今日は制作中のSF小説、『ハテナ』の、第8話を書き進めてみようと思います。
イラストも、新たに描いてみましたが、主人公ハテナの、内面の変化について表したかったので、ちょっと不思議な感じの仕上がりになった気がします。


img196cs.jpg

下塗りに使った色鉛筆の風合いが、繊細で綺麗に思えたので、絵の具を塗らずに、これで完成にする事にしました。絵の中央の少女は、ハテナの友達の文(ふみ)です。
正面にいるハテナと、見つめ合っているイメージです。

では、これから、この絵にまつわるエピソードを、お話したいと思います------。


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ハテナの通信機に、BASE-9から、コンタクトを求めるシグナルが届いたのは、その時でした。
ハテナはビーム砲の出力をいったん落として、回線を開きました。
すぐに、聞きなれたテッペン大佐の声が、耳に届きました。
”UM-03、直ちに攻撃を中止して、BASE-9に帰投せよ。繰り返す、直ちにBASE-9に帰投せよ。”
ハテナのモニターに、テッペン大佐の姿が映りました。地球から、BASE-9を通じて送信された映像でした。
「お前は僕の最高司令官ではない。それに、お前は僕の味方でもない。」
ハテナは、通信機を通じて、自分の音声をBASE-9に送りました。
すると、テッペン大佐の横から、研究所長のシレットが顔を出して言いました。
”お前にインプットされた指令は敵が送りつけたものだ。トアル軍からのものではない。送信元を調べれば、それが分かるはずだ。”
「どこから送られようと、認証を通過した正式な命令だ。僕はそれを実行する。」
ハテナは再び、ビーム砲の照準をBASE-9に合わせました。
すると、テッペン大佐が、
”最高司令官ならここにいるぞ。任務は直ちに撤回される。”
と言って、画面を退きました。そこには、椅子に腰かけて、じっとこちらを見つめる、悲しそうな文の姿がありました。文は両手をきつく握りしめて、何か言いたそうにしていましたが、言葉にならない様子でした。

ハテナは、文の映像に、釘づけになりました。文の胸には、敵を意味するレッドフラグが灯っていました。

テッペン大佐が、文の肩を小突いて、小声でこう言いました。
「さあ、UM-03に攻撃を止めるよう命じるんだ。そして、BASE-9に帰投するように言え!」
文は、モニターに映し出された、宇宙空間に浮かぶハテナを、震えながら、一心に見つめました。ハテナは、ビーム砲を、こちらに構えて、身動き一つしませんでした。
その時、かすかに、ハテナのつぶやく声が聞こえました。それは、
「ふみ・・・ふみ・・・ふみ・・・ふみ・・・ふみ・・・。」
と、自分の名前を、機械的に呼び続けているのだと分かりました。
文は、ハテナがあまりに可哀想で、声を絞り出すように、
「ハテナ。」と声をかけました。

文の声が、ハテナの耳に届いた瞬間、ハテナの身体を、激しい稲妻のような衝撃が走りました。



つづく


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この記事へのコメント:
Kobitoさん

引き釣り込まれるような

展開にワクワク

ドキドキ((〃゚艸゚))ドキドキ

素晴らしいです

目の中に写っている描写がとても素敵です
2013/02/25(月) 19:22 | 湖の麓より
麓さん、
楽しんで頂けたようで嬉しいです。^^
この回は、ずっと書きたいと思っていたシーンなので、気持ちを込めて表現できた気がします。
目の中の描写は、思いついた形をそのまま描いたんですが、生命の芽生えのイメージだったかもしれないですね。^^
2013/02/25(月) 19:37 | Kobito
麓がBBCで働いたとき

カメラマンは白鳥の目やアイヌの酋長さんの目に映る影像を大切にしていました

なのでそのときを思い出して嬉しいです
2013/02/26(火) 21:37 | 湖の麓より
麓さん、
目って、その人の歩んできた人生を映すような気がします。
動物も、厳しい自然を生き抜いている者は、美しい中にも鋭い目をしていますよね。
ハテナの目は、何か大事なものを求めているようにも思えます。
2013/02/26(火) 23:04 | Kobito
Kobitoさん

目は確かに人の内面を表しますよね

続きが楽しみです
2013/02/27(水) 18:41 | 湖の麓より
麓さん、
目は特にそうだし、顔立ちや、手などにも、人柄が表れると思います。
自分自身が納得できるように、これからじっくり結末を考えてみますね♪
2013/02/27(水) 19:25 | Kobito
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