今日は、制作中のファンタジー、『魔法使いサキの物語3』の第7話を書き進めてみようと思います。
挿絵も、新しく描き始めたので、ラフを公開します。


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この絵は、少し先の場面を描いているので、文章は、この場面に向かって、進んで行く事になります。
都会のただ中に居るはずのサキが、どうして森の中に居るのか。そして、この恐ろしく大きな鳥は何なのか、次第に明らかになって行きます・・・。

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運河を黄金色にきらめかせていた太陽は、やがて西の街並みの向こうに傾き、東からは、青味がかった夕闇がゆっくりと迫って来ました。サキは、相変わらず、堤防の石積みに腰をおろして、魔法庁に出入りする人々を、注意深く眺めていました。
「彼らの中にも、きっと魔法使いがいる。だけど、見分けることはできない。誰もごく普通の姿をしている。」
サキは、そんな事を考えながら、ふと、魔法庁の上階に目をやりました。
いつの間にか、最上階の一室の窓が開いて、大きな黒い影が、空に向かって飛び立つところでした。
「なんて立派な鳥だろう。鷲かしら。」
鳥は長い翼をいっぱいに広げて、街の上空を滑空すると、ゆるやかに方角を変えて、運河に沿って上流の方へ飛び去って行きました。
サキは、よく訓練された鳥だな、と思いながら、その影が空に霞んで消えて行くのを見送りました。
それから、日暮れまで待ちましたが、スナクフらしい人物が、魔法庁に出入りする事はありませんでした。
「今日は、おいでにならなかったのかもしれない。」
サキは、がっかりしましたが、今夜の宿を探さないといけないので、大慌てで庁舎通りを後にしました。

翌朝、サキは、裏通りの安宿を出ると、表通りのパン屋でハムサンドを二つ買い、少し霧がかった運河沿いを、歩いて再び魔法庁の前まで来ました。
衛視は、昨日のいかつい男ではなくて、薄い口髭を生やした若い男でした。やはり、青い制服姿で、長い槍を持って、柱のそばに立っています。夜勤明けらしく、時折、横を向いてあくびをしていました。
サキはハムサンドを食べながら、衛視の様子をうかがっていました。衛視も、サキが見ている事に気が付くと、あくびをやめて、しゃんと立って格好を付けました。

まだ、人通りも少なかったので、サキは手持ちぶさたで、運河の方を眺めました。
すると、遠くの空から、何かが飛んで来るのが見えました。それは、黒くて大きな、昨夜のたくましい鳥でした。
鳥は、一直線に魔法庁の方に飛んで来ると、最上階の窓辺に降り立って、そのまま部屋の中に入りました。
「あの部屋に、スナクフ様が居られるのかもしれない。」
サキは、そう思うと、矢も楯もたまらなくなって、まっすぐ衛視に駆け寄りました。
衛視は、直立不動の姿勢のまま、横目で、サキを見ました。
サキは、何を話したらいいのか、すぐに思い付きませんでした。そこで、
「スナクフ様は、鳥を飼われているのですか?」
と質問しました。
「鳥?」
衛視は、片方の眉を上げて、いぶかしそうに聞き返しました。
「そう、あの、出入りしている鳥です。」
「鳥が出入りしているだと?」
衛視は、車寄せから下りて、通りに出ると、ふり返って、魔法庁を見上げました。サキも一緒に見上げると、最上階の窓は、いつの間にか、すっかり閉じられていました。
「何だ、鳥などいないじゃないか。」
衛視は、ムッとして、サキをにらみました。
サキは、衛視が、鳥の事を知らなかったので、驚きましたが、これは何か、事情があるのではないかと思ったので、とりあえず、ごまかすことにしました。
「ごめんなさい、鳩が窓辺に止まろうとして、何度もぶつかっていただけみたい。」
衛視は、「くだらん事でわずらわすな。」と言って、元の場所に戻りました。
サキは慌てて駆け寄ると、
「スナクフ様に、お手紙を差し上げてもよろしいでしょうか?」
と尋ねました。
「ならん。手紙は、紹介状が必要なのだ。」
サキは目を丸くしました。そんな変な習慣、あるでしょうか?
衛視は、サキの風態をじろじろ眺めてから、
「お前、付け届けに来たのだな。止めておけ。スナクフ様は、そういう者から先に、落第の評価を下す事にして居られる。」
と言いました。
どうやら、衛視は、サキを登用試験の受験生だと思ったようでした。


つづく





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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第7話|Kobitoのお絵描きブログ