こんばんは。
きょうは、オリジナルのファンタジー小説、『忘れかけていた物語』の、第10話を書き進めてみたので、ご紹介します。
このお話を更新するのは、じつに半年ぶりです。
書き進めるのが難しいお話ですが、あきらめることなく、カタツムリの歩みで、完成を目指したいと思っています。

挿絵は、新しく描きはじめたものの一部分です。
小人のぬいぐるみピコと、熊のぬいぐるみのリリィが描いてあります。

登場人物の紹介を、以下に載せておくので、物語を読むときの参考にして下さい。


・少女=さえ 主人公の高校生。幼いころに書いた自分の物語の中に迷い込んでしまった。
・熊=リリィ さえが幼いころに親友だったぬいぐるみ。
・クスノキ=トンおじさん とこやみの森の住民。
・操り人形=ジョージ クスノキのトンおじさんの甥(おい)。
・カエル(大)=ブーン さえが書いた物語の国の王の母。悪い魔法使いのズルにカエルの姿に変えられた。
・カエル(小)=チョコ さえが書いた物語の国の王。母と同様カエルの姿に変えられた。カエルのように鳴くだけで言葉が話せない。
・赤い小人=ピコ  木こりのぬいぐるみ。ズルから取り上げられた斧を取り返そうとしている。
・緑の小人=グル サンタクロースになりたい木こりのぬいぐるみ。ピコの赤い衣装を欲しがっている。
・蝶=フール ステンドグラスのように光るおしゃべりな蝶。
・ロバ=ローマン のんびり屋のロバのぬいぐるみ。自分をポニーだと思っている。
・猿=チャッキー いたずら者の猿のぬいぐるみ。名前のない宝石を盗んでビワの木に登ってしまった。
・テントウムシ=ピック トンおじさんの幹にとまっているが、全くしゃべらないので、トンおじさんは気が付いていない。



では、絵の下から、物語の続きをお楽しみ下さい。

img826cカットs-

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「ねえ、どうして迷子になったあなたが、トンおじさんで木登りなんかしてるの。」
フールがピコの頭の上を飛び回りながら聞いたので、ピコは、
「おせっかいなフクロウが、わしを穴底人の落とし穴に放り込んだからさ。そのフクロウは『けんかを止めないと、蹴飛ばすわよ!』と言ったから、わしは蹴飛ばされないように用心しながら、グルとけんかしていたんだ。するとそいつは、わしの襟(えり)をくわえて、山なりに茂みの向こうへ放り投げた。そこがちょうど、穴底人の落とし穴だったんだ。わしは、その穴の底で、なんと、穴底人がつつましく暮らしているのを発見した。森の誰もが足元に注意して、落とし穴に落っこちないものだから、今まで誰ひとり、彼らの文明を発見することができなかったのだ。わしはそこで、穴底人から心づくしの歓迎を受けて、すっかり穴の底の暮らしが好きになった。ところが、そんな楽しいひとときも、終わりをむかえる時が来た。トンおじさんが、頭から落とし穴に落っこちてきて、穴の途中で詰まってしまったからだ。そこでわしは、トンおじさんの頭につかまり、穴底人に「ごきげんよう!」とあいさつした。穴底人たちも口々に別れを惜しみつつ、みんなして箒(ほうき)の穂(ほ)でトンおじさんの頭を突き上げて、わしを穴の底から抜け出させてくれた、というわけだ。」と言いました。
「とても素敵なお話だわ。だけど、間違っているところが一つあるのよ。あなたを落とし穴に放り込んだのは、おせっかいなフクロウじゃなくて、おせっかいな私だったのよ。」
さえが申し訳なさそうに言いました。
「おせっかいなフクロウか、おせっかいなさえか、迷っていたんだが、これですっきりしたな!」
ピコが気にしないようだったので、さえは安心して何度もうなずきました。
「さあ、何もかもうまく行きました。それではみなさん、ズルの城を目指して出発しましょう。」
ブーンが手を叩いてみんなをうながしました。でも、リリィが手を挙げて、「待って、まだチャッキーとの約束を果たしていないわ。ピコ。あなたの帽子を、チャッキーが欲しがっているの。チャッキーはそれと引き換えに、盗んだ名前のない宝石を返してくれたのよ。」と言ったので、グルは跳ね上がるほど喜んで、「聞いたかピコ。サンタの帽子は、もうお前の物じゃないんだぞ!」とはやし立てました。
ピコは赤い三角帽子を脱いで、名残惜しそうにながめていましたが、肩をすくめると、リリィに渡して言いました。
「木こりにとって、一番大事なものは帽子じゃないからな。ほら、さっさと戴冠式を済ませて、ズルのところへ斧を取り返しに行こうぜ。」
そこでリリィは、ポケットから小さな銀のベルを取り出すと、頭の上で「チリンチリンチリン!」と振り鳴らしました。
すると、一匹の子ザルのぬいぐるみが、ビワの木をするすると下りてきて、リリィの前にちょこんと座りました。両目は紫色のつぶらな宝石でできていて、いつも白い歯を見せて笑っている、とてもひょうきんな顔の子ザルでした。
「さあ、これからチャッキーの戴冠式を始めます。」
リリィが、整列したみんなを見回して、おごそかに言いました。


つづく


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ファンタジー小説『忘れかけていた物語』第10話|Kobitoのお絵描きブログ