今日は、制作中のファンタジー、『魔法使いサキの物語3』の、第4話を書き進めてみようと思います。
挿絵も、色を塗り進めてみましたが、淡い色合いを残しておきたいので、これで完成にしようと思います。^^


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お話は、泥棒を捕まえてくれた二人の男と、サキの会話の続きから始まります。
区切りの良いところまで書いたので、かなり長い文章になりましたが、挿絵と見比べながら、三人の気持ちの変化に、思いをはせて頂けると嬉しいです☆


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「カン・ソク様は、立派なお方です。知りもしないで、嘘だと決めつけないで。」
サキが、大男をにらんで言いました。
すると、大男は、肩をすくめて、それでもすこし笑いながら、
「カン・ソクはたしかに立派なお方さ。ウルビソス山の噴火を鎮めた話や、ブリーズ海の暴れ竜を一人で退治した話は、俺も子供の頃に、師匠から何度も聞かされて知っている。だから、そんなお方の弟子が、目の前にいるってことが、にわかには信じられんのさ。」
サキはびっくりしました。カン・ソクからは、そんな話を、一度も聞いたことがなかったからです。
「それに、カン・ソクは弟子を取らないって言うしね。」
笛の青年が、それとなく付け加えました。
それで、サキもちょっと、自信が無くなって来ました。自分の知っている、あの朗らかで、のん気なカン・ソクが、暴れ竜を退治する姿など、想像もできなかったからです。あの人は、本当にカン・ソクだったのでしょうか・・・。
サキが考え込んでいるのを見て、大男が言いました。
「俺はダンケルだ。ギリーニャのラモン様の一番弟子さ。ラモン様は、ちっとも名高くはないが、曲がったことの嫌いな立派なお方さ。」
そこで、笛の青年も名乗りました。
「僕はマイネ。エレスのスカール様の一番弟子だよ。一番と言っても、弟弟子は、まだ六歳だったけどね。」
サキは、二人が気遣ってくれているのだと分かって、
「私、サキよ。ビレジ村から来たの。」
と言いました。
そして、あらためて、
「やっぱり、あの方は、そんな嘘をつく方ではないわ。火山を鎮めた話や、竜を退治した話も、あなた方から初めて聞いたのよ。あの方は、自分を誇るような事は、何一つ言おうとはしなかったんだから。」
ダンケルは、サキがしつこくこだわるので、もう笑うのはやめて、
「まあ、証拠でもありゃあ、別だがね。」
と仕方なさそうに言いました。
サキは、カン・ソクのものだと分かる品物が、鞄の中に無かったか、考えてみました。でも、そんなものは、一つもありませんでした。
そこで、ポケットの中に手を入れてみて、やっと、小箱のことを、思い出しました。
「あるわ。先生から頂いたものよ。」
サキは、小箱を取り出して、二人の前で、ふたを開きました。
中には、小さくなった帽子のトミーが、両目を閉じた仏頂面で、じっとしていました。
「へぇ!たまげたなぁ。」
ダンケルとマイネは、頭を寄せ合ってトミーをのぞき込みました。サキは、不思議に思って、
「何がたまげたの?」と聞きました。正式な魔法使いなら、帽子の精を、珍しがるはずがないからです。
マイネが、あきれて言いました。
「君の師匠は、たしかに由緒のある方のようだけど、魔法使いの世情については、何にも教えてくれなかったみたいだね。」
そして、こう話しました。
「帽子の精を、魔法使いが後継ぎに贈る習わしは、もう百年も前に、すたれてしまっているんだよ。理由の一つは、帽子の精を手なずけるのが難しいっていう事、もう一つは、新しい魂を帽子に宿らせるのが困難なのに、帽子の精自体は、浄化されたり、焼失したりで、簡単にこの世から失われてしまう、という事なんだ。」
サキは、帽子のジャックを燃やしてしまった時のことを思い出して、少しつらい気持ちになりました。
でも、トミーが、じっとしたままなのを見ると、どうしたんだろうと思いながら、声をかけました。
「トミー、私の師匠が、カン・ソク様だって、この人達に言ってほしいの。」
トミーは、黙ったまま、やっぱり両目をつぶって、じっとしていました。
「眠っているのかい?」
ダンケルが聞きました。
「いいえ、でも、今は話したくないみたい。」
サキは、小箱のふたをそっと閉じると、またポケットにしまいました。


つづく


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コメント:
この記事へのコメント:
Kobitoさん

読んでいくにつれて、奥が深いものを感じました

ただ単に物語が存在するのではなく、お話しじたいにとても魅力があります

続きが楽しみです
2013/03/04(月) 19:41 | 湖の麓より
麓さん、
お話、楽しんで頂けたようで嬉しいです。^^
こういう、込み入ったストーリーを書くときは、登場人物に、いかに厚みを持たせるかが大事になって来るので、細かい設定も含めて、それぞれの人生が感じられるように、書いてあげたいなと思っています。
次回はまた、新しい挿絵にチャレンジします。^^
お楽しみに~☆
2013/03/04(月) 20:16 | Kobito
とても楽しみです

いい音色といいお話しでぐっすり眠れそうです

ありがとうございます
2013/03/04(月) 21:51 | 湖の麓より
麓さん、
ええ、眠れ良い子よ~♪です。^^

「子守唄」をHayley Westenraさんという歌手が日本語で歌ったバージョンが、とても美しいので、良かったら下記のURLからチェックしてみて下さい♪

http://www.youtube.com/watch?v=LIvZotLS6so
2013/03/04(月) 22:27 | Kobito
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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第4話とイラスト|Kobitoのお絵描きブログ