先日、天使のイラスト、『楽しい水浴び』を公開しましたが、きょうは、そのイラストから想を得た、短編の童話が書けたので、ご紹介します。

私の童話は、幼稚園くらいの子どもでも楽しめる分かりやすい内容が多いんですが、漢字はひらがなに開くことなく使用しています。これは、宮沢賢治が、漢字や難しい言葉をどんどん使って、自分の表現したい世界を書き表しているのに共感してのことです。

とはいえ、幼い子どもにも読んでほしいので、もし、気に入った童話があれば、大人がそばにいて読み聞かせてあげて下さい。
子どもにとって難しい言葉は、やさしくかみくだいて説明をしてあげて下さい。
そういうやりとりも、読み聞かせの楽しさになるのではないかなと思います。


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楽しい水浴び

暑い暑い夏の日、空を見あげると、びっくりするくらい立派な雲の山が、そびえ立っていることがあるでしょう。
今日は、その雲の山で起きたことを、お話しします。
雲の山は、産着みたいにまっ白で、とてもやわらかいので、昔から、天使たちのかっこうの遊び場になっているのですが、その、まっ白な山のてっぺんで、昨日、ちょろちょろわき水がしみ出して、丸くてかわいらしい泉ができました。そして、最初にそれを見つけたのは、三人の天使の兄弟でした。
この兄弟は、さっきまで、象やきりんの形を、雲でこしらえて遊んでいたのですが、お日さまがあんまり近くで照らすので、むし暑くなって、涼める場所を探していたのです。ですから、こんな冷たそうな泉は、ちょうどおあつらえ向きでした。
上の二人の天使は、双子だったので、まずはいっしょに泉の中に手を入れてみて、
「冷たいね。」
「うん、冷たい。」
と言いました。
すると、末っ子のまだ言葉もしゃべれない、赤ちゃんの天使も、手を入れてみて、
「アッパイ!」
と言いました。
「だけど、小さい泉だから、一人しか入れそうにないね。」
「じゃあ、赤ちゃんの天使を、先に入れてやろう。」
赤ちゃんの天使は、お兄さんの天使たちに抱えられて、丸い泉のまん中に、座らされました。
泉は、赤ちゃんの天使の、おへそのくらいの深さしかありませんでした。
そこで、お兄さんの天使たちは、水をすくっては、赤ちゃんの天使の背中から、交互にかけてやりました。
赤ちゃんの天使は、うれしそうに、泉の水をバチャバチャ叩いて、しぶきを二人の方に飛ばしました。
「冷たいなあ!」
「うん、冷たい!」
お兄さんの天使たちは、すっかりびしょ濡れになりながら、赤ちゃんの天使の、羽の生えた背中に、水をかけつづけました。
赤ちゃんの天使も、それを見て、ますますうれしそうに、
「アッパイ!」と言いながら、二人のお兄さんに、水をかけ続けました。
しまいには、泉の水が、すっかりなくなって、赤ちゃんの天使が、くぼみの中にきょとんと坐っているだけになりました。
「面白かったね。」
「また、泉が湧いたらいいね。」
お兄さんの天使たちは、そう言うと、両方から、赤ちゃんの天使と手をつないで、天上のお家の方へ、空を飛んで帰りはじめました。
赤ちゃんの天使は、まだ遊びたそうに、雲の山をふり返りました。すると、雲の山は、いつの間にかこはく色に染まって、だんだんに形を変えながら、どこかへ流れて行くようでした。
ですから、明日は、きっと別の雲の山で、泉を探す三人の天使の姿が見られるだろうと、私はつくづく思うのです。

おしまい
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【新作・天使の童話】 楽しい水浴び|Kobitoのお絵描きブログ