制作を進めていたファンタジーイラスト、『小さな幸せ』が完成したので公開します。
もっとしっかり色を塗ろうか迷ったんですが、素朴な味が薄まるような気もしたので、ここで筆を止めることにしました。

物語が、まだ半分ほど残っているので、今回少し話して、次回は簡単な挿絵を新しく描いて、エンディングに添えたいと思います。

小さな幸せ色ぬり2-2 正視化縮小


 河原の草原に着いた二人は、落ち葉をめくったり、枯れ草の茎に登ってみましたが、やはり、食べ物になりそうな草の実や、花の蜜などは、見つかりませんでした。
トニはすっかりくたびれて、枯れすすきの根元の、小石の上に座りこみました。ジョーも、トニの横に座って、しばらくぼんやり、足元の苔を見つめました。
「あ、春の妖精がいるよ。」
急に、トニが大声で言いました。
驚いたジョーが、トニの指した草むらを見ると、コナラの落ち葉の上で、一匹の蝶が休んでいました。
それは、春に、ここらの花畑を飛び回っていた、灰色の羽のムラサキシジミでした。
ムラサキシジミは、黒いふかふかの毛皮を着て、それでも寒そうに、体を縮めて、二人の方を見ていました。
「こんにちは。」
ジョーとトニが、近くで挨拶すると、ムラサキシジミも、ちょっと触角を折り曲げて、
「ああ、寒いねえ。」
と言いました。そして、
「おまえ達は、ここで何をしてるの。」
と聞きました。
それで二人は、長雨で、巣に水が入って、たくわえていた食べ物がみんな駄目になってしまった事を話しました。
ムラサキシジミは、
「それは、災難だねえ。」
とうなづくと、
「私らの家も、長雨ですっかり壊れてしまって、仲間の家に、引っ越そうと思ったんだけれど、お腹がすいて、私だけ、空から落ちてしまったんだよ。」
と言いました。
ジョーは、
「僕、幸せをひと欠けら、持ってるよ。」
と、砂糖の粒を取り出して、ムラサキシジミに見せました。
トニは、目を丸くしました。あの砂糖は、いったいどこから出てきたのでしょう。ジョーは、魔法を使ったのかしら、と、トニは思って、きらきら光る砂糖をしげしげと見つめました。
「私は、かたいものが食べられないの。花の蜜とか、樹液がいいね。」
ムラサキシジミも、砂糖を見つめて、残念そうに言いました。
ジョーは、あたりを見回して、ドングリの帽子を見つけると、それを拾って、
「ちょっと待っていて。」と言うと、走り出しました。
トニも、
「いっしょに行く。」
と言って、二人で草むらの中を走って行きました。


つづく




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ファンタジーイラスト『小さな幸せ』完成|Kobitoのお絵描きブログ