今日は、制作中のファンタジー小説、『魔法使いサキの物語3』の、第13話を、書き進めてみようと思います。
挿絵は、下絵をケントボードにトレースした状態です。何となく、チェス盤の上の駒のような雰囲気になりましたね。
サキとスナクフの会話は、もう少し続きますが、次第にお互いの事が分かって来ると、言葉にも、ゆとりや調和が表れて来るのではないかと思います。


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スナクフは、時折相づちを打ちながら、サキの話に耳を傾けました。
そして、サキが、話を終えても、しばらく、言葉を発する事ができませんでした。
「カン・ソク様が、ご無事かどうか、知りたいのです。スナクフ様は、尋ね人の消息を知る魔法をご存じだと伺っております。どうか、お力をお貸し下さい。」
サキは、両目をつぶって、深く頭を垂れました。
間もなく、サキの手に、そっとスナクフの手が重ねられました。
「分かりました。占ってみましょう。それにしても、あなたがヌマ様の弟子でもあるとは・・・。」
スナクフは、少し当惑した様子で、サキを見つめていましたが、ふっと立ち上がると、部屋の隅の、大きな戸棚に歩いて行きました。
促されて、サキもそちらに行くと、スナクフは、両開きのガラス扉を開いて、中から長い木製の三脚がついた、岩石の塊を取り出しました。その黒色の岩は、手水鉢(ちょうずばち)のような形で、鉢の中には、冷たそうな清い水が、ふちまでいっぱいに満たされていました。
「あなたがここに来るひと月前、私は、私自身を占ったのです。そして、あなたがここに来ることを知りました。でも、それは、大きな縁(えにし)が訪れる、という、あいまいな予感でしかありませんでした。」
スナクフは、三脚を開いて道具を床に置くと、波一つ立たない水面に見とれているサキに言いました。
「十年前もそうでした。私は、カン・ソクがここを訪れることを、占いで知っていたのです。彼は、本当の人間にもどる方法を探していて、そのありかを、占って欲しいと言いました。私は、ある事と引き換えに、それを引き受けました。占いの結果は、やはりあいまいなものでした。私は、こう告げたのです。”あなたは間もなく、大きな悲しみと、小さな幸せに出会うでしょう。求めるものは、その先にあるのです。”」
サキが、突然、声をあげて泣き出しました。スナクフはびっくりして、
「どうしたのです。」
と聞きました。
「その、小さな幸せって、私の事です。私は、その時十歳でした。でも、私は、おじさまに導いてもらうばかりで、なんにもお返しができなかった!」
サキはとぎれとぎれに話しながら涙をこぼしました。
「あきらめてはいけません。とにかく、占ってみましょう。」
スナクフは、サキの背を優しくさすって、興奮が収まるのを待ちました。
そして、
「尋ね人の事を占うには、その人が身につけていたものの断片が必要なの。あなたはそういうものを持っている?」
「いいえ。あ、一つだけ・・・。」
サキは、弱々しくしゃくりあげると、ポケットから、小箱を取り出しました。
スナクフは、それを見てぎょっとしましたが、サキは、そうとは知らずに、
「ずいぶん前に、カン・ソク様からゆずって頂いたものです。」
と言って、ふたを開きました。
「トミー・・・。」
スナクフは、小箱の中で大人しくちぢこまっているとんがり帽子を見て、つぶやきました。
トミーはバツが悪そうに、半笑いを浮かべながら、
「久しぶりだな。」
と言いました。



つづく



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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第13話|Kobitoのお絵描きブログ