先日から色塗りを進めていた『私の物語』のイラストに、少し固有色を塗り始めたので、様子を公開したいと思います。絵を描くときに、いつも不思議に思うのは、まだ描いていない線や、塗っていない色が、「ここだよ!」と言うように、紙の上に見える、という事です。
これは、たぶん、たくさんの絵を描けば描くほど、はっきりと見えてくる物なんじゃないかなと思います。集中力が途切れると、見えなくなるので、そういう時は、ペンや筆を止めて、時間を置いてからまた描き始めます。

前々回に書いたこの絵の物語の続きを、また絵の下に書いてみたので、良かったら絵と一緒に楽しんで下さい☆

私の物語下塗り3 正視化縮小

 さえは高校の入学式を控えたある日、高熱を出して寝込んでしまいました。病院で見てもらうと、お医者さんは、「受験勉強で、頑張りすぎたかな。」と言いました。さえは、お父さんの勧める、地域で一番難しい高校を受験して、合格していました。そのために、さえは朝から夜遅くまで、毎日毎日休みなく勉強し続けました。その疲れが、出たのだろうという事でした。
さえは家に帰ると、布団に横になって、食事もとらずに眠ってしまいました。頭の中では、方程式や、元素記号が、グルグル回って、自分の体が、まるで自分のものではないような気がしました・・・。
 気が付くと、さえは真っ暗闇の中に、一人でぽつんと立っていました。手さぐりで、前に進むと、小さな火のついたランプが、空中にぶら下がっていました。さえはでこぼこした木の幹に手が触れたので、その木に抱きつくようにして、ランプの真下に立ちました。すると、ランプの灯がパッと燃えあがって、顔のあるクスノキが、さえを見下ろしながら「どこに行ってたんだい?」と聞きました。さえはあんまり驚いて悲鳴を上げました。クスノキも、びっくりした様子で、ランプの灯を消してしまいました。
「トン叔父さん、いたのかい?」
さえの後ろで、そういう声がして、再び明かりがともると、背広姿の操り人形が、座り込んださえに手を差し伸べていました。
「先住民の落とし穴に落っこちたかと思ったよ。さあ、続きを話しておくれ。」
操り人形がそう言うと、トン叔父さんと呼ばれたクスノキは、枝葉をゆすって、
「おいジョージ、わしの顔に、虫か何か、付いているのかね?」
と、聞きました。
「顔には付いてないよ。」
ジョージという操り人形は、トン叔父さんを上から下まで観察してから言いました。胸のあたりに、茶碗ほどのテントウ虫が、ウトウトまどろんではいましたが。
「私、何の事だかわからないわ。」
さえは、ジョージにひっぱり起こされながら言いました。
「分からないのは、僕らだって同じさ。この物語には、謎が多すぎるんだよ。」
ジョージはもっともらしくうなずきました。
トン叔父さんを先頭に、さえたちは暗い森の中を歩きはじめました。さえには不思議で仕方がありませんでした。なぜって、この森も、ジョージもトン叔父さんも、以前からよく知っていたような気がするからです。でも、さえには、それがどうしてなのか、さっぱり思い出せませんでした・・・。


つづく

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ファンタジーイラスト 『私の物語』 第2話と彩色1|Kobitoのお絵描きブログ