きょうは、SNSで知り合った方々と共作した童話、『クリスマスの天使』の、第1話をご紹介します。

私が物語のはじまりの文章を提示して、参加者各自に好きなように続きを書いてもらう、という手法で完成させたものです。
参加してくれたのは、naoさん、かまど猫さん、Sianさんの3人です。

お話は全部で8話です。童話としては、長編と言っていいくらいの長さです。
それでは、描き下ろしの挿絵と一緒に、第1話をお楽しみ下さい。

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クリスマスの天使
作: Kobito、nao、かまど猫、Sian
絵: Kobito

第1話

おせっかいな天使が、クリスマスの朝に、空から舞い降りてきました。

“その天使はね
やわらかい ふかふかのしろい羽なの

ちっちゃくて 可愛くて
やんちゃな双子の天使なの”

桃色の衣を着た天使は、ヒルダと言いました。
水色の衣を着た天使は、ヨルダと言いました。
ふたりは本当に仲良しで、いつも一緒に遊んでいたので、その日も二人して下界に下りて来たのです。
ヒルダと手をつないだ、ヨルダが言いました。
「クリスマスなんだもの。不幸な人を、うんと幸せにしたいね。」
もちろん、ヒルダは大賛成でした。
「ええ、不幸な人をさがしましょうよ。そして、ふたりで、幸せにしてあげるのよ。」
ふたりは、町外れの緑の屋根の、豪勢な一軒家を見つけて、そこに降りて行きました。

その緑の屋根のおうちには、
立派な髭を蓄えた、優しいクマのお医者さんが住んでいます。

あ。ちょうど往診から帰ってきたみたいですよ。

「やれやれ、この年になると、毎回歩きで往診の行き来をするのも、くたびれるわい。しかし、いまさら車の免許を取るのも、自信がないし。」
クマのお医者さんは、そうひとりごとを言いながら、玄関の鍵を開けて、診察かばんを置いて、厚手のコートを脱ぎました。
どうやら、この広いお屋敷に、一人きりで住んでいるようです。
ヒルダとヨルダは、玄関の小窓から、頭を寄せ合ってのぞいて、クマのお医者さんが人心地が付いたのを確かめてから、呼び鈴を押しました。
クマのお医者さんは、扉を開けて、そこに、小さな可愛らしい子供が二人、寒いのに、布一枚を腰や体にまいただけで、平気そうににこにこ笑って、こちらを見上げている姿を見て、
「わしはずいぶん寒がりで、出かけるときには、コートの下に、毛織のシャツを五枚も着込むがね。たしかにそれは、やり過ぎなんだ。でも、少なくとも、お前たちが、いくら暑がりだからと言っても、そんな姿で、この寒空の下を、ほっつき歩かせるわけにはいかないんだ。」
と言って、二人を家に招き入れて、火を入れたばかりの、暖炉のそばに立たせました。
「ぼくたちね、天使なの。」
ヨルダが、あたふた歩き回るクマのお医者さんに言いましたが、クマのお医者さんは、
「そうだろうよ。まったく、あと少しで、お前たちは、本当の天使になるところだったよ。」
と言って、とりあいませんでした。
「不幸な人を、探しているのよ。私たちで、幸せにするためにね。クリスマスだからよ。」
ヒルダが、考え考え、説明しましたが、クマのお医者さんは、たんすの中から子供が着られそうな服を、手当たり次第に引っぱり出しながら、
「人を幸せにするよりも、まずお前たちが、幸せにならなきゃいけないよ。それも、今すぐにだよ。いいかい、暖かい服を六枚重ねに着て、温かいスープを、フーフー冷ましながら飲むんだ。それで、天使みたいな二人の幸せな子供の、一丁上がりの出来あがりってわけさ。」
と言って、もう二人に、セーターやらズボンやらを、何枚も着込ませてしまいました。
「ぼく、下界の服を着たのは、初めてだ!」
ヨルダは、もこもこに着ぶくれた自分によろこんで、ぴょんぴょん飛び跳ねました。
「ねえ、私たちを幸せにできたら、次に幸せにしたい人はだれなの?」
と、ヒルダが聞くとクマのお医者さんは、
「わしは医者だからね。もちろん、患者さんを幸せにしてあげるのが望みだよ。」
と言いました。
そして、暖炉で温めた野菜スープを、大きなマグカップに注いで、二人に飲ませながら、
「そういえば、さっき往診に行ったトチリさん家のシュンがちょうど、お前さんたちくらいの子でね、とてもおとなしい、お母さん思いの優しい子なんだ。だけど、しょっちゅう熱を出して寝込むから、わしもトチリさんも心配しているんだ。」
と言いました。
天使たちは、その子を幸せにしてあげたいと思ったので、
「ねえ、ぼくたちお見舞いに行ってもいいかしら。」
と聞きました。
クマのお医者さんは、
「もちろん。だけど、まだ治りきっていないからね。シュンは窓辺のベッドに寝ているから、窓の外から話しかけてごらん、きっと喜ぶよ。」と言って、二人を、トチリさんの家に連れて行ってあげることにしました。

つづく




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共作童話『クリスマスの天使』第1話|Kobitoのお絵描きブログ