今日は、オリジナルの新作童話、「アンチャンの小人たち」の、第5話を書いてみたので、ご紹介します。
涼しい梅雨から一転、台風が暑い夏を運んできましたが、愉快な小人たちの川下りのようすを読んで、しばしの涼を楽しんで頂けれればと思います。
挿絵は、今回のために描き下ろしたもので、これで完成です。


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ーアンチャンの小人たち 第5話ー

ツキヨは舟べりに腰かけて、素足を水にひたしながら、ススキの葉のこずえを透かす陽の光を見あげました。
「プチの光は、葉っぱも花びらも光らせる。私のからだも光らせる。」
手のひらで陽の光をさえぎると、ほんとうにふちのところが、炭火が燃えているように、光って見えました。
ツキヨは自分が、葉っぱや花びらと同じものでできているという事が、何より素敵だと思いました。
その時、船首に立って、ゆく手を見はっていたウタオが、ムスビを振り返って、
「マールマール(うず)があるぞ。とり舵いっぱい!」と言いました。
ムスビは「とり舵一杯!」と答えながら、舟の右舷に飛んで行って、水にかいを差し、せっせとこいで進路を変えようとしました。でも、その時にはもう、うずの力が舟をしっかりとつかまえていて、舟はだんだん速度を増しながら、ゆるやかな弧を描くように、うずに引き寄せられて行きました。
このうずだって、私たち人間から見れば、川底の小石が作ったただのちっぽけな流れの変化でしかないのですが、小人たちにしてみれば、大海峡で船の航行を妨げる魔物のように大きなうず潮と、たいした違いはないのでした。
葉っぱの舟は渦のまん中まで来ると、くるくるくるくる、同じ所で回っているばかりになって、ちっとも前に進まなくなってしまいました。


つづく


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新作童話 「アンチャンの小人たち」 第5話|Kobitoのお絵描きブログ