きょうは、オリジナル童話『子猫のマーサ』シリーズの、7番目の新作を書いてみたので、ご紹介します。
タイトルは、「マーサにお見舞いが来た日」です。

挿絵は、このお話用に描いたもので、黄土色に見える部分は、実は金色が塗ってあります。金色を使うと、光の加減で、絵の雰囲気が変わって見えるので、とても面白いです。
それでは、挿絵の下から、お話をお楽しみ下さい。


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「マーサにお見舞いが来た日」

マーサは今朝から、少しお熱で寝ています。
お母さんは、「今日一日、おとなしくしてね。」と言って、マーサのほてった頬をなでると、あごまでやさしく毛布をかけてくれました。
マーサは、お熱のときに、いつもお母さんが作ってくれる、すりリンゴが楽しみだったので、
「あとで、すりリンゴを持ってきてね。」と言いました。
「ええ、冷蔵庫で冷やしてくるね。」
そう言って、お母さんは子供部屋の戸を閉めました。
それでマーサは安心して、うとうと眠りました。
昼ごろになって、マーサが目を覚ますと、ベッドのすぐ横の、開け放たれた窓から、熊のぬいぐるみのマーチが、顔をのぞかせていました。
マーチの後ろで、クロードの耳が動くのがちらっと見えたので、マーサはうれしさに手をすり合わせて、
「私、お見舞いを待ってたのよ。入って来なさいよ。」
と声をかけました。
マーチは、毛むくじゃらの片手をあげると、
「風邪がうつるから、入りたくないもん。」
と言いました。
マーサは、どうしてもマーチを抱きしめたかったので、
「だいじょうぶよ。私、息とめてるもの。」
と言いました。
でも、マーチは、
「僕がいるあいだじゅう、とめてられないもん。」
と、ばかにしたように答えました。
マーサはしばらく考え込みましたが、やがて笑顔になると、
「じゃあ、あんたと私で、代わり番こにとめればいいのよ。」と、言いました。
「マーサはおしゃべりだから、僕はずっと、息をとめてなきゃならないもん。」
マーチが両手で口を押さえて、いやいやをしたので、マーサはなんてかわいい子熊だろうと思って笑いました。
「あんた、お花を持ってきた?」
「何のお花?」
「河原のお花よ。タンポポとかよ。」
「タンポポは牛さんが食べちゃった。」
「じゃあ、レンゲよ。」
「レンゲは山羊(やぎ)さんが食べちゃった。」
「じゃあ、ス・・・、スレミよ。」
「スレミは僕が食べちゃった。」
マーサは足をバタバタさせてきゃっきゃと笑いました。
そこへ、お母さんが、「さあ、冷やしたすりリンゴですよ。」と言いながら、部屋に入ってきました。
「お母さん、マーチの分も、持ってきた?」
お母さんは、マーサが指さす方を見て、窓から顔をのぞかせているマーチを見つけました。
「まあ、いらっしゃい。お見舞いに来ていたの。」
お母さんは、そう言ってマーチを抱き上げました。
「クロードは?」
マーサがまた、窓を指さすので、お母さんはそっと外に顔を出してみました。すると、クロードはちょうど、庭のしっくいの垣根を飛び越えて、大あわてで逃げて行くところでした。お母さんは、「クロードは逃げちゃったようよ。」と言って、手を伸ばしたマーサの横に、マーチを添い寝させました。
マーサはマーチをぎゅっと抱きしめて、耳のあたりをなで付けながら、「おかしなクロードね!」と言いました。
マーチは、「まったくね!」と言うように、ばんざいをしたままうなずきました。

おしまい





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