今日は、ファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の第4章、第6話を書き進めてみようと思います。
挿絵は、今回のために新しく描いた、ダンケルたちの宿泊する宿場町の様子です。
長谷川利行という画家の、速記のような画風が好きなので、似た感じになるように、できるだけ短時間で描き上げてみました。


これまでのあらすじ

サキを追うために魔法庁から派遣された役人ダンケルとマイネは、最初の宿場町に到着しましたが、町の手前の荒野で、奇妙な白い影に行く手をさえぎられます。
白い影は、何をするでもなく、二人が通り過ぎると消えてしまいましたが、二人はその影のかもし出していた、ただならない雰囲気をはっきりと感じ取ったのでした。



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夕食をすませ、宿に落ち着くと、ダンケルはベッドに大柄な身体を横たえて、窓の外の月明かりに浮かんだ街路樹を見上げました。
その木は宿屋のすぐ横に生えていて、ダンケルのいる二階の窓よりも高く、枝葉を伸ばしていました。
「あの白い影は、誰かのいたずらではないね。」
隣のベッドに座ったマイネが話しかけました。明りの灯らない部屋で、彼の姿は青黒くぼんやり見えるだけです。
ダンケルは、「そうかな。」とだけ答えました。
「魔法庁が、僕らの仕事ぶりを試しているのかも。」
「そうかもな。」
ダンケルは、答えたあとで、違う、と思いました。あの影には、もっと何か、得体のしれない力を感じました。通り過ぎる時、頬をかすめたのは、暗く、冷たく、荒涼とした大地の感触でした。
「二度と現れないと良いけど。」
マイネはそう言いながら、のそのそベッドに横になりました。
「俺もそう願うね。」
ダンケルはわざと軽い調子で答えると、街路樹の、真っ黒な枝ぶりを見つめました。
星の見えない、薄明るい紺色の空が、街路樹の背後に広がっていました。
二人ともまだしばらくは、寝付けそうにありませんでした。


つづく



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『魔法使いサキの物語』第4章・第6話|Kobitoのお絵描きブログ