今日は、天使が登場するほのぼのした短編童話を書いてみたので、ご紹介します。
題名は、『天使の庭』です。
小学校低学年くらいから、大人まで楽しめる内容なのではないかなと思います。
挿絵も描いたんですが、構図が整った感じに仕上がったのが嬉しいです。

では、さっそくお楽しみ下さい。


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天使の庭

その庭を、最初に見つけたのは、春を探して迷い込んだ、生まれたばかりの天使でした。
三角形や丸やハートや、いろんな形の葉っぱの草木が、垣根にされたり、アーチに仕立てられたり、そして、そこここに、甘い香りのする色とりどりの花々が、たくさん植えられていて、もっと良い事には、その庭には、[まだ誰のものでもありません]という、かわいらしい看板が立ててありました。
天使は木洩れ日のゆれる木かげにちょこんと座って、「こんないい所を見つけて、うれしいなあ。」と言いました。
すると、空からふらふらと、南海色の衣を着た天使が舞いおりて来て、生まれたばかりの天使が寄りかかった木の、こずえの枝先にとまって、生まれたばかりの天使に、「この庭、君の庭かい?」とたずねました。
生まれたばかりの天使は、看板を指さして、
「まだ、誰のものでもない庭だよ。」
と教えてあげました。
そこで、南海色の衣の天使は、草の上に寝そべって、そこに咲いていた白いちっちゃな花にキスをしてから、
「こんなにきれいなところがあって、すごく嬉しいや。」
と言いました。
そこへ、垣根の向こうを、秋のいちょう色の衣の天使が通りかかって、「まあ、まあ、まあ。」と言いながら庭に入って来ました。
「ここ、あなたたちのお庭?」
秋のいちょう色の衣の天使が聞くので、生まれたばかりの天使と、南海色の衣の天使は、口々に、
「まだ誰のものでもない庭だよ。」と、教えてあげました。
そこで秋のいちょう色の衣の天使は、
「こんなにすてきなお庭が、まだ誰のものでもないなんて、素敵ねえ!」
と言いながら、仙人草のアーチを見あげて、胸いっぱいにそこらのさわやかな空気を吸い込んで、思うぞんぶん、清々(せいせい)しました。
それから、またしばらくすると、今度は雪のようにまっ白な衣の天使が、風にきりきり舞いしながら、長い袖を振り回して庭に入って来て、「見て、私の袖(そで)まるで薄い氷の板のようでしょう。」
とたずねました。
そこで、生まれたばかりの天使と、南海色の衣の天使と、秋のいちょう色の衣の天使は、口をそろえて、
「君の袖まるで薄い氷の板のようだよ。そしてここはまだ誰のものでもない庭だよ。」
と教えました。
雪のようにまっ白な衣の天使は、きりきり舞いをやめて、代わりに目をまん丸にして、
「あら、そんなところ、私も探していたのよ!」
と言いました。
そこで天使たちは、思い思いに寝そべったり木に登って歌を歌ったり、子犬のように転げまわってはしゃいだりして、一日いっぱい楽しく遊びました。そうして、空が淡いはちみつ色に染まりはじめた頃、「また、“まだ誰のものでもない庭”で、遊ぼうね。」と約束を交わすと、さかんに手を振り合いながら、だんだん遠ざかって、めいめいの家の方へ帰って行きました。
そういう面白い庭が、今でもどこかに、あるのだそうです。

おしまい


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【童話】 天使の庭|Kobitoのお絵描きブログ