きょうは、久しぶりに『魔法使いサキの物語』の第9章・第1話を書き進めてみます。
第9章では、主人公サキの視点で物語が進行します。
挿絵はまだ下絵ですが、フラトの元国境警備団長アムサラが最も信頼していた男で、カイザールという人物の絵です。
(二枚目の挿絵は、この物語の世界地図です。お話に登場した地名が、次第に書き込まれて行くので、地図と物語を照らし合わせながら楽しんで頂けると嬉しいです。)

サキはフラトの王アモスが発した、「すべての魔法使いを国外追放にする」という命令のおかげで、国境を越えることができ、いよいよ隣国のワナイに入りました。さて、これからどんな旅が彼女を待ち受けているのでしょうか。
それはまだ、私にも定かではないのです。

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ワナイはいちめん砂礫(されき)の荒野です。
サキとカイザールは、それぞれ馬にまたがり、うだるような暑さを休み休みしのぎつつ、西へ向けて進んでいました。
西方の大国ナーグリアからは、湾を隔てたシンギ半島へ、定期的に交易船が出ています。カイザールはそれに乗って、シンギ半島の南岸に位置する比較的国情が安定したアスタカリアに向かおうとしていました。そこでは、魔法使いに対する迫害も他国ほどはひどくないという事でした。
サキはカイザールから、
「ゴンドラ大陸をまっすぐ西へ行けば、大陸を分断するウル山脈に突き当たる。恐ろしく険しい山で、越えることができる峠は山脈の南端のクドゥイにしかない。しかし、クドゥイでは魔法使いの入国が固く禁じられている。身の上を偽って無理にクドゥイを通り抜けるより、アスタカリアから海路で大陸の西側に渡ったほうが、日にちはかかるが安全だ。」という助言を受けたので、ひとまず彼と行動を共にして、アスタカリアへ向かう事にしたのでした。
カイザールは、この大陸では珍しい、赤茶色の肌をした、褐色人と呼ばれる人種でした。
禿頭に、頬からあごにかけてひげをたくわえたいかつい風貌で、一見気難しそうでしたが、サキは話をするうちに、彼が穏やかで理知的な人物だという事を知りました。
カイザールは、サキが魔法使いの知識に乏しいと分かると、休憩のたびごとに基礎的な事から教えてくれました。
「三法者(さんぽうじゃ)というのを知っているか?」
「いいえ。」
「名高い魔法使いの中でも、全ての魔法の技を極めたとされる三人の事だ。その中の一人が、お前が幼少の頃に師事したと言うヌマ様だ。そして、お前が現在師事しているというカン・ソク様は、三法者に勝る力を持つとされる生ける伝説のようなお方だ。正式な魔法教育を受けた者なら、たいてい彼らの名前はどこかで耳にしたことがある。我々が用いている魔法の大半は、三法者が発明したものだし、カン・ソク様の数々の冒険譚は、魔法を学ぶ者なら師から繰り返し聞かされてたいてい覚えている。」
サキはテトの都で出会ったダンケルとマイネも、カン・ソクについて同じように話していたなと思い出しました。
「でも、火山の噴火を鎮めたり、竜を退治したりなんて、おとぎ話のようなことが、本当にあったのかしら。」
カイザールはにやりと笑うと、
「実際、子供向けのおとぎ話だからな。どこまで本当かは分からない。ただ、魔法使いの間では、広く知られた話なんだ。」
と答えました。
サキは、おとぎ話だと分かって、ちょっとほっとしてうなずきました。


つづく

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魔法使いサキの物語 第9章・第1話|Kobitoのお絵描きブログ