今日は、オリジナルのファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の、第6章第2話を、書き進めてみようと思います。
挿絵は、色塗りが済んだので、これで完成です。


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国境警備団の西部方面師団の団長、アムサラが、ミレの木に登ったサキを見上げている様子です。
前回の物語の中で、”柿色の軍服”と書いたので、もっと服全体を柿色にするつもりでしたが、色塗りを進めるうちに、一部分だけ柿色にした方が、かっこ良いように感じたので、白い部分を多く残しての完成となりました。

では、サキが木から下りてくるところから、お話の続きを始めたいと思います。

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太い横枝にぶら下がって、下の横枝に飛び降りようとした時、サキはフラト側の荒野を、向こうから何かが近づいて来ていることに気がついて、いったん元の横枝によじ登りました。
「おい、いい加減にしないか。」アムサラが怒りましたが、サキは荒野を指さして、
「馬だわ。まっすぐにこちらへ来る。」
と言いました。
「誰か乗っているか。」
「誰も。鞍も付けていないようよ。」
アムサラは、近くの灌木(かんぼく)につないだ自分の馬の方に駆けて行くと、鞍に紐でかけていた双眼鏡を外して、サキが指差した方に構えて目を凝らしました。確かに、一頭の灰色の馬が、後ろに土煙を残しながら、一直線にこちらへ駆けてきます。
サキが、「もうここに来るわ!すごい勢いよ!」と言いました。
馬は地面を蹴る蹄の音を、だんだん大きく激しく響かせて、間もなくアムサラの目の前まで来ると、かん高くいななきながら、前脚を跳ね上げて、アムサラにのしかかるような勢いで棹立ちになりました。
アムサラは両手を広げて、低い声で「ドウッ、ドウッ。」と叫ぶと、前脚をおろした馬の鼻づらを素早く両手で押さえて、動物をなだめる呪文を抑えた声で唱え始めました。
馬はしばらくぎらついた目で、頭を上下左右に振りながらあえいでいましたが、アムサラが呪文を唱え続けると落ち着いてきて、呪文をやめて鼻づらから手を離すころには、うつむいて、荒い呼吸をするだけになりました。
ミレの木から下りてきたサキが、アムサラのそばに立って馬の頬をなでながら、
「誰かの遣いで来たのね。」
と聞きました。
アムサラはそれには答えず、黒のぶち模様がある馬の横腹を片手でひと撫でしました。模様はすぐに移動をはじめ、大小の奇妙な文字で書かれた正方形の文面が横腹に浮かび上がりました。
暗号らしく、サキにはその内容が読めませんでしたが、アムサラは一読するとすっかり息をのんで、顔をこわばらせました。
しばらくすると、彼は、
「君は検問所を通って正式に国境を越える事が出来るぞ。」
と、サキを見ずに言いました。
「長官様からの連絡なの?」
サキは、アムサラの様子が少し変なので、心配になって聞きました。
アムサラは、文章を再び撫でて、模様をすっかり消してしまうと、初めてサキの方を見て、
「スナクフ様は、王の暗殺を企てたかどで失脚された。王は、この国からすべての魔法使いを追放するように命じられたそうだ。」
と答えました。


つづく



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ファンタジー小説『魔法使いサキの物語』第6章・第2話|Kobitoのお絵描きブログ