きょうは、オリジナルの猫の童話『マーサは釣り人』の、第5話を、書き進めてみようと思います。
挿絵は、これで完成です。


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左手に座っている子猫が、クロードとマーサの兄妹、右手に立っているのが、ジローさんとマリアの夫妻と、その子供のルネです。
クロードとマーサは、ジローさんのクルミ林のそばの小川で、釣りをしようとしていたのですが、肝心のえさを、家に置き忘れて来たらしかったので、ひとまず二人で取りに帰ることにしました。
そこへ、ジローさん一家が通りかかり、クロードから事情を聞くと、マーサを見ていてあげるから、忘れ物を取っておいでと言ってくれました。そこでクロードは、お礼を言って、家まで一目散に走って行きました。

今日のお話は、その続きです。

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「なに忘れたの。」
ルネが聞いたので、マーサは、
「えさよ。釣りのよ。」
と言いました。そして、
「私が作ったお弁当、見る?べーさんこんどよ。」
と言って、バスケットを引き寄せました。
ルネはマーサの横にしゃがんで、ふたが空いたバスケットの中から立ちのぼる良いにおいをかいで、
「たべたいな。」
と言いました。
「あんたはさっきお弁当を食べたばかりでないの。」
マリアがあきれて言いました。
マーサは、ベーコンサンドの包みを開こうとして、すみの方に、チョコレートの缶がしまってあるのを思い出しました。
その缶は、もともと、バケツの中に入っていたのを、マーサが気を利かせて、バスケットの中にしまい込んだのです。
マーサは、缶を取り出して、ふたを開けてみました。
すると、中身は、飴玉大のチョコレートではありませんでした。五、六匹くらいの、ミミズだったのです。
「おやまあ。」
マーサがつぶやいたので、ルネも、缶の中をのぞいて、「ミミズだ。」と言いました。
「ミミズならそこらの石の下にいるだろうに。クロードは、家まで取りに帰ることはなかったね。」とマリアが言いました。
「井戸の横で掘ったやつよ。一番釣れるの。」
マーサが教えました。
「どれ、かしてごらん。」
ジローさんが言うので、マーサが缶を渡すと、ジローさんは釣竿を肩にかけて、竿に巻き付けた糸をほどくと、糸の先の釣針に、缶からつまみ出したミミズをひっかけました。
そして、釣竿をマーサに渡しながら、
「あの川底の、大きな丸い岩のあたりに投げてごらん。」
と言いました。
「何を投げるの。」
「ミミズをさ。」
そこでマーサは、竿を小川の方に伸ばして、丸い岩の近くで、糸を少し振って、ミミズをポチョンと流れに落としました。
すると、すぐに、竿の先が、ブルブルふるえはじめました。
「こりゃ、来とるぞ。引いてごらん。」
「何を引くの。」
「糸をさ。」
そこで、マーサは言われたとおりに、竿を立てて、糸を引っぱりました。水の中で、何かがグルグル動き回って、糸も竿も、ぐらぐらはげしく揺れました。
「魚よ!ほら、岩に入った、あ出てきたわ!」
マリアが、マーサをしっかり押さえて、川に落ちないようにしました。
ジローさんも、竿に手を添えて、少し手助けをしながら、「そのまま後ろに下がって、引っ張り上げるんだ。魚をな。」と言いました。
マーサは少しずつ後ずさりして、糸を引っぱりつづけました。だんだん、黒い影がはっきりして、水の上に、バチャバチャと魚が浮かび上がりました。
魚は、そのまま空中を通って、マーサたちのいる草むらに下ろされました。
ルネが捕まえたので、ジローさんが釣針を外し、すぐにマリアが水を汲んだバケツに入れました。
「すごいわあ。マーサは釣りの名人ね。」
マリアに褒められて、マーサは「やったわ!」と言ってバケツに駆け寄りました。そばにしゃがんで、ゆらゆら泳いでいる銀色の魚を、ルネと頭を引っ付けて見下ろしていると、ジローさんが、「うまそうなマスだな。」と言いました。



つづく


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猫の童話 『マーサは釣り人』 第5話|Kobitoのお絵描きブログ