早くもゴールデンウィークですねぇ。お出かけの予定を組んでいる人が多いのかな。私は出不精なので、一念発起して図書館に行くくらいが関の山です。
きょうは、ちょっと久しぶりになりましたが、ファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の、第11章・第7話を書き進めたので、ご紹介します。

前回のあらすじ
サキを追って旅を続ける元魔法庁の役人ダンケルとマイネは、マヒャライ族の少年タダニの案内で、少数部族が領地を分け合って暮らすシェルの内陸側を横断する事になりました。


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魔法使いサキの物語 第11章・第7話 『本当の追手』

翌日、三人がたずねたコンバ族は、他部族との交流を極力避けて暮らす、誇り高い戦士の部族でした。
タダニもこの部族には知り合いがいないという事で、「ともかく、失礼がないようにしなきゃいけない。命が惜しければね。」と、二人によく言い聞かせました。
ところが、集落に入ると、三人は挨拶もしないうちに、槍を持った数人の男に、低い声で追い立てられて、広場の祭壇に座った、白髪を長く垂らした族長の前に平伏させられました。
族長は杖でタダニをつつきながら、「お前は厄災を連れてきた。我らの誇りと土地を荒した報いを受けさせる。」と、乾いた声で言いました。
「何の事だかわからないよ。この人たちなら、これから良い行ないをするために旅をしているんだ。」
タダニがふるえながら答えると、族長は、
「いいや。お前は分かっている。白い影が神像を奪い去り、北の泉を枯らしてしまった。お前が連れてきた厄災の仕業だ。」と言って、いきなりタダニの背中を、振り上げた杖でひっぱたきました。
ダンケルが怒って身を起こそうとしましたが、タダニがそれを制して、
「神像はこの人たちが必ず取り戻すよ。代わりの泉も俺の部族がきっと見つけるから。ね、それで許しておくれ。」と族長に深々と頭を下げました。
「だめだ。神像は取り戻せないほど遠くに持ち去られた。北の泉は枯れない泉として我らが祈りを捧げる場所だったのだ。お前たちは今この場で裁かなければならない。」
取り囲んだ男たちが槍の柄の尻で地面を叩きながら口々に奇声を発し、その叫びが最高潮に達した時、タダニの横に立っていた背の高い男が、おもむろに逆手にかざした槍を、タダニの背中めがけて真っすぐに振り下ろそうとしました。
「ピ------ッ!」
不意に、透き通った笛の音が響き渡り、男たちは雷に打たれたように身をこわばらせると、やがていっせいに腕をかかげ足を振り上げ、こっけいな踊りを舞い始めました。
タダニが顔を上げると、マイネが笛を吹き鳴らしながら、タダニに目配せをして、後ずさっているのが見えました。
あっけにとられたタダニを、ダンケルが引き起こすと、彼らは輪になり踊りまわる男たちの間をくぐり抜けて、広場の外れにつながれていた馬とブーに飛び乗って集落から逃げ出しました。
タダニは脚の遅いブーを急かして駆けさせながら、
「マイネをおいて行くの?」とダンケルに聞きました。
「笛の魔法は、届く範囲が限られているんだ。だから、マイネは俺たちが十分逃げた頃合いを見計らって脱出するつもりなのさ。」
ダンケルの言うとおり、二人がコンバ族の領地の西の端に差し掛かったころ、マイネは馬を駆けさせて追いつきました。
タダニは、コンバ族を怒らせたことに気をもんでいて、「放っておくと、おれの部族に手を出すかもしれないから、南のガリリ族のウルという戦士に相談しに行こう。彼は一帯の部族に一目置かれているから、事情を話せば、コンバ族をとりなしてくれるかもしれない。」と言いました。
ダンケルとマイネは、彼に従うことにしましたが、マイネは馬を進めながら、
「君が以前言っていた、『僕らにかかった追手』というのは、革命軍の連中のことじゃないんだね。」と聞きました。
タダニはぶるっと身震いをして、
「お前たちを追っているのは、コンバ族の族長が言っていた“白い影”さ。」
と答えて、「そいつは、今でも俺たちを見はっているんだ。そして、お前たちを自分の望む道へ誘い込むために、周りの人たちの行動を操っているんだ。」
と、消え入るような声でつぶやきました。

つづく



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笛の魔法で難を逃れる三人




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