今日は、製作中のファンタジー小説、『魔法使いサキの物語3』の、第15話を書き進めてみようと思います。
挿絵は、1年半ほど前に、このお絵かきブログで紹介した絵です。今回ようやく出番が回ってきました。物語を書き続けることができれば、将来再び、登場させる機会が巡って来ると思います。

[前回までのあらすじ]
テトの魔法長官スナクフに、カン・ソク先生の消息を占ってもらえることになったサキは、帽子のトミーの裏地を少しもらって、いよいよ魔法具『水鏡』の前に立ちます・・・。


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「占いを始める前に、ひとつ、約束してほしいの。」
スナクフは、手水鉢(ちょうずばち)をはさんで向かい合ったサキに言いました。
「ここで見たこと、聞いたことは、決して他言しないという事よ。これは、口約束ではないの。魔法による契約よ。もし、破ることがあれば、あなたは自分がもっとも恐れるものから、責めさいなまれ、遠からず命を奪われるでしょう。」
「決して口外はいたしません。」
サキは、命懸けの約束と聞いて、戸惑いましたが、覚悟を決めて、深くうなずきました。
そこでスナクフは、サキに左手を出させて、その中指に何かをはめ込みました。サキは、はっきりと、その指に、空気でできた指輪のようなものが巻き付いたのを感じました。
「水の面に、トミーの裏地を浮かべなさい。」
サキが言うとおりにすると、裏地は水を吸わずに、手水鉢の真ん中で浮かんだままになりました。
「これは小舟です。あなたは、この小舟に乗って、広い湖の上を漂っています。あなたは、船べりから水底をのぞきます。水が澄んでいるから、底の方まで、見通せるでしょう。薄暗いところがあれば、目を凝らしてごらんなさい・・・。」
スナクフの言葉が、次第に霧の中にぼやけて、サキの目の前に、青白い世界が広がりました。サキは、自分が船の上に腰かけているのか、水に潜ってあたりを見まわしているのか、よく分かりませんでした。くぐもった風音が、遠くからかすかに聞こえてきました。水底の一点が、黒い影におおわれていて、音はそこから聞こえるようでした。サキはもっとよく見ようと、首をそちらに伸ばしました・・・。
「あっ!」
サキが突然、声をあげてよろめいたので、スナクフも、はっとしてサキを見つめました。
サキは、しばらく目を大きく開けて、ぼんやりしていましたが、スナクフに名前を呼ばれると、まごつきながら大慌てで話し始めました。
「馬に乗った、男が見えました。知らない男です。あたりは吹雪で、うなるような風音も、はっきり聞こえました。冷たい空気や、頬を打つ雪の痛さも感じました。男が、大きな黒い馬の上から、私を見下ろしている・・・。魔法使いです。怖かったけれど・・・、彼自身、おびえているような、悔いているような・・・。」


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「それは、あなたがこの先、経験するであろう光景ですよ。あなたの魔法使いとしての高い資質が、来たるべき未来を垣間見せたのです。私には、そこまではっきりとは見えなかった。」
スナクフは、水に沈みながら消えて行く、トミーの裏地を見つめながら言いました。
「私が見たのは、一つの桃色の光でした。はるか西の、冷たい大地で揺らめく、すぐれた魔法使いの魂です。」
「では、おじ様は、カン・ソク様は、生きておられるのですね!」
サキは握りしめた両手を、胸に押し当てて、かすれた声で叫びました。
「ええ・・・。」
スナクフは、何か言いかけましたが、サキのかぶった帽子のトミーが、それをさえぎって言いました。
「だから言ったろう?あいつは簡単にくたばる玉ではねぇんだ。村で待っていれば、じきに達者だって便りをよこすだろうよ!」
しかし、サキはスナクフが言いかけたことが気になりました。
「何か、ほかにも見えたのですね・・・。どうぞ、何もかもおっしゃってください。」
スナクフは、トミーが歯をむき出して制止しようとしているのを知っていましたが、
「契約を交わした以上、隠し事をするわけにはいかないのです。」と言って、サキに話し始めました。
「カン・ソクの魂を、黒い渦が取り囲んでいました。彼の魂はとても弱っていて、その渦から抜け出すことができないのです。渦は徐々に彼を蝕ばみ、力を奪おうとしています。」
「では、カン・ソク様は危険な状態なのですね。」
スナクフはうなずきました。
トミーは両目をつぶって、
「吹雪で足止めをくっているだけさ。暖をとって、体力が戻れば、自分で何とかするだろうよ。」
となげやり気味に言いました。


つづく


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この記事へのコメント:
こんなに

ハラハラドキドキ((〃゚艸゚))ドキドキ

しながら読んだのは初めてです

小舟の上でっていう発想

素晴らしいですね

やってみたいです
2013/12/15(日) 18:32 | 湖の麓より
麓さん、
長いお話になりましたが、読んでもらえてすごく嬉しいです。
サキが感じたハラハラドキドキを、麓さんにも味わってもらえたんですね。^^
小舟から湖の底を覗くっていうのは、私もやってみたいことです。手漕ぎサイズのボートに、乗ったことがないので。^^
2013/12/15(日) 18:42 | Kobito
手漕ぎサイズのボート

ワクワクしますよ~

麓はタコ釣り漁船

いわゆる

一番小さい漁船



カヌーも大丈夫です^^

沈没しても泳げるから

でも極寒の寒さの鱈漁船に乗った時は

寒さで死ぬかと思いました(・・;)
2013/12/15(日) 19:10 | 湖の麓より
麓さん、
おお~、小舟のスペシャリストですね。^^
いつか、機会があれば、漕ぎ方を教えてもらいたいです。
私の兄弟は、一度だけボートに乗ったことがあるんだけど、後ろに進まないで、前に進んでいました。^^
2013/12/15(日) 19:51 | Kobito
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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第15話|Kobitoのお絵描きブログ