今日は、『ありを見つめるマーサ』のイラストが完成したので、ご紹介します。
マーサというのは、ミニチュアハウスに住んでいる猫の女の子で、三歳くらいです。
この絵の真ん中に座って、ありを見つめている子がマーサです。


img424cs.jpg

マーサの隣にかがんでいるのは、お兄さんのクロードです。人間でいうと、六歳くらいです。そして、マーサの隣に座っているのは、熊のぬいぐるみのマーチです。

では、これから、この三人が、どんなことを話しているのか、教えますね。

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それは、ある夏の日のことでした。
マーサは、クロードを探していて、庭のすみで見つけました。
クロードは、こちらに背を向けて、前かがみになって、地面を見つめていました。
マーサは、くまのマーチをしっかり抱いて、クロードの所に行くと、一緒に地面を見つめました。
ありたちが、乾いた土の上を、長い列を作って、せっせと歩いていました。
「そろそろ、面白いものが来るよ。」
クロードが、小声で言いました。
「だれが来るの?」
「おしりに、しっくいを塗ったあり。」
マーサは、たくさんの黒いありの中で、一匹だけ、おしりの白いありが来たら、さぞ面白いだろうと思いました。
そこで、マーチを隣に座らせて、自分はしゃがんで、そのありが来るのを、待っていることにしました。
すぐそばのナラの木には、あぶらぜみがとまって、ジージー鳴いていました。
ナラの木が、枝葉をクロードたちの上に広げていたので、ありの行列は、木陰で見ることができました。
しばらく、そうやって見ていましたが、おしりの白いありは、いっこうに通りかかりませんでした。
クロードは、どこかで引っ掛かっていないかと思って、行列の来る草むらの方を、見に行きました。
そして、戻ってくると、こう言いました。
「どうやら、迷子になったらしいぞ。僕はもう、魚とりに行く。」
マーサは、ありの行列を見下ろしながら、「私、見てる。」と言いました。
クロードは、「待ってても、無駄だぞ。」と言いましたが、マーサが動かないので、仕方なく一人で魚とりに出かけました。
マーサは、迷子のありを探して、列にもどしてあげようと思い立ちました。
そこで、立ち上がってから、マーチに言いました。
「ここで、ちゃんと見ててね。ぜったいね。」
でも、マーチがもしおしりの白いありを見つけても、大声で呼んでくれるわけではありません。
マーサは、またしゃがみ込みながら、
「あんたが、ものが言えたらねぇ。」
と残念そうに言いました。
あぶらぜみは、ジーッと鳴きやんで、今度は幹の上の方で、みんみんぜみが鳴きはじめました。
マーサは、ちょっと目を離したすきに、おしりの白いありが、大急ぎで通り過ぎるかもしれないと思って、できるだけ、まばたきもしないようにして見ていました。
でも、だんだんそわそわ、落ち着かなくなってきました。
「私がいない間、通らないと思う?」
マーサはマーチに聞きました。マーチは、考え込むように、ありの行列を見つめました。
もうどうしてもがまんができなくなって、マーサは草むらに向けて叫びました。
「早く、早く!」
すると、草むらから、ひょっこり、おしりの白いありが出てきたのです。行列にちゃんと加わって、まっすぐにこっちへ歩いてきます。
マーサはマーチをだっこして、そのありの所へ駆けて行きました。
おしりの白いありは、遅れを取り戻そうとするように、一生けんめい急いでいました。
マーサはそのありを見失わないように、どんどん追って歩きました。
行く手を見ると、ありたちは垣根のたもとにある小さな穴に、吸い込まれるように次々と入りました。
マーサは、マーチがよく見えるように、その穴の前でかがんで待ちました。
おしりの白いありは、まっしぐらに駆けて来ると、みんなといっしょに、あわただしくその穴に入って行きました。
マーサはそれを見て、満足そうに一息つきました。そして、マーチを小脇に抱えると、「早く、早く!」と言いながら、今度は自分が、飛ぶように走って家に帰りました。


おしまい


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童話と挿絵「ありを見つめるマーサ」完成|Kobitoのお絵描きブログ