今日は、オリジナル童話『マーサは釣り人』の挿絵が完成したので、ご紹介します。
彩色は色鉛筆のみを使用しています。


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ピンクのワンピースを着た子猫が、主人公のマーサです。右はじから走ってきているのが、マーサのお兄さんのクロードです。マーサのまわりにいるのは、マーサたちの家族のように見えますが、そうではありません。

以下に、この絵にまつわる物語を書いてみるので、それで、彼らのことも、すっかり判るでしょう。
では、はじまり、はじまり―――


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 マーサが釣り人になりたかったのは、ついさっきからではありません。
マーサに言わせれば、”昨日よりたくさん前から”、そう思っていたのです。
だから、クロードが、「明日釣りに行くか?」と誘った時、すっかり有頂天になって、踊り出したのも、無理はありません。

さて、その日の朝、マーサが目を覚ますと、カーテンはまぶしく光って、一緒に寝ている、ぬいぐるみのマーチも、壁にかかった鳩時計も、となりのベッドで寝ているクロードも、みんないつもより、美しく見えました。特別な日の朝は、いつでもそうなのです。

マーサは、部屋を出て、雀たちの鳴き声が聞こえる廊下を通って、台所へ行きました。
台所では、お母さんが、忙しそうに朝食の支度をしていました。
マーサは冷蔵庫を開けて、下の段から、きれいな新緑の玉レタスを取り出しました。
それから、食卓の椅子を抱えて、冷蔵庫の前に置き、それに登って、いちばん上の棚にある、ベーコンの紙包みに手を伸ばしました。
「あら、マーサ、おはよう。どうしたの?」
お母さんが気が付いて、マーサの背伸びした身体を支えました。
「今日、私、釣りに行くでしょう。だから、お弁当のね、べーさんこんどを作るの。」
お母さんは、「べーさんこんど?」と繰り返してから、やっとベーコンサンドの事だと分かって、
「まあ、自分で作るの。えらいわ。もう、お顔洗ったの?」
と聞きました。
マーサは、ベーコンの紙包みを両手でつかんで、胸まで下ろしてから、
「まだよ。」
と言いました。
「じゃあ、先に洗っていらっしゃい。お食事もじきできるから、あったかいうちに食べて、それから、ふたりでお弁当を作りましょうよ。」
お母さんが言ったので、マーサは、ベーコンの包みを食卓の上に載せてから、
「うん。私ひとりで作るのよ。お母さんは休んでいてね。」
と言うと、両手をすり合わせながら、急いで洗面所の方に駆けて行きました。
お母さんは、嬉しそうにくすくす笑いながら、さっき洗ったにんじんの皮をむきはじめました。
それから、お父さん、ジェミー、クロードの順に起きてきて、お母さんやマーサと一緒に、食事の準備が整った食卓に着きました。
食卓の上に、玉レタスとベーコンの紙包みが載っていたので、クロードがお母さんに聞きました。
「これも食べるの?」
「それはね、マーサがお弁当を作る時に使うの。」
お父さんがそれを聞いて、
「マーサが作るのかい。それは楽しみだな!」と言いました。
「今からみんなの分を作るのかい。間に合うかな。」
ジェミーが、トーストにジャムを塗りながら聞きました。
お母さんは、
「二人のお弁当は、もうできているわ。マーサは、クロードのお弁当を作るのよ。」
と答えました。
マーサは、
「そうなのよ。ごめんなさいね。」
と言いました。
お父さんは残念そうでしたが、ジェミ―は安心したようすでした。クロードは、マーサに頼んで、ベーコンをたくさん挟んでもらおうと思いながら、ピーナッツバターをたっぷり塗ったトーストをほおばりました。


つづく


ちょっとお話が長くなりそうなので、いったんここで筆をおきます。
お父さんとジェミ―は、今回のお話が初登場です。
ジェミ―は、マーサとクロードの、歳の離れたお兄さんです。

続きが書けたら、またご紹介しますね。
お楽しみに♪

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童話 『マーサは釣り人』 第1話|Kobitoのお絵描きブログ