ちょっとご無沙汰でした。
今日は、四人による共作童話、『クリスマスの天使』の、第5話をご紹介します。


前回までのあらすじ
タヌキとキツネの泥棒に盗まれたブタの宝石商さんの宝石は、どうやらウサギのシュンくんが河原で拾った二色の石に間違いないようです。
天使たちは、ブタさんもシュンくんも悲しませないで、宝石の持ち主を決める良い方法が思い浮かばなかったので、クマのお医者さんに相談することにしました。


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クリスマスの天使

作:Kobito、nao、かまど猫、Sian
絵:Kobito

第5話


二人はまた空を飛んで、クマのお医者さんの、緑の屋根のおうちに行きました。
クマのお医者さんは、暖炉のそばで、揺り椅子に座って、紅茶を飲んで、くつろいでいる所でした。
天使たちは、クマのお医者さんにかけ寄って、ひざにつかまって、シュンくんの持っている宝石のことを話しました。
そして、
「どうすれば、みんなを幸せにできると思う?」
と、聞きました。
クマのお医者さんは、ひげをひねって少し考えてから、
「シュンに相談してみるんだな。あの子なら、ちゃんとそれが分かってるだろうよ。」
と言いました。
ヒルダが、クマのお医者さんの手を引っぱって、
「クマさんも来て!私たち、シュンくんのお家に入れないんだから。」
と言いました。
「だって、わしは今日はもう、二回も、シュンの家に行って、今帰って来たところなんだぞ。紅茶も、今淹れたばかりなんだ。」
クマのお医者さんは、惜しむように口をとがらせて紅茶をすすりました。
「後で、ぼくたちが淹れ直してあげるよ!早く行こう!」
ヨルダが、クマのお医者さんのおしりを押して、揺り椅子から立たせると、ヒルダが、玄関からコートを持って来て、クマのお医者さんにすっぽりと着せてしまいました。
「それになあ、わしは今日は歩き疲れて足が痛いんだ。」
「だいじょうぶ、私たちにつかまって。」
ヒルダとヨルダは、両方からクマのお医者さんの手をとると、玄関からふわりと飛び出して、そのままクマのお医者さんと一緒に、空を飛び始めました。
「子供の頃から、空を飛ぶのが夢だったが、わしはいつから飛べるようになっていたんだろう!?」
クマのお医者さんは、自分の力で、空を飛んでいると思っていたので、天使たちは、
「その夢は、私たちのおかげで、叶ったのよ!」
「そうさ、そして、それは、今日がクリスマスだからだよ!」
と教えてあげました。
三人は、野を越え川を越え家々も越えて、あっという間に、シュンくんの家の玄関前に降り立ちました。
クマのお医者さんが家に入ったので、天使たちはぐるっと表へ回って、シュンくんの部屋の窓辺に行きました。
「先生、さっき、空を飛んで来なかった?ぼく窓からちらっと見えた気がするんだ。」
ベッドに寝たシュンくんが、枕元に来たクマのお医者さんに聞きました。
「そうさ。わしは空を飛んだんだ。クリスマスってのは、奇跡が起こる日なんだ。」
クマのお医者さんは、サイドテーブルのおかゆの皿が空なのにうなずくと、シュンくんのひたいに手を当てて、熱が少し引いたのを確かめてから、
「シュン、お前さん、河原で、きれいな石を拾ったろう。」と、聞きました。
シュンくんは、ベッドの下に手を伸ばして、宝石の入った小瓶を取り出すと、
「天使たちは、おしゃべりだなあ。おかあさんには、まだ内緒だよ。」
と言いながら、クマのお医者さんにそれを見せました。クマのお医者さんは、二つの宝石をよくよく確かめてから、
「シュン、これはね、先週山の上旅館で盗まれた、ブタさんの宝石なんだ。ブタさんは、買い手の大金持ちから、早く見つけて持って来いと、毎日責められているそうだよ。」
と言いました。
シュンくんは、「そうだったの。」と言って、うつむいて宝石を見つめました。
そして、
「先生、ブタさんに、早く持って行ってあげて。盗まれたものを、おかあさんに贈るわけにはいかないや。」と言って、小瓶をクマのお医者さんにさし出しました。
天使たちが、窓の外から口々に、
「ぼくらがブタさんを連れて来るよ!」
「クマさんもそこで待ってて!」
と言うなり、上の方に飛び上がっていなくなりました。
「今、あの子たち、空を飛ばなかった?ぼく、そんな風に見えたけど。」
シュンくんが、窓の外を見あげながら聞くと、クマのお医者さんは、
「飛んださ。もどってくるときには、見逃すなよ。」
と言って、窓をすこし開いてあげました。

つづく


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共作童話 『クリスマスの天使』 第5話 クマのお医者さん天使を手伝う|Kobitoのお絵描きブログ