きょうは、久しぶりに、ファンタジー小説『忘れかけていた物語』の、第12話を書き進めてみたので、ご紹介します。
前回の第11話の公開が去年の9月ですから、じつに半年ぶりの更新です。
行き詰まりの原因だった、筋書き上の不満点が、頭の中で解決できそうなので、これから書くペースが上がって行くことを自分でも期待しています。

下記が、主な登場人物とこれまでのあらすじなので、読み進める際の参考にして下さい。


主人公の少女=さえ
王母のかえる(大)=ブーン
王のかえる(小)=チョコ
緑の小人=グル
赤の小人=ピコ
ステンドグラスの蝶=フール
テントウムシ=ピック
くすの木=トンおじさん
ロバ=ローマン
操り人形=ジョージ
小猿=チャッキー
ぬいぐるみのくま=リリィ
悪い魔法使い=ズル

前回までのあらすじ
十五歳の少女さえは、小さなころは、空想が大好きでしたが、あんまりおかしなことばかり言うので、心配した両親から、空想をやめるように注意されました。
さえは両親を安心させるために、物語を書きためていたノートを、ちり紙交換に出しました。それから何年も経って、さえは物語の内容もすっかり忘れてしまいましたが、ある日、熱を出して寝込んだ時に、妙な世界に迷い込んでしまい、そこで暮らすおもちゃやぬいぐるみたちと出会います。彼らは、悪い魔法使いのズルから物語の世界を取り戻そうとしていて、ズルのところに行くためには、さえの協力が必要だと言うのでした・・・。

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忘れかけていた物語 第12話 「トンおじさんの落着」


「今度こそ、何もかもうまく行きましたね。それではみなさん、ズルの城はまだまだ遠いのですから、道草しないで直ちに出発しましょう。」
ブーンはリリィからまぶしく輝く“名前のない宝石”の小瓶を受け取ると、それをチョコに持たせて、明るくあたりを照らしながら、みんなの先頭に立って森の中を進みはじめました。ところが、大福のように丸いお腹で、しかもチョコを入れた真鍮鍋まで抱えていたので、穴底人の落とし穴が、目の前に開いていることに、まったく気が付きませんでした。それで、まともに片足を突っ込むと、ブーンはチョコを抱えたまま、深い穴の中を、「あれよ、あれよ!」と言いながら、まっしぐらに落っこちて行きました。
「まあ、たいへん。トンおじさん、落とし穴に頭を突っ込んで、ブーンをすくい出してちょうだい、早く。」
フールがトンおじさんの頭の葉っぱを引っぱりながら叫びましたが、トンおじさんは、
「わしはもう逆さに地面に植えられるのは、まっぴらじめん、もとい、まっぴらごめんじゃ。それに、丈(たけ)が伸びれば伸びるほどお日さまが遠くなるなんて、一族草木の信用に関わる!」
と言って、なかなか承知しませんでした。
そこでさえがひらめいて、
「そうよ、かならず頭から突っ込む・・・入ってもらうことはないのよ!木が誰でもやるように、根っこを地面に下ろして、ブーンをすくい出してくれればいいのよ!」
と言いました。
トンおじさんは、「そんなら一族草木の十七番じゃ。もとい、それに足すことの一番じゃ!」と言って、善は急げとばかりに、落とし穴にひょいと身を任せましたが、穴の間口が思いのほか広かったので、さっきの落とし穴のように途中で引っかかったりせずに、両手を広げたまま、暗闇の中を「あれよ!あれよ!」と言いながら、落っこちて行ってしまいました。
「飛んだことになった!」
さえはすっかりおろおろして、穴のまわりを歩き回りましたが、ピコは、「いや、トンおじさんは『落ちた』ことになったんだぜ!」と言って、「それに、トンおじさんが『落着』してくれたおかげで、かえってわしらの心配事も片付いたってわけだ。」と、せいせいした顔をしました。
「トンおじさんが落着したら、どうして心配事が片付いたことになるのよ?」とさえが怒って聞きました。するとピコは、「それが、とこやみの森の秘密だからさ。」と答えると、穴のふちに立って、「さあ、みんなも早いとこ落ちたことになってみな。」と言って、みんなが止めようとするのも聞かずに、「あれよっ!」と穴に飛び込んでしまいました。

つづく


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