今日は、オリジナルのファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の第4章第5話を、書き進めてみようと思います。
挿絵は、今回のために描いたもので、これで完成です。
馬にまたがった人を正面から描くって、なかなか難しいです。
私自身、子供の頃乗馬体験をしたことがあるような、ないような・・・、でも、馬と触れ合っていれば、鮮明に覚えているはずなので、きっと乗ったこと、無いんでしょうねぇ。
人から聞いた乗馬体験を、自分の事のように思っているのかも。^^;



前回までのあらすじ

西方の地へ旅立ったサキに、忘れ物を届けるため、新米役人のダンケルとマイネが魔法庁から派遣されました。
サキは六日も前にテトの都を発っているので、二人は彼女が見つかることは期待していませんでしたが、ともかく役人になって初めての仕事をきっちりこなそうと考えて、魔法庁から与えられた馬を駆って先を急ぐのでした。

-----------------------------------------

街道に出て、半時間ほど馬を走らせた後、二人は南西のシナイへ向かう街道から外れ、再び荒野に馬を乗り入れて走り続けました。
馬は二頭とも、美しい外見とは裏腹に、野生馬のようなたくましさで、ミモザの低いやぶを飛び越え、土ぼこりをあげながら、二人の操るままに走って行きました。
太陽が西の空から黄金色の光を投げかけるころ、最初の宿場のモリーの街並みが、かすんだ地平に見えてきました。
急に、馬が低くいなないて脚を止めたので、ダンケルは危うく鞍から振り落とされそうになりました。
体を起こしてあたりを確かめると、さっきまで何もなかったはずの行く手に、紙を切り抜いたような薄っぺらな人型の影が立っているのが見えました。

img552c2s-.jpg

「冗談はやめて早く町に入ろうぜ。」
ダンケルはそう言って振り返りましたが、マイネはやはり馬を止めて、眼鏡の奥からしげしげとその影を確かめながら、
「それ僕の冗談じゃないよ。」
と言いました。
そこで、ダンケルはぐるりと周囲を見回しました。見晴らしの良い低い草地の平原には、兎一匹いる気配がありません。
しばらく様子をうかがっていましたが、その影は、白い身体を、かすかに揺らめかせているだけのようでした。
ダンケルが影を避けるように馬を進めたので、マイネも反対側から同じように馬を歩かせました。
どちらの馬も、おびえた荒い息をして、早くその場から走り去りたいというように、脚をときおり高く上げながら、手綱になだめられて歩んで行きました。
影を通り過ぎ、かなり離れたところまで進んで、二人が振り返ると、その影は、頭からすうっと姿が薄れて、やがて地面に吸い込まれるように消えて行きました。
ダンケルとマイネは、顔を見合わせて、あたりを注意深くうかがいながら、また馬を歩ませ始めました。
そのまま、馬を駆けさせずに、モリーの宿場に向かいましたが、その間、何度振り返っても、影はそれきり姿を現しはしませんでした。


つづく

関連記事
拍手ボタン
コメント:
この記事へのコメント:
コメント:を投稿する
本文:
 
「魔法使いサキの物語」第4章・第5話|Kobitoのお絵描きブログ