きょうは、久しぶりに、短編の新作童話を書いてみたので、ご紹介します。
タイトルは、『あなぐまのお嫁さん』といいます。

小学校低学年くらいの小さい子も楽しめるお話にしたかったので、情景描写をできるだけ減らして、動物たちの仕草や、会話のこっけいさで笑わせる事ができるようにと、書き方を工夫しながら制作しました。



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あなぐまのお嫁さん

ある晴れた日、あなぐまは考えました。
「ぼくもそろそろ年頃だし、お嫁さんが欲しいなぁ。」
あなぐまは、巣穴からはい出すと、お嫁さんを探しに出かけました。
ふと見ると、りすが落葉に座って、拾った木の実をならべて、振ってみたりなめてみたり、品定めしていました。
「りすさん、ぼく、お嫁さんを探してるんだけど、君、ぼくのお嫁さんにならない?」
「あんたが、私くらい小さかったら、お嫁さんになったげる!」
りすは、急いで木の実をほおばると、目をぱちぱちさせながら言いました。
「そりゃあ、むりな相談さ。」
あなぐまは、自分のずんぐりした体を見おろすと、頭をふりふり、森を歩いて行きました。
すると、ぶなの木の上の方で、きつつきが、こつこつこつこつ、幹をつついては、横を向いて耳をすましていました。
「きつつきさん、ぼく、お嫁さんを探してるんだけど、ぼくのお嫁さんにならないかい、君?」
「あなたが、ここまでひとっ飛びで来られたら、お嫁さんになったげる!」
きつつきは、もっと高いところに飛びうつると、いたずらっぽく、あなぐまを見下ろしました。
「そいつは、無茶というものだ。」
あなぐまは、ためしにピョンピョン飛んでみてから、「フーウ。」とうなって、のそのそ森を歩いて行きました。
すると、池のほとりで、大きな亀が、岩の上に寝そべって、うつらうつらしながら、こうら干しをしていました。
「かめさん、君、ぼくのお嫁さんにならないかい?探してるんだけど?」
「あなたが、私より、泳ぎの競争で早かったら、お嫁さんになったげる!」
亀は、ポチャンと池に飛び込んで、すいすいもぐると、もうどこかに行ってしまいました。
「ぼく、無駄なことはやらないのさ。」
あなぐまは、ちょこっと水に顔をつけてみて、ぶるるっ、としずくをはらうと、とぼとぼ、森を歩いて行きました。
すると、野原のまん中の、平らな石の上で、あなぐまのおじょうさんが、花輪をかぶって、くるくる回って、お相手がいるつもりで、ダンスの練習をしていました。
「ねえあなぐまのおじょうさん。ぼく、お嫁さんを探してるんだけど、君、ぼくのお嫁さんになる気ない?」
「いやぁよ。でも、あなたが、みつばちの巣から、はちみつをとってくれたら、お嫁さんになったげる!」
あなぐまのおじょうさんは、近くの木のうろの、みつばちの巣まで、あなぐまを案内すると、
「ちくちくあちこち刺されるよ。」
と言いました。
「そんなの、心配ご無用さ。」
あなぐまは、うろに手を突っ込んで、しばらくもぞもぞやってから、そら、何でもないと言うように、はちみつのかたまりを取り出しました。
だけど、みつばちたちは、何でもない事はありませんから、みんな巣から出てきて、あなぐまの腕やら、鼻やら、おしりやらを、めったやたらに刺しました。
あなぐまは「ワーッ。」と叫んで走り出すと、はちみつを抱えたまま、さっきの池に、ボッチャーン!と、飛び込みました。
みつばちたちは、池の上で、しばらくウンウンとうなっていましたが、そのうちあきらめて、巣に帰って行きました。
あなぐまは、ようやく水から顔を出すと、「やれやれ、むやみにあぶなかった。」と言いました。
あなぐまのおじょうさんは、「さんざん刺されてたじゃないの。」と言って、あなぐまを岸に引っぱりあげてやりました。
あなぐまは、まん丸にはれた顔で、手ににぎっていたはちみつのかたまりを、得意げに、あなぐまのおじょうさんに渡しました。でも、はちみつは、ほとんど水に溶けてしまっていて、ほんの一口くらいしか、残っていませんでした。
あなぐまは、しょんぼりしてしまいました。でも、あなぐまのおじょうさんは、さいわい気前が良かったので、それをぺろりと平らげると、
「ありがとう。約束よ。あなたの、お嫁さんになったげる!」と言いました。
あなぐまは、うれしくてうれしくて、あなぐまのおじょうさんの手を取ると、「お嫁さんだ!お嫁さんだ!」と言いながら、野原中、くるくる踊り回りました。

あくる朝、野原のまん中で開かれた結婚式には、りすや、きつつきや、かめや、そのほか、森の動物たちが、ところせましと招かれました。
あなぐまと、あなぐまのおじょうさんとは、平らな石の上で、お客さんたちに、ていねいにお辞儀をすると、とっておきの、息の合った、くるくる回る、ダンスを披露しました。
それはほんとうに、まれにみる見ものだったのよと、りすや、きつつきや、かめたちは、結婚式に来られなかった、牛たちや、あひるたちや、もぐらたちに、それはそれはあきれ顔で、話していたということです。

おしまい

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【新作童話】 あなぐまのお嫁さん|Kobitoのお絵描きブログ