今日は、制作中のファンタジー、『魔法使いサキの物語3』の、第12話を、書き進めてみようと思います。
挿絵も、今回から新しい場面を描き始めました。サキとスナクフが、魔法庁の一室で語らっている様子です。
背景を描くのは、けっこう面倒なんですが、描けば雰囲気が伝わりやすくなるので、できるだけがんばった方が良いようです。
それでは、お話の続きを、絵の下からお楽しみ下さい♪


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「では、あなたのお話を聞かせて。」
スナクフは、気を取り直したように言いました。サキは、少し躊躇してから、尋ねました。
「私からも、質問を一つさせていただけますか?」
「いいえ、今はなりません。」
スナクフは、穏やかに言うと、いつの間にか手に持っていた、細長い棒で、サキの靴をこつんと叩きました。
低い破裂音がして、サキの足の下から、まっ白な煙が勢いよく噴き出しました。
サキが驚いて立ち上がると、スナクフは手ぶりで座るようにうながして、煙の収まった靴を示しながら、「そっと上げてごらんなさい。」と言いました。
言う通りにすると、床にはサキの靴跡が、黒くくっきりと残っていました。
「それは、音波を電波に変えて発信する事ができる、鉱石を使った魔道具です。」
スナクフは、ぽかんとしているサキに、さらに説明しました。
「私たちの会話も、音波でできていますから、電波として発信され、別の場所で受信できれば、そこで会話を再現する事ができる、という事です。」
「では、あの、誰かが、盗み聞きをしている・・・。」
サキは、そこまで言って、あわてて口を押さえました。そして、魔法庁の玄関広間で、チョッキの男から、奇妙な黒い塊を踏まされたことを思い出しました。
「大丈夫。今この鉱物は、ニャアニャアという、子猫と母猫の会話を発信しているだけですから。」
スナクフは、愉快そうに、ハハハッと笑いました。
サキは、あらためてスナクフの魔法の技能に感心し、またいかがわしいものを持ち込んだことに恐縮しながら、きちんと椅子に座り直しました。
そして、こう言いました。
「こんな事を言うと、奇妙に思われるかもしれません・・・。でも、何かお役に立てる事があるかもしれないので・・・。」
「言ってごらん。」
スナクフがうながしたので、サキは、話しはじめました。
「鷲に、抱きついた時、私、ただの鷲じゃないと感じたんです。あれは、心と身体が調和していない、別の生き物の、仮の姿ではないかと・・・。そういう感じを、以前、経験したことがあるんです。」
「経験したことがある?」
「はい。」
サキは、カン・ソクのことを、どこまで話していいのか分からなかったので、ただ、うなずきました。
スナクフは、困ったように微笑んでいましたが、やがて、
「その通りです。あれは、私が化身した姿です。」
と言いました。
サキははっとしましたが、スナクフは話し続けました。
「自分の意思とは関係なく、日に一度、鷲に変身してしまうのです。でも、私はこのことを、隠し通さなければいけません。魔法使いに対する、王の信頼を、損ないたくないからです。この国で、我々が多くの犠牲を払って、ようやく手にした普通の人間としての地位を、すっかり失わせることにもなりかねませんから。」
サキは深くうなずきました。
「カン・ソク様も、そういう体質だったのです。私、カン・ソク様の弟子なのです。」
スナクフは、ホホホッと笑いました。
「ようやく、話がかみ合ってきたわね。それにしても、カン・ソクは弟子をとらないと言っていたのに、気が変わったのかしら?」
そこでサキは、幼少の頃の師匠であるヌマの事や、彼女が亡くなってから後の、カン・ソクとの暮らしぶりについて、手短に話して聞かせました。



つづく




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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第12話|Kobitoのお絵描きブログ