いよいよ、夏本番という暑さになってきましたね。
きょうは、オリジナルの新作童話、「アンチャンの小人たち」の、第7話を書き進めてみたので、ご紹介します。
小人たちが、落葉の舟に乗って川下りをする、ごくシンプルなお話です。

前回、小さな渦に巻き込まれて動けなくなった小人たちの舟ですが、さて、今回上手くピンチを切り抜けることができたでしょうか。

挿絵は、ハガキサイズのケントボードに鉛筆で描いたものです。
絵を見るだけでも、さらに厄介な事に巻き込まれているのが分かりますね。

では、挿絵の下から、お話の続きを始める事にしましょう・・・。

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ーアンチャンの小人たち 第7話ー

小人たちは、舟が傾かないように、左右に分かれて舟べりにうつぶせると、手やかいで水面をぱちゃぱちゃ叩きはじめました。
こんなことで、ほんとうに魚が集まるのかしらと、みなさんは首をかしげてしまうかもしれませんね。だけど、人間と違って小人たちの立てる音はごくささやかですから、魚たちもびっくりするよりは、何だろうと思って、かえって確かめるために集まって来てしまうものなのですよ。
ほら、さっそく、短い針のようなハヤの子供たちが、ススキのやぶ影からちらほら出てきて、もやもやした雲のような群れになりながら、落葉の小舟に近づいてきましたよ。
あんなちっぽけなハヤだって、小人たちにとっては、両手でやっと抱えられるくらい、大物なんですね。だから、そんな大物たちが、舟のまわりに集まってきて、所せましと泳ぎ回るようすは、大した見ものでしたし、もっとたくさん集めようと思って、小人たちが水面をいっそう力いっぱい叩き続けたとしても無理はありません。
それで、どうなったかというと、沖の方の水草の中で眠っていた、(小人たちにとっては)鯨のように大きな白い鯉が、その騒ぎを聞きつけて、のそりと体の向きを変えると、ゆっくりと舟の方に近づいて来たのです。
ウタオは、そのまぶしく光る鯉が、水面近くを泳いで迫っているのに、ようやく気がつくと、ぎょっとして、「みんな静かに!」と小声で言うと、鯉の方をせわしく指で示しました。
鯉は舟のすぐそばまで来ると、水から顔を出して、オプオプと口を動かしながら、さらに手探りするようにふらふらと近づいてきました。
みんなは舟のまん中で、お互いにしっかり抱き合ってふるえていましたが、とうとう鯉が口先で舟をつつきはじめたので、ムスビが鼻息も荒く立ち上がると、「あっち行け!」と言いながら、鯉のくちびるを、握りしめたかいで思い切りひっぱたきました。
不意打ちにたまげた鯉は、バチャッと身をひるがえして逃げて行きましたが、その拍子に小人たちの舟は、鯉の尾で高々と空に跳ね上げられて、羽根つきの羽根のように、山なりに勢いよく川下の方へ飛ばされてしまいました。

つづく



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新作童話 アンチャンの小人たち 第7話|Kobitoのお絵描きブログ