オリジナルのファンタジー、『魔法使いサキの物語』の、続編にあたるイラストの、制作のようす、その3です。
今回は、暖炉に火を入れてみました。光源を先に塗ることで、全体の雰囲気がつかみやすくなったと思います。
兄妹の名前が、まだ思い浮かびません。極寒の土地に暮らす、つつましい兄妹という名前です・・・。
物語は、続きを書いてみたので、絵の下からお楽しみ頂ければと思います☆

雪国の兄妹色ぬり2 正視化縮小


 翌朝、サキはカン・ソク先生に、旅に同行したいと打ち明けようと思いましたが、カン・ソク先生は、どこかへ出かけたらしく、家の中に居ませんでした。旅行鞄は、部屋の隅に置いたままなので、きっと村の方に、用事があったのでしょう。サキは、朝食の支度をしながら、カン・ソク先生の帰りを待ちました。

ところが、昼になっても、カン・ソク先生は帰って来ませんでした。サキは、カン・ソク先生が、別れを言えなくて、黙って旅立ったのではないかと思って、気が気ではありませんでした。

その時、サキは、扉の開いた玄関に、何か得体の知れない物体が、立っている事に気が付きました。それは、人の形に切りぬいた、白い木綿のような、薄っぺらなもので、ゆらゆら揺れながら、サキの様子をうかがっているようでした。
サキは思わず悲鳴を上げて、部屋の隅に後ずさりしましたが、カン・ソク先生のいたずらではないかと思ったので、恐る恐る、その物体に近付こうとしました。
「そいつに触るんじゃない!」
そう叫んだのは、サキがかぶった帽子のトミーでした。トミーは、サキにも分かるほどぶるぶる震えていました。

カン・ソク先生が、村の急病人の診療を終えて、家に帰って来たのは、そんな時でした。玄関に立っている、白い影のようなものが、遠くから見えたので、カン・ソク先生は大急ぎで通りを走って、家の前まで来ました。
「サキ!大丈夫か!」
白い影から、少し離れて、家の中に声をかけると、サキの声で、
「ええ、大丈夫です!」
という返事が聞こえました。
白い影が、両手を広げながら、家の中に一歩入ったので、カン・ソク先生は、手近にあった大きな石を魔法で浮かせて、力いっぱいその背中に投げ付けました。
たしかに、当たったようですが、その石は、どこに消えたのか、家の中にも、外にも転がりはしませんでした。白い影は、窓の方へ逃げようとするサキをさえぎるように、白い腕を伸ばして、徐々にサキを、部屋の奥の壁際に、追い詰めて行きました。
「そいつの狙いは、トミーなんだ。渡してしまえ!」
カン・ソク先生が叫びました。サキはゾッとして、トミーを頭に深くかぶり直しました。トミーはガタガタ震えながら、「人でなし!」と叫び返しました。

白い影は、サキを包むようにして、上から覆いかぶさろうとしました。サキは近くに積んであった薬草のかごをひっくり返して抵抗しましたが、それは白い影の体に吸い込まれて、どこにも見えなくなりました。

白い影が、サキに触れようとした、その時、カン・ソク先生が、後ろから鍬(くわ)を振り上げながら駆け寄ると、
「この野郎!」と言いながら、四角い頭を思い切り殴りつけました。
鍬は白い影の体に吸い込まれ、カン・ソク先生も勢い余って、その影の中に頭から吸い込まれてしまいました。

サキが目をあけると、部屋の中はしんとして、白い影も、カン・ソク先生の姿もありませんでした。
サキは、しばらくぼんやりと立っていましたが、やがて、カン・ソク先生の事が心配になって、「おじさま!」と声をかけました。
「あいつは、もうここには居ねえ。ナップに飛ばされたんだ。」
震えの止んだトミーが、沈んだ声で言いました。
ナップというのは、北極近くにある、小さな国の名前です。サキの住む村から、一万キロも離れた場所にあります。
サキはトミーを頭から下して、じっと見つめながら、
「あれは何なの?どうしてあなたを狙っていたの?」
と聞きました。
トミーはサキをじっと見据えて、
「俺は知らねえ。あいつは、前にも俺たちを襲ったんだ。それで、カン・ソクと俺は、ナップに飛ばされた。カン・ソクは、それを俺のせいだと思っているのさ。」
サキには、トミーの言っている事が本当か、自信が持てませんでした。けれど、カン・ソク先生が、危険な状態にある事は確かでした。ナップは、一年を通して雪と氷に閉ざされた、極寒の土地です。それなのに、カン・ソク先生は、夏物の薄い服しか着ていなかったのです。
サキは、一刻も早く、カン・ソク先生を助けに行かなければと思いました。それで、カン・ソク先生の旅行鞄を引っつかむと、引き止めようとするトミーを目深にかぶって、家から疾風のように飛び出しました・・・。



つづく


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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第2章・第2話 『雪国の兄妹』色ぬり2|Kobitoのお絵描きブログ