今日は、制作途中のファンタジー「魔法使いサキの物語3」の、第6話を書き進めてみたいと思います。

ビレジ村から、大都会テトに出てきたサキは、そこで知り合った魔法使いのダンケルとマイネから、師匠カン・ソクの過去や、近く行われる、魔法庁の登用試験について、話を聞くことができました。
サキは、二人と別れると、魔法庁長官スナクフとの面会を求めて、魔法庁のある街の中心部へと向かいます。

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「ねえ、どこか具合が悪いの?」
サキは、表通りへ通じる道を戻りながら、再び小箱を開けて、トミーに話しかけました。トミーは、さっきとは違って、目をぱっちり開けて、不機嫌そうにサキを見上げていました。
「ああ、悪いね。あんな、どこの誰とも分からない魔法使い共に、じろじろ、のぞき込まれたんだからな。」
「あら、ごめんなさい、お互い、紹介が済んでなかったわね。」
サキは、トミーが元気そうで、安心しましたが、トミーはまだ、怒っていました。
「いや、お前さんは、俺を紹介したぜ。カン・ソクの帽子だったってな。それが、どんなに分別のない事か、お前さんには、分からねえんだ。」
「どうして?」
サキは、すっかり驚いて、尋ねました。
「魔法使いが、旅先で一番気をつけなければいけないのは、何だ?」
逆にトミーが質問したので、サキはじっと考えてから、答えました。
「泥棒?」
「一番怖いのは、泥棒じゃねえ。あんたと同じ魔法使いさ。」
「どうして?」
「未熟な魔法使いほど、自分の腕が試したくなる。普通の人間じゃあ、相手にならねえから、手頃な魔法使いに目をつけて、自分の魔法が通用するか、挑んで来る。」
「さっきの二人なら、大丈夫よ。ほんとに良い人達・・・。」
「それが、すでに、魔法の力だってこともあるんだぞ。」
トミーが、黄色い眼をぎらぎら光らせたので、サキは口をつぐみました。
「いいか、これから、誰かに話しかけられても、素性を明かしたり、俺を見せたりするなよ。格好のカモだって、思われたくなきゃあな。」
「うん、分かった。」
サキは、しょんぼりして、箱を閉じると、スカートのポケットにしまいました。

表通りに出ると、サキはまた小箱を出して、トミーに道を聞きながら、運河にかかる橋を渡って、先ほどの広場の、運河を挟んだちょうど向かいにある、大きな建物の前まで来ました。
白壁にアーチ型の窓がたくさん並んだ、簡素なたたずまいでしたが、他の建物に比べて、際立って背が高いので、近くで見ると、かなりの迫力がありました。
車寄せの屋根を支える太い柱のそばには、青い制服を着た屈強そうな衛視が、片手に槍を持って立っていました。
サキは衛視に歩み寄って、声をかけました。
「魔法庁長官の、スナクフ様は居られますか?」
衛視は、直立不動のまま、サキを見下ろして尋ねました。
「面会の約束は?」
「していません。」
「紹介状は?」
「持っていません。」
「では、会うことはならん。」
サキは事情を説明しようとしましたが、先ほどトミーから注意された事を思い出して、言いかけた言葉を飲み込みました。

仕方なく、その場を立ち去ったサキは、通りを渡って、運河沿いの並木の下の木陰に立つと、再び小箱を取り出しました。
「駄目だったろう?」
トミーが、開口一番に言いました。
「ええ。」
サキは、ため息交じりにうなずくと、堤防の石垣に背をもたせて、西日を浴びた魔法庁を見上げながら言いました。
「スナクフ様がお通りになるのを、ここで待つ事にするわ。」
トミーは何も言いませんでしたが、サキの決めたことに賛成なようでした。


つづく



今回は、初めて挿絵無しのお話になりました。
それというのも、今い描いている挿絵は、魔法庁長官、スナクフの姿を写したものだからです。
さて、どうやって、サキとスナクフは邂逅(かいこう)を果たすのでしょう?
そのプロットは、少しずつ、私の中でできあがっています。
上手くまとまったら、挿絵と一緒にご紹介するつもりです。


Kobito


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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第6話|Kobitoのお絵描きブログ