四人による共作で完成させた童話、『クリスマスの天使』の、第4話です。
描き下ろしの挿絵と一緒に、お楽しみ下さい。

前回までのあらすじ
双子の天使、ヒルダとヨルダは、クマのお医者さんとコリー犬の巡査さんの立ち話から、宝石泥棒の事を知りますが、泥棒たちが盗んだ宝石というのは、どうやら・・・。


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クリスマスの天使

作:Kobito、nao、かまど猫、Sian
絵:Kobito

第4話

こそこそ話しをしている二人に、クマのお医者さんは
「川は雨で増水しているんだから、宝探しなんかしたらダメぞ」
「新聞には、赤と水色の飴玉みたいな宝石だと書いてあったかな。。。。」

「あれ?二人が居ない?お~~い」
「わしとした事が、まだ名前も聞いていなかった」

天使たちは、きょろきょろあたりを見回しているクマのお医者さんを残して、高く空を飛んで、町のまん中の、大通りにある警察署までやって来ました。
二階の部屋の窓をのぞくと、ちょうどブルドッグの刑事さんが、泥棒のタヌキとキツネを取り調べているところでした。
「……それで、お前たちは、まんまと宝石商から宝石を盗み出したというわけだな。」
「刑事さん、そこんところは、もう何十回も話しましたぜ。だいたい、あんなに『途方もなく高価な品が入ってるんだ。』とか、『貧乏人が気安くさわるんじゃない。』とか、始終かばんを自慢して、行く先々でいばり散らしてたら、泥棒に目を付けて下さいと言っているようなもんですぜ。」
キツネの泥棒が、はなはだ迷惑そうに言いました。
ブルドッグの刑事さんは、キツネをじろっとにらんだだけで、話を続けました。
「宝石を盗んだお前たちは、すぐに旅館を出て、鉄道の駅に向かったが、途中でコリー犬の巡査に出くわして、あわてて宝石を川に投げ捨てた。まだ警察の捜査など始まっていないと知りながら、なぜそ知らぬ顔で通り過ぎなかった?」
タヌキの泥棒が、待ってましたとばかりに答えました。
「兄貴が隠せ隠せと言うから、おいらは川に隠したんだ。おいらは悪かねぇよ。」
「おれはポケットに隠せと言ったんだ。」
「いいや、兄貴は隠せとだけ言った。おいらは鼻も目も利くし、耳もいいのが自慢なんだ。」
「なんだと!」
キツネの泥棒が立ち上がりましたが、ブルドッグの刑事さんが「よさんか!」と叱ったので、キツネはしぶしぶ椅子に座り直しました。
「そして、コリー犬の巡査が通り過ぎたのち、お前たちは二人して川に入って、宝石をさがし回ったが、その日は見つけることができなかった。翌日、宝石泥棒の件が新聞に出て、昼間に探すと怪しまれると思ったお前たちは、夜中にランプの明かりを頼りに探すことにしたが、なおさら見つけることができなかった。」
「夜中に探そうと言い出したのは兄貴なんだ。まったく、おいらは最初から、無駄なことだと言ったんだがね。」
「『砂地の多い川だから、裸足になって探せば踏んだ時にすぐ分かるよ。』と言ったのはどこのどいつだい!」
「そりゃ言ったけどさ。だけど、無駄だとも言ったじゃないか。」
「なんだと!!」
キツネとタヌキが立ち上がりそうにしたので、「やめんか!」とブルドッグの刑事さんがどなって、二人をすぐさま坐らせました。
「そして、雨が降り出した四日前、お前たちは川が増水し始めたのを見て、宝石が流されることを心配し、昼間にもかかわらず川に入って宝石を探し始めた。そこにコリー犬の巡査が通りかかり、冷たい川につかってふるえているお前たちを怪しみ、所持品検査をしたところ、宝石の鑑定書を持っていたことから、宝石泥棒の容疑者として逮捕されたというわけだ。」
「宝石は放り出したくせに、鑑定書を後生大事に持っている奴があるか!」
「兄貴は、鑑定書を隠せとは言わなかったぜ。おいらは鼻も目も利くし、耳も記憶力もいいのが自慢なんだ。」
「なんだと?!」
ブルドッグの刑事さんは、やれやれと頭を振りながら席を立って、怖そうなドーベルマンの巡査さんに見張りを任せて、部屋を出て行きました。
天使たちは、隣の部屋をのぞいてみました。すると、フロックコートを着た大きなブタさんが、眉をひそめて、何かぶつぶつ言いながら、落ち着きなく歩き回っているのが見えました。
さっきのブルドッグの刑事さんが、「や、お待たせしました。」と言って、部屋に入ってきました。
「どうです。やっぱり、別な場所に隠していたでしょう?」
ブタさんは、ブルドッグの刑事さんに歩み寄って、すがるように聞きました。
「いや。川に放り込んだのは、どうも間違いないようです。」
そう言うと、ブルドッグの刑事さんは、ブタさんに椅子を勧めながら、自分も向かいの椅子にどかりと座って、難しい顔で腕組みをしました。
「では、今すぐ警察で川をさらって下さい。宝石はまだ、あの川のどこかにあるはずですから。」
どうやら、このブタさんは、旅館で宝石を盗まれた、宝石商のようでした。
「川には署員をやっています。これから増員もかけましょう。しかし、先日の雨で、宝石は放り込んだ場所から、流されちまった可能性があります。もし、橋の近辺で見つからなければ、発見するのはよほど難しいですよ。」
「そんな弱気じゃ困る!あの宝石は、刑事さんが一生かかっても買えないくらい、途方もなく価値の高いものなんですよ!そして、私は買い手の大金持ちから、電話や電報で、必ず見つけて持ってこいと、朝から晩まで、ひっきりなしにせっつかれ続けているんだ。それどころじゃない。このまま行くと、私は破産して、夜逃げをしなくちゃならないんだ!そうなったら、どうしてくれるんだ?!」
ブタの宝石商さんは、話しているうちに顔が赤くなって、しまいにはどなり声でまくし立てました。
ブルドッグの刑事さんは最後まで聞くと、
「我々もできる限りのことはやりますよ。署員たちに覚えさせるから、鑑定書の写真を出しなさい。」
と、すこし仏頂面で言いました。
ブタの宝石商さんが、カバンから取り出した鑑定書の写真を見て、天使たちは、「やっぱり!」と声をそろえて言いました。
それもそのはず、写真に写っていたのは、シュンくんが河原で拾ったと言って、小瓶に入れて持っていた、あの赤と水色の、飴玉みたいな、透き通った、きらきらした石ころだったからです。
「ブルドッグの刑事さんと、ブタの宝石商さんに、宝石のありかを教えてあげようよ。」ヨルダが言いました。
「だめよ。あの宝石は、シュンくんがおかあさんの、クリスマスのプレゼントにするのよ。」ガラス窓を叩こうとするヨルダの手をつかんで、ヒルダが言いました。
「だって、あの宝石はブタさんのものだよ。ブタさんに返さなくちゃ。」
「私たち、シュンくんを幸せにすると決めたでしょう。それなのに、宝石を取りあげたら、シュンくんはますます不幸になっちゃうじゃない。」
「でも、シュンくんが宝石を返さないと、今度はブタさんが不幸になっちゃうよ。」
「それもそうねぇ。」
ヒルダは唇に指を当てて考えてから、
「クマのお医者さんに相談しましょうよ。きっと、シュンくんもブタさんも、幸せにする方法を、知っていると思うわ。」
と言いました。

つづく



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共作童話 『クリスマスの天使』 第4話|Kobitoのお絵描きブログ