今日は、久しぶりに自作のファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』を書き進めてみようと思います。
今回は、第4章の第3話です。
挿絵も色塗りが完成したのでご覧下さい。


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右の背の高い方がダンケル、左の背の低い方がマイネです。
二人は魔法使いで、フラトの魔法庁の登用試験を受けに、テトの都に来ています。
魔法長官スナクフの部屋に招かれた二人は、そこで登用試験に合格した事を伝えられ、帽子のトミーが入った小箱をサキに、それから、占いに使う魔道具をキッタス村まで届けてほしいという依頼を受けました。
二人は今、魔法庁の役人として、最初の仕事に取り掛かろうとしているのです。

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ダンケルとマイネは、テトの街角を並んで歩きながら、念願の魔法庁の役人になれた事に胸を躍らせていました。
フラトの魔法庁に勤めるという事は、この国だけでなく、周辺国で不遇をかこつ魔法使いたちにとっても大きな憧れでした。
科学技術と魔法研究の最先端であり、高名な魔法使いが高官として名前を連ね、月々の俸給は厚遇され、何より、貴族と対等の身分が、国王アモスの名のもとに保障されていたからです。
「この役目のおかげで、スナクフ様とも近づきになれたし、まったく俺たちはついてるよ。」
ダンケルは帽子のトミーが入った小箱を、あらためてためつすがめつしながら言いました。
「でも、六日前にテトを発ったなら、国境にはもう着いているだろうし、いつまでもそこに留まっているとも思えない。何か深い事情があるようだから、検問所を通らずに国境を越えたかもしれないよ。」
マイネは小箱の中にも聞こえるように、若干大きな声で言いました。
「それならそれで、魔法庁に引き返すまでさ。スナクフ様も国境まで追えばいいっておっしゃったんだから。」
ダンケルは、小箱のふたを指で軽く叩いて、「お前には気の毒だが、サキが見つからなければ、スナクフ様に引き取ってもらうぜ。」
と言いました。
小箱は、うんともすんとも言いませんでした。スナクフから受け取った時から、小箱は鍵がかかったように、ふたが固く閉じられていました。スナクフによると、実際は鍵がかかっているのではなく、開かないように中から力がかけられているだけだという事でした。
トミーが取り残された詳しい事情を、スナクフから聞き出すことができなかったので、二人はトミーからそれを教わることができればいいのに、と思っていました。だから、トミーが小箱のふたを自ら開けてくれるように、事あるごとに話しかけていたのです。

都を東西に貫く大通りの西の端に、各方面からの駅馬車が集まる銅板屋根の大きな建物が立っていました。
二人はそこで、魔法庁が準備した二頭の馬と、旅の荷物を受け取りました。
馬は栗毛と芦(あし)毛で、どちらも丁寧に手入れされ、鞍も彫金が施された特別上等なものでした。
「近衛兵の行進の先頭を歩くような馬だな。」
ダンケルは鞍にまたがるのももったいないというように、馬の涼しげな瞳を見つめて、そのたくましい首筋をなでてやりました。
「当然さ、僕らはこの小箱様の護衛という大役を仰せつかっているんだから。」
マイネはダンケルから小箱を受け取ると、栗毛の馬の荷袋の中にしまい込みました。ダンケルも背負っていた魔道具の入った木箱を、魔法で芦毛の馬にくくり付けました。
「日が暮れるまでにモリーの宿場までたどり着けるといいな。」
「この馬なら大丈夫さ。さあ、参りましょうぞ、近衛兵長殿!」
二人は馬にまたがると、昼下がりのにぎやかな街路に蹄の音を響かせながら、一路西へ向かって旅立ちました。



つづく

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『魔法使いサキの物語・第4章』第3話|Kobitoのお絵描きブログ