きょうは、オリジナル童話『マーサは釣り人』の第4話を、書き進めてみようと思います。
挿絵は、また新たに描きはじめたので、その下絵をご紹介します。


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画面の左手に座っているのが、子猫のクロードとマーサの兄妹です。右手に立っている猫たちは、今回登場する、クロードたちの顔見知りです。彼らはどうやら家族のようですね。
では、さっそく、物語の中で、彼らが誰なのか、確かめてましょう。

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小道のわきは、ジローさんが持っているクルミの木立です。まだ若くてせいの低い木が、きれいに草の刈られた平らな野原に風通し良く並んでいます。クロードはここでよく、セミやクワガタを捕って遊んでいます。マーサは、まだ、虫捕りにも連れて来てもらったことがないので、やっぱり、家の窓から、クロードが虫捕り網を持って、クルミの林をうろうろしているのをながめたり、クロードがかごに入れて持ち帰ったセミやクワガタを、逃がさないようにかごのすき間から、指先でさわらせてもらったりしただけでした。
一本のクルミの木が、他の木から少し離れて、小道のすぐわきに生えています。枝が小道の上に広がって、川べりの草地まで木漏れ日できらきら光る木陰を作っています。クロードは、草地に釣竿を置くと、マーサに荷物を下ろさせてから、「ここは秘密の釣り場だからな。誰にも言うなよ。」と言いました。
「お母さんにも?」
マーサが聞きました。
「お母さんにもお父さんにもさ。誰にもだよ。」
クロードが念を押しました。
マーサは、「じゃあ、おじいちゃんが、うちに来た時にも、言わないね!」と言いました。
「あれ、バケツの中のえさがないよ。」
クロードが、バケツをのぞいて言いました。
マーサも、バケツをのぞきこんで、「なんのえさ?」と聞きました。
「釣りのえさだよ。井戸の横で掘ったやつ。あそこのが一番釣れるんだ。」
クロードは、あたりを見まわして、小道の来た方にも目をやってから、
「マーサが落としたんだ。」
と言いました。
「落とさないよ。」
「えさ、見ただろ。」
「えさ、見なかったよ。」
クロードは、「ほら、マーサがバケツを持ったり下ろしたりしたろう、そのとき家に置き忘れたんだ。」と言いました。
マーサは、「置き忘れたのね。」と言って、うなずきました。
クロードは、マーサを残して、家にえさを取りに戻ろうかと思いましたが、そんなことをしたら、お母さんにしかられるので、あきらめて、マーサを連れて、いっしょに家に戻ることにしました。
「荷物も持って帰るよ。ここに置いとくと、物騒だから。」
クロードが立ち上がろうとした時、小道を川上の方から、ジローさんが奥さんのマリアと子供のルネを連れて、歩いてくるのが見えました。
ルネは、マーサと同い年くらいなので、ジローさんがマーサの家に来た時、いっしょに庭で遊んだことがあります。
だから、マーサはルネに手を振りました。ルネはマーサのところに駆けて来ると、「大きなお魚釣れた?」と聞きました。
「まだよ。もう帰るの。」
とマーサが答えました。
ジローさんが、担いでいたくわを下ろして、
「どうしたんかね。」
と聞きました。
「忘れ物したから、一度帰るんです。」とクロードが答えました。
「取っといで。マーサと荷物は見ててあげるから。」
とマリアが言いました。そこでクロードは、すぐに立ち上がって、「ありがとう。」と言うと、マーサを見てちょっとうなずいてから、家の方へ一目散に駆けて行きました。



つづく



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猫の童話 『マーサは釣り人』 第4話|Kobitoのお絵描きブログ