きょうは、『魔法使いサキの物語』の、第11章・第2話を書き進めてみたので、ご紹介します。
今回は、サキと旅を続ける元国境警備団員のカイザールが、サキに自分の半生を物語る、という内容です。
文章量はおそらく、(その1)~(その3)くらいの長さになると思います。

サキが自分の子供時代のことを話してくれたお礼として、カイザールは自分の事を語り出す気になったのではないかな、と思います。
今回はじめて、東の大陸の国名が登場するので、世界地図にも久しぶりに名前が刻まれました。
ファンタジー世界の地図を描く楽しみを、地図が次第に完成して行く様子から、感じ取っていただけたら嬉しいです。




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魔法使いサキの物語 第11章・第2話
カイザールがサキに物語る -魔法庁に仕官するまでの事-その1



「俺は東の大陸のジヌトで、幼いころにプントという若い魔法使いに見いだされて弟子になり、彼に連れられてこのゴンドラ大陸に渡って来た。ジヌトでは、俺の家族は代々領主の奴隷で、自分の意思で、その身分から抜け出すことはできなかった。
プントからゴンドラ大陸へ渡ることを勧められた時、俺は一も二もなく承諾したが、家族を連れて行くことはできないと言われて、一人だけでこの地から逃れることはできないと答えた。もし一人で逃げれば、残された家族が、領主からひどい仕打ちを受けることになるからだ。
だが、プントが出立する日、俺は水汲みの仕事の隙をついて、彼の待つ港へ走った。
家族に相談すれば、引き留められるのは分かっていたから、黙って逃げ出したのだ。
プントは何も言わずに、俺をゴンドラ大陸へ連れて行った。

薬草採りとして方々を渡り歩きながら、プントは俺に魔法を教え、行く先々で知り合いの魔法使いを紹介した。今思えば、プントは大した魔法使いではなかったが、他人の魔法の才能を見抜く目は確かで、俺の事も、行く行くは名のある魔法使いになって自分を成功に導くと信じていたようだった。

そうやって、何年も旅を続けた後、俺たちはヘルムードにやってきた。
ヘルムードでは、魔法使いを取り締まる法律があったから、他の国よりいっそう、人前で魔法を使う事を避けなければならなかった。しかし、おかしなもので、ヘルムードには、弟子を多く抱える魔法使いがたくさん集まっていた。
プントから紹介された魔法使いの一人に、ヘブという男がいた。ヘブは進歩派の抜け目のない奴で、ヘルムードの進歩派全体の顔役のような存在だった。
そのころ、フラトではスナクフ様が魔法庁を立ち上げて、魔法使いの登用を始めたばかりだったから、ヘブたちもそれに一枚かみたいと考えていたようだった。
プントは自然派だったが、フラトの魔法使い受け入れの試みに期待していて、俺をヘブの計画の仲間に入れてくれと、しきりにヘブに頼んでいた。

ある日、些細な理由で、自然派の若い連中と、進歩派の若い連中が、街でいざこざを起こして、自然派の一人が住民に取り押さえられるという事があった。
自然派の若者は役人に引き渡されて魔法使いの審判に掛けられることになったが、いざこざが起きた時に、プントが進歩派の連中と一緒にいたものだから、彼は自然派の連中から恨みを買うことになった。
プントはもともと、旅暮らしが性に合う人だったから、それで見切りをつけて、ヘルムードを出て行くことにした。
でも、俺は、フラトの魔法庁への仕官があきらめきれずに、ヘルムードに残るとプントに伝えた。
プントは別れを惜しんだが、けっきょく、『お前は人生の転機で、別れを選ぶ質(たち)なんだろうな。』と言い残して、旅から旅への暮らしに戻って行った。」

つづく

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