四人による共作童話、『クリスマスの天使』の、第3話です。
描き下ろしの挿絵と照らし合わせながら、お楽しみ下さい。

前回までのあらすじ
クリスマスの朝、不幸な人を幸せにするために、天から舞い降りてきた双子の天使、ヒルダとヨルダは、クマのお医者さんに教わって、病気がちなウサギのシュンくんの所へお見舞いに行きました。






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クリスマスの天使

作:Kobito、nao、かまど猫、Sian
絵:Kobito

第3話

シュンくんは、窓の外の天使たちに気が付いて、にっこり笑顔を返しながら、「こんにちは。」と言いました。そして、
「ぼく熱があるから、窓、開けられないんだ、ごめんね。」と二人に謝りました。
「気にしなくていいよ。ぼくたち、クマさんの服を、六枚重ねに着せてもらったから、あったかいんだ。」
と、ヨルダが言いました。
するとヒルダも、
「そうよ、クマさんの野菜スープもごちそうになったから、なおさらあったかいのよ。」
と、付け加えました。
シュンくんは、「ねえ、君たちはクマのお医者さんと一緒に来たの?」と聞きました。
「そうだよ。不幸な人を、幸せにするためにね。」と、ヨルダが答えました。
「私たち、天使なのよ。天から降りて来たのは、クリスマスだからなのよ。」
ヒルダがすかさず、説明しました。
シュンくんは、なるほど、と言うようにうなずいて、「ぼくも、元気になったら、天使遊びの、仲間に入れてね。」と頼みました。
ヨルダは、「ぼくたち、今日中に、天に帰らなくちゃいけないんだ。だから、今日中に、シュンくんを幸せにするよ。」と言いました。ヒルダは、残念そうにしているシュンくんに、「さっき、見ていた物はなに?」と聞きました。
シュンくんは、手に持っていた小瓶を、二人がのぞく窓ガラスに近づけて、中に入った赤と水色の透き通った石を見せながら、
「この前、河原で遊んでいて、見つけたんだ。きれいだから、クリスマスの贈り物として、お母さんにあげようと思って。でも、ぼくが具合を悪くして、お母さんがてんてこ舞いになったから、言い出せなかったよ。」
と言いました。
そこへ、おかゆの器を持ったクマのお医者さんが戻って来ました。
「シュン、じゃあ、わしは帰るよ。熱が下がったら、これを食べなさい。食後には、薬を忘れずに飲むんだぞ。」
シュンくんは、おかゆをサイドテーブルに置いたクマのお医者さんに、
「先生、この子たちは、先生の子どもなの?」と聞きました。
「そうじゃないよ。実を言うと、まだどこの子だかも、知らんのだがね。おいお前さんたち、どこの子だい。」
クマのお医者さんは、窓の外の天使たちに聞きました。
天使たちは、二人して、笑いながら、薄曇りの空の方を指さしました。
「な。この調子だよ。じゃあ、何かあったら、また電話しなさい。」
肩をすくめてコートを羽織ったクマのお医者さんに、シュンくんが、ベッドの上で少し体を起こして、
「先生、ありがとうございました。」
と、ていねいにお辞儀をしました。
クマのお医者さんは、シュンくんの家を出ると、天使たちと連れだって、もと来た道を戻りはじめました。
「シュンくんは、お母さんと二人きりなの?」
ヒルダが聞きました。
「そうだよ。シュンの父親は、私の親友でね。シュンと二人きりになってから、トチリさんは、ずいぶん苦労したよ。」
クマのお医者さんは、そう言うと、行く手の川にかかった橋の上で、顔なじみのコリー犬の巡査さんが、虫取りあみを持って、しきりに橋の下をのぞき込んでいるのを見つけて、「どうしたんだね。」と、声をかけました。
コリー犬の巡査さんは、「お勤めご苦労さまです。」と、あわてて敬礼をすると、「事件の捜査をしているところです。」と答えました。
「事件?物騒だね。何かあったの?」
クマのお医者さんは、虫取りあみと巡査さんを見比べながら聞きました。
「は。いや、大したことではないんです。物取りが、盗品を川に投げ込んだと言うものですから、念のために探していたところです。」
「この寒いのに、盗品を探して川さらいかね!よほど、高価な品物なんだな。」
巡査さんは、いよいよあわてて、
「先生、騒ぎになるといけませんから、当面、伏せておいてくださいね。」と頼みました。
「そう言えば、先週山の上旅館で、宝石泥棒があったと、新聞に出ていたな。しかし、先日の大雨で、そんな小さなものは、下流に流されちまったんじゃないかね。」
巡査さんはそれを聞くと、「じゃあ、下流の方を探してみます。」と言って、あたふたと自転車をこいで川下の方へ行ってしまいました。
クマのお医者さんは、
「コリー君は、子供の頃から隠し事が下手でね。わしは、彼が腹痛を起こした時に、クコの実のゼリーを食べ過ぎた事を、たやすく白状させたもんさ!」
と言って、大口を開けて笑いました。
ヒルダとヨルダは顔を見合わせて、「ねえ、その宝石って……。」とささやきました。

つづく

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共作童話 『クリスマスの天使』 第3話|Kobitoのお絵描きブログ