窓を開けて外の空気も吸わせているんだ。」
と言って、みんなを家の中に招き入れました。
シュンくんは、目をきらきらさせて、枕元に来た天使たちを見あげると、
「君たち、本物の天使なんだね。ぼく、君たちが空を飛ぶのを見たよ。すごいなぁ。」
と言って、さし出された二人の手と、おっかなびっくり握手しました。
「そうさ、ぼくたちはね・・・、」
ヨルダが返事をしようとすると、ふんぞり返ったブタの宝石商さんが、それをさえぎるように、
「さあ、私の宝石はどこかね。出したまえ。」
とシュンくんに命令しました。
シュンくんは、「ごめんなさい。宝石はここにあります。」と言って、サイドテーブルの引き出しに入れておいた、あの宝石の入った小瓶を取り出して、ブタの宝石商さんに差し出しました。
ブタの宝石商さんは、受け取った小瓶を、下から見上げたり、上から見おろしたり、窓から差しこむ光にすかして見たり、念入りに確かめはじめました。
ブルドッグの刑事さんが、「どうです。あなたの宝石ですか?」と聞くと、ブタの宝石商さんは、「そうです。」と大きくうなずいて、
「こんな胃薬の小瓶なんかを使いおって。あああ、表面も曇っちまってるじゃないか。また研磨士に頼んで磨き直さなくちゃならん。まったくえらい損害だ。」
といまいましそうに言いました。
クマのお医者さんは、ブタの宝石商さんがあんまり失礼なので、腹が立ってきて、
「あんた、文句を言う前に、届けてもらった礼くらい言ったらどうかね。」
と注意しました。
ブタの宝石商さんは、シュンくんを見おろしながら、
「ふん。こんな事でもなけりゃ、お前なんかに一生さわれもしない途方もない価値の宝石だぞ。それをしばらくの間持っていられたんだ。こっちとしては、貸出料を取りたいくらいなんだ。だがまあ、正直に警察に届けた事に免じて、請求はしないでおいてやるよ。」
と、いかにも横柄な態度で言いました。
「なんて奴だ!シュンが見つけなければ、あんたは二度とその宝石を手にできなかったかもしれないんだぞ。」
クマのお医者さんが怒ってつめ寄ると、ブタの宝石商さんは肩をすくめて、
「おあいにくさま。警察の方でも、署員総出で川をさらってくれる事になっていたんだ。この子供が持って行かなければ、警察の方で間違いなく見つけてくれていたさ。」

つづく



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共作童話 『クリスマスの天使』 第6話 ブタさんは恩知らず|Kobitoのお絵描きブログ