こんばんは。
きょうは、ファンタジー小説「魔法使いサキの物語」の、第11章・第1話を書き進めてみたので、ご紹介します。

第10章では主に、魔法庁の役人、ダンケルとマイネの動向について書いてきましたが、第11章では視点が変わって、サキが旅の共のカイザールに物語った、自分の子供時代の思いで話から始まります。
新しく描いた挿絵と照らし合わせながら、久しぶりのサキの声を楽しんで頂ければと思います。

img909cs-.jpg



サキがカイザールに物語る ―私が子供だった頃―


私が覚えている、いちばん古い思い出は、マンネンセンという村に、両親に連れられて引っ越したことです。
家財道具を積んだ荷馬車に揺られてゆく道中に見上げた、道ばたの、名前も知らない大きな木の、枝葉の広がり具合とか、風にさらさら揺れる音が、今でも時々懐かしく思い出されるんです。
母は子供のころから、ヌマ様に弟子入りして、いっしょに暮らしていたので、たぶん、父と結婚し、私が生まれたのを機に、ヌマ様から独立をして、マンネンセンに移ったのだと思います。
父は土木技師で、マンネンセンの属する地方の有力者に雇われて、聖堂や橋の建設にたずさわるために、村に移り住んだのだそうです。
母は早くから、私に魔法の手ほどきをしていたようです。でも、私は当たり前の事としてそれを行なっていたので、いつから魔法が使えるようになったのか、自分でもよく分かりません。
ある日、母が作った折り紙の動物を、私が魔法で動かして遊んでいると、帰宅した父がそれを見て、とても驚いた様子で、私のそばへ来て、「そういう魔法を、よその人に見せてはいけないよ。」と言いました。
その時初めて、私は自分が使っている力が、魔法というのだと知りましたし、なんだか自分が、知らず知らず、父に対して悪い事でもしていたような、もうしわけない気持ちになったのです。
でも、あとで母に、そのことを話すと、母は、「セイヴァン(これが父の名前です)はあなたを守りたいのよ。それに、私はあなたが魔法をつかえる事を、とても喜んでいるの。だから、心配することはないのよ。」と言いました。
それで私は、すっかり安心することができました。
私が五歳の時、(ひどい雨の日でしたが)父が大けがをして、職人たちに担がれて家に帰って来ました。仕事場の事故に巻き込まれたのだと、後で近所のキャリスンおばさんから聞きました。父はずっと眠ったままで、ずいぶん具合が悪いことは私にも分かりました。間もなくして、母は、私をキャリスンおばさんに預けて、父を荷馬車に乗せて、あわただしくどこかへ出かけて行きました。キャリスンおばさんによると、遠くの町に、父を治してくれそうな良いお医者が、見つかったらしい、という事でした。でも、しばらくすると、見ず知らずの、優しそうなおばあさんが私を訪ねてきて、「私はあなたが赤ん坊の頃に、いっしょに暮らしていた者です。あなたの両親は、二日前にはやり病でこの世を去りました。あなたはこれから、私と一緒に暮らさなければなりません。」と伝えられました。
そのおばあさんが、私を十歳まで養育して下さり、母の代わりに魔法を教えて下さった、ヌマ様なのです。
あ、そして、私の母の名前は、ニールスエスタといいます。


つづく

関連記事
拍手ボタン
コメント:
この記事へのコメント:
コメント:を投稿する
本文:
 
【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第11章・第1話|Kobitoのお絵描きブログ