これは、私の書いたありんこの詩から、イメージを膨らませて描いたイラストです。詩は、こんな内容です。


「この幸せは小さすぎるよ」と
ありんこのジョーが
言いました。
砂粒ほどのお砂糖を
寒さでゆがんだ
口にはさんで


この詩の、悲しい響きから、温かい意味を導き出した私の友人に、尊敬と、感謝を込めて、この絵を贈りたいと思います。合わせて、絵から想像した物語も書いてみたので、イラストと一緒に楽しんで頂ければと思います☆

ありんこ下絵 正視化縮小


 冬、ありんこのジョー達の住む巣では、降り続いた長雨のせいで、たくわえておいた食べ物が水につかって、ほとんどが腐って食べられなくなりました。わずかに残った草の種を、みんなで分け合ってしのいでいましたが、それも底をついて、とうとう、明日からは、食べる物が何にも無くなってしまいました。
女王は、みんなを集めると、こう言いました。
「このままでは、私達全員、飢え死にするのを待つばかりだ。みんなで『幸せ』を探しておいで。」
幸せというのは、ありんこの言葉で『食べ物』のことです。
寒さに弱いありんこ達は、冬に巣から出た事がありません。でも、このままでは飢え死にしてしまうので、女王の言う通り、巣から出て、食べ物を探しに行く事にしました。
ジョーとトニは、いつも一緒の仲良しだったので、今度も一緒に出かける事にしました。
巣の入り口を開けると、凍るような冷たい風が、ありんこ達に吹きつけました。みんなは、ガタガタ震えながら、思い思いの草むらへ、次々に出発しました。ジョーとトニも、肩を寄せ合いながら、いつも行く野原の方へ歩き出しました。
「幸せは、どこに行けば見つかるの。」トニが聞きました。
ジョーは、「秋に見つけた、空き袋のところへ行ってみようよ。」と言いました。
暖かい頃には、歩きなれた道も、冬はずっと険しく、道のりも遠いように感じられました。ここ何日も、草の種を少ししか食べていなかった二人は、風に吹かれれば飛ばされてしまいそうなほど、お腹を空かせていました。
途中、凍った水たまりを回り道したので、野原に着くころには、ジョーもトニもくたくたに疲れていました。
ドーナツの空き袋は、枯れ草に引っ掛かって、まだそこにありました。ジョーは袋の中にもぐりこんで、食べ物が残っていないか、しばらく探してみました。でも、あんなにあった砂糖の粒も、秋に他のありが運んでしまったので、どこにも見当たりませんでした。それでも、隅の方に手を伸ばすと、一粒だけ、小さな砂糖のかけらが出てきました。ジョーは、それを持って袋から出て来ました。
トニは、両手を胸で握り合わせて、ジョーを待っていました。やせた頬は青ざめて、泥だらけの体はぶるぶる震えていました。
ジョーは砂糖のかけらを二つに割って、一つをトニに渡しました。
そして、トニに「さあ、お食べ。」と言いました。
「持って帰らないの。」トニが聞きました。
ジョーは、砂糖を口にはさんで、
「この幸せは小さすぎるよ。」
と言いました。
それで、トニは、安心して食べました。でも、ジョーは口にはさんだまま、食べるふりをしただけでした。少しでも持って帰って、自分よりもお腹をすかせた仲間に、食べさせようと思ったのです・・・。



つづく

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ファンタジーイラスト 『小さな幸せ』 下絵|Kobitoのお絵描きブログ