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かっぱのまちあわせ

ぼくは上戸池(じょうごいけ)のかっぱのかすけです。
きょうは、かのと遊ぶ約束をしたので、いつもの大亀岩(おおがめいわ)の上で、まちあわせです。
朝から、さらさらと、やさしい雨が降っていて、ぼくらにとっては、本当にいい天気です。
さといもの葉っぱの傘をさしているのは、雨よけではなくて、おしゃれです。
かのはいつも、待ちあわせの時、急に池からにゅうと顔を出して、「かすけさん」と声をかけるので、ぼくは毎回おどろいて、池に落っこちます。
だから、今日は、おどろかされないように、『かのがでてきて、じきに、「かすけさん」と呼ぶぞ。もうじきだぞ』と、何度も自分に言い聞かせながら、池を見おろしていました。
でも、ぼくはいつか、傘に落ちる雨の、ぱたぱたという、小気味よい音にひきこまれて、うっかり、別のことを考えていました。
『さといもの傘は、雨たちのすべり台なんだ。高い空から、傘をめがけて、たくさんの雨粒が、ぞろぞろ舞い下りて来る。うまく乗れた者は、得意にきらきら光りながら、まっしぐらに葉っぱの上をすべって行く。そうして、きちんと順番を守って、ひとつぶずつ、池に飛び込んで行くんだ』
「かすけさん」
足もとの池から、かのがにゅうと顔を出して、ぼくに話しかけたので、ぼくはたちまち飛び上がって、傘を持ったまま、ひっくり返って、池に落っこちてしまいました。

おしまい




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童話 かっぱのまちあわせ|Kobitoのお絵描きブログ