今日は、『マーサのお見舞い』のお話の、後編をご紹介します。
イラストも、これで完成です。あんまり濃く塗り過ぎないように、淡い色付けで留めておくことにしたんですが、どうでしょう?
お話と、絵を見くらべて、マーサがどんな子か、あらためて想像して頂けると嬉しいです☆


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私とマーサは、路面電車に乗って、街に出る事にしました。
マーサは、路面電車に乗るのが、初めてだったので、窓の外を流れる家や、お店や、街路樹を、いつまでも飽きずに眺めていました。停車場で待っている人たちが、乗り込んで来る時は、一番の見ものだというように、窓に顔を寄せて、入口から順番に上がって来る人たちのようすを、めずらしそうに見つめていました。

私はマーサに、「『三毛猫が丘』というところで、降りるよ。」と教えました。するとマーサは、停車場に着くたびに、表札を指さして、「これ?」と聞きました。(マーサはまだ、文字が読めません。)
私は、何度か首を横に振って、緑の表札に『三毛猫が丘』と書かれた駅で、私を見あげたマーサに、「ここだよ。降りるよ。」と言いました。
私たちは、運賃箱にお金を入れてから、何人かの人と一緒に、停車場に降りました。、停車場から、少し離れたところに、大きな白い建物が立っているのが見えました。私は、マーサを連れて、車道を渡ると、商店の並ぶ通りを、その白い建物の方に、歩いて行きました。途中、店先に、色とりどりの、バラやガーベラの花を飾った花屋があったので、私はそのお店に入って、白いユリの花束を頼みました。ピンクのリボンを巻いた花束を持って、お店を出ると、マーサは、子熊のマーチを抱いているのに、ユリの花束も、持つと言い出しました。マーサは、花束を持ったことが、今まで一度も、なかったからです。私は、「マーチを私が持って、花束を、マーサが持つようにしようよ。」と提案したのですが、マーサは、「マーチも、花束持ってみたいの。」と言って、聞きませんでした。そこで、私は花束も、マーサに渡すことにしました。
マーサは、ちゃんと、マーチに花束を持たせて、両手で、マーチと花束を上手に抱いて、私の後ろを、ついて来ました。

白い建物に着くと、、私たちは、ガラス張りの広い入口から入りました。
椅子がたくさん並んだ広間の奥には、テレビが置いてあって、何人かの人が、椅子に座ってそれを観ていました。私たちは、たくさんの人が行き交う通路を歩いて、途中のエレベーターのボタンを押しました。
マーサが、「次は、私に押させてね。」
と言うので、私は、自分が子供の時も、そんな事言ったなあ、と思い出しながら、「帰るとき、手が空いていたらね。」と、約束しました。
六階まで昇って、私たちは降りました。

その階には、長い通路の両側に、いくつも部屋がありました。
私たちは、その一つに入りました。

明るい光が、窓から差し込む部屋の奥に、ベッドがあって、女の人が座って、小さな機械の画面を見つめていました。

マーサは、その人が、もうお昼なのに、パジャマのような服を着ているのを見て、ちょっと驚きました。でも、私たちに気がついたその人が、優しく笑って、
「マーサちゃん。いらっしゃい。」と言ったので、その人のそばに行きました。
「本当に、絵で見た通り、可愛いわ~。」
その人は、マーサを、麦藁帽子の上から、そっと撫でました。
「ありがとう。」
マーサは、ちょっとはにかみながら、嬉しそうにお礼を言いました。
私は、マーサに、
「疲れて、休んでいるんだ。花束を渡したら、元気が出るよ。」
と教えました。
マーサは、マーチと一緒に、花束を差し出しながら、
「元気でてね!」
と言いました。
「わー。ありがとう。本当に、元気が出るよ~!」
その人は、花束を受け取ると、それを胸に抱いて、幸せそうに微笑みました。
それで、マーサも、幸せな気持ちになって、マーチを抱きしめると、
「うふふっ」
と笑いました。

・・・これが、『マーサの初めてのお見舞いのお話』、というわけです。^^


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この記事へのコメント:
マーサに

の花束が枯れないように摩周の伏流水と

大気の香りと

そよ風を贈ります
2013/02/09(土) 17:50 | 湖の麓より
麓さん、
摩周湖の伏流水、ありがとうございます。
さっそく、マーサに言って、ガラスの花瓶に活けさせようと思います。
北海道の大気と、そよ風が吹いて、部屋がずっと居心地が良くなるに違いありません。^^
2013/02/09(土) 18:06 | Kobito
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童話「マーサのお見舞い」後編と挿絵|Kobitoのお絵描きブログ