きょうは、制作中のファンタジー小説、「魔法使いサキの物語」の、第10章・第3話を書き進めてみたので、ご紹介します。
挿絵は、ハガキサイズのケントボードに、下描きをせずに鉛筆で描いたものです。

小説の書き方で、一つ重宝するのは、現実の出来事に対する自分の考えを反映させる、という事です。
今、国会では安保関連法案が審議されていますが、私はこの法律に関する与党の議論の進め方に、「自分の正義を他者に押し付ける」傲慢さを感じています。
憲法学者の大多数が、この法案は違憲だと指摘している中で、与党はその指摘を無視し、詭弁を弄してまで成立させようとしているわけですから、そんな不誠実な人々に、この白紙委任状的法律を運用させるなど、そもそも危険極まりない事であると私は考えます。
物語の中では、こういう意見を、露骨にならないように気を付けながら、反映するようにしています。
「正義の押しつけ」は、安保関連法案の議論に限らず、人間の普遍的な問題なので、あくまでも普遍性を感じるテーマとして扱っていくつもりです。


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あらすじ
サキの忘れ物を届けるために、フラトの西の国境までやって来た魔法庁の役人ダンケルとマイネは、そこで出くわした覆面の男たちのうちの一人、魔法庁の技師長ヘブから、テトの都でのアモス王の暗殺未遂事件を知らされ、それが魔法使いたちによる革命運動であることも明かされたのでした。

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「魔法使いサキの物語」第10章・第3話

ダンケルは、先刻バンサの丘で、マイネの魔法がいともたやすくヘブに打ち消されたことを思い出しました。あの時は、覆面の男たちの動揺の隙をついてその場を逃れることができたのですが、今度こそ、ヘブは二人に付け入る隙など与えないでしょうし、革命の事を二人に話したからには、手を組まない限りここから無事に解放してくれる事もないだろうと思えました。
ダンケルはヘブの手を握ろうとはせずに、「ともかくこの目で確かめさせてくれ。」と、答えました。
ヘブは手を下ろすと、マイネに、
「お前も来るだろうね。」
と聞きました。
マイネは
「ええ、行きますとも、技師長殿。だけど・・・。」と言って、驚いたように眼を見開きながら、ヘブの後ろの開け放たれた扉を指さしました。
気を逸らすつもりだと思ったヘブは、振り向かずにマイネを見据え続けましたが、不意に背後で地鳴りのようなものすごい音がして、砂嵐が建物を揺らしながら勢いよく吹き込んだので、暴れ狂う砂埃でいっぺんに視界も耳も利かなくなったヘブは、「わぁぁ。」と叫びながら、やみくもにダンケルの居たあたりに手を伸ばして、つかんだ服の袖らしきものを、放さないようにがむしゃらに握っているしかありませんでした。
やがて、風が弱まって、建物の揺れも収まると、ヘブは息をついて手ににぎった物を確かめてみましたが、それはさっきマイネが握っていたはずの、アモス王の布告が書かれた羊皮紙でしかありませんでした。

ダンケルとマイネは、馬を駆って、砂嵐に包まれた検問所から遠ざかりながら、思わず「エーハー!」と喜びの雄たけびをあげました。ヘブたちの馬は、ワナイの方に放ったので、すぐには追って来られないでしょう。
ダンケルは、興奮冷めやらない様子で、「まさかお前が、あんな魔法を隠し玉にとっておいたなんてな!」と言いました。
でも、マイネがぎょっとして「あれ、僕の魔法じゃないよ。」と答えたので、ダンケルはもう地平にかすむほど遠ざかった砂煙を振り返って、訳が分からないという顔つきでマイネを見ると、「俺でもないぞ!」と返事するしかありませんでした。

つづく

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ファンタジー小説 魔法使いサキの物語 第10章・第3話|Kobitoのお絵描きブログ