今日は、制作中のファンタジー、『魔法使いサキの物語3』の、第3話を書き進めてみようと思います。
挿絵の色ぬりも進めたんですが、まだ色のイメージがはっきりしないので、今回は淡く塗って、配色を確かめるだけにしておきました。
物語は、フラトの都テトで、荷物を少年に盗まれてしまったサキが、イラストの中の二人に、少年を捕まえてもらったところから再開します------。


img188 c2s

「ちくしょう!その笛をやめろ!」
少年は踊りながら、浅黄色の髪の青年に怒鳴りました。そこで、青年は笛を吹くのをやめました。急に身体が自由になった少年は、体勢を崩して、鞄を抱えたまま尻もちをつきました。
大男が、覆いかぶさるように、少年をにらみつけて言いました。
「さあ、いつまで抱えてるんだ。返せよ。」
少年は、鋭い目つきで、大男をにらみ返すと、
「盗んでない。これ、俺の鞄だぞ!」
と言いました。
大男は、確かめるようにサキを見ました。そこで、サキは、「私の鞄よ。返して。」と少年に歩み寄りました。しかし、少年は、鞄を固く握りしめて、けっして放そうとはしませんでした。
三人のやり取りを、面白そうに見ていた笛の青年が、言いました。
「じゃあ、鞄に聞いてみようよ。」
青年は、笛の先で、鞄の腹をぽんと叩きました。すると、どうでしょう、鞄の口が、ひとりでに開いて、「私はこの娘の鞄です!」と、しゃべったではありませんか!しかも、口の中から、蛇のようにのたうつ縄が、シュルシュルッとはい出して、少年の腕を、気味悪くはいのぼり始めたのです。
少年は「わあ!」と叫んで、鞄を放り出しましたが、縄は、少年の両の手首に巻きついて、あっという間に固く結びつけてしまいました。
大男は、放り出された鞄を拾うと、サキに渡しました。
そして、少年に言いました。
「さあ、行進の時間だぞ。市場をぐるっと回って、みんなに顔を覚えてもらうんだ。」
少年は逃げようとしましたが、大男が縄の先をつかんで、すぐに引き戻しました。
サキは、あらためて少年の顔を見ました。薄汚れて、目はぎらついていましたが、まだあどけなさの残る、十歳にも満たない子供でした。
サキは、大男に言いました。
「荷物が戻ったから、もう良いんです。本当に、ありがとうございました。」
「同情なんかいらないよ。こいつ、スリ集団の一味なんだ。」
笛の青年が、たしなめるように言いました。
サキは、少年のそばに寄り添って、
「生きるために、仕方なく加わっている子供も居ると聞きます。許してあげて下さい。」
笛の青年は、大男と顔を見合わせました。大男が、少年をあごで示したので、青年も、苦笑いを浮かべながら、小さく呪文を唱えました。
縄はたちどころに緩んで、少年の腕から、パタリと、道に落ちました。
「もう盗んだりしないでね。」
サキは、少年の顔をのぞき込んで、語りかけました。
少年は、プイッと顔をそむけて、足早にその場を立ち去りました。路地をまっすぐ歩んで、曲がり角まで来ると、少年はサキ達を振り返って、いきなり、
「ばけもの!」
と叫びました。
そして、あ然とするサキをしり目に、大急ぎで、角を曲がって、走り去ってしまいました。
大男は、肩を揺らして、大笑いしました。そして、
「あいつは五分もすりゃ、気晴らしに盗みを働くぞ。お前さんみたいな、お上りさんが、また格好のカモになるんだ。」
と言いました。
サキは、その通りだと思って、しょんぼりとうつむきました。
大男は、サキの風体を、じろじろ眺めてから、あらためて尋ねました。
「お前さん、魔法使いだな。テトへは、物見遊山かい。」
「魔法長官の、スナクフ様にお会いしたいんです。」
サキの答えを聞いて、男達は驚きました。
「誰かの使いなのかい?」
笛の青年に聞かれて、サキは、
「いいえ、私自身に、お願いしたい事があるのです。」
「へぇ!たまげたね。」
大男は、めずらしいものでも見るように、サキを観察しました。笛の青年も、くりくりした目で、サキを見あげながら、
「あんたは、コネがありそうな、貴族の生まれにはとても見えないな。すると、よほど高名な魔法使いの弟子なんだろう。何というお方だい?」
「カン・ソク様です。」
サキの答えを聞いて、二人は、急にはじかれたように笑い出しました。
「どうして笑うんですか?」
サキは、当惑して尋ねました。
「なんだ。本気で言ったのか。」
大男は、まだ笑いながら、
「やめとけよ。箔をつけるなら、もっと自分の程度に見合ったお方の名前を出すもんだ。」
サキは、カン・ソクが、とても有名な魔法使いらしいと、この時初めて知りました。そこで、戸惑いながら、
「私、嘘なんかついてません。」
と言いました。
「じゃあ、その師匠が、嘘ついてたんだ。可哀想に。そいつはな、カン・ソクじゃないよ。偽物だよ。」
サキは、かーっと頭に血が上るのを感じました。カン・ソクのことを、侮辱されたと思ったのです。

つづく

にほんブログ村 イラストブログへ
関連記事
拍手ボタン
コメント:
この記事へのコメント:
Kobitoさん

麓が求めていた色が

青だったと

この絵を見て

思いました

( ;∀;) カンドーシタ

感動をありがとうございます
2013/02/13(水) 21:41 | URL | 湖の麓より #-[ 編集]

麓さん、
そうか~。では、青い空と、青い海が、麓さんを癒すのかもしれないですね。
一番好きなそれらの景色を、思い浮かべてみて下さい。

暖かいそよ風が吹いています。

まっ白な、カモメが飛んでいます。

海のそばの、小さな町です。

そこで、麓さんは、幸せに暮らしています。^^

いつか、サキもその町に立ち寄ると思います☆
2013/02/13(水) 22:58 | URL | Kobito #-[ 編集]
Kobitoさん

麓は神奈川生まれ・育ちなので

浜っ子なのです

海(湘南、真鶴、葉山)で育ったので^^

うみんちゅかもしれないです(・・;)
2013/02/14(木) 17:33 | URL | 湖の麓より #-[ 編集]
麓さん、
海は良いですよね。^^
不思議な青さで、人の心を癒してくれるし、いつも私たちに、たくさんの恵みを与え、育んでくれています。
麓さんは、時々神奈川のことを話してくれますね。
大切な思い出なんだなと、いつも感じています。
2013/02/14(木) 18:18 | URL | Kobito #-[ 編集]
コメント:を投稿する
本文:
 
【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第3話|Kobitoのお絵描きブログ