今日は、制作中のSF小説、『ハテナ』の第6話と、新しい挿絵をご紹介しようと思います。





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この絵を見て、「あれっ?」っと思った方は、きっと、童話が好きで、色々な作品を読んでおられる方ではないかと思います。なぜなら、この絵は、サン=テグジュペリの書いた『星の王子さま』という童話の、表紙絵を、ほとんどそのまま模写したものだからです。

私は、このお話がとても好きで、今でも時々、書棚から取り出しては、好きなところから読み返したりしています。最初に読んだ時、私は結末で、思わず涙を流してしまいました。心の深い所に届いて、「君には、分かるよね。」と、何度も問いかけられた気がします。
翻訳者は内藤濯(ないとう・あろう)さんです。最近、現代作家の翻訳本が数冊出版されましたが、内藤さんの表した深い深い悲しみには、到底及ばないように感じます。
もし、これから本書を手に取ろうとされる方があれば、ぜひ、内藤さんの翻訳で読んで頂きたいです。

では、これから、この絵にまつわるハテナの物語をお話しようと思います。
星の王子さまと同じように、ひとりぼっちのハテナは、ついに宇宙に飛び出してしまう事になりました・・・。

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・・・〈星の王子さまはね、宇宙を飛んで、色んな星に行くのよ。そして、最後の星で、本当の友達を見つけるの。〉
〈星の王子さまはロボットなの?〉
〈どうして?違うよ。〉
〈だって、宇宙を旅しているのに、窒息しないから。〉
〈うふふっ、これ、本当のことじゃないのよ。お話だよ。〉
〈お話?〉
〈そう、空想ってこと。〉
〈何のためにするの?〉
〈空想?うん、楽しいからよ。〉
〈どうして楽しいの?〉
〈だって空想なら、宇宙を旅することだって簡単にできちゃうでしょ。〉------------




・・・ハテナは目を開けました。そこは、真っ暗な闇と、無数の星が散りばめられた世界でした。
ハテナは、宇宙に来たのです。空想ではない、空気も音もない本当の宇宙です。

どうやって来たのか・・・それは、こういう方法でした。
ハテナは、BIRDを手に入れた晩、すぐにトアルを離れて、内海を渡ること1500㎞の、シラン領内に入りました。
シランでは、その日、新型の気象衛星の打ち上げが予定されていました。
発射準備は夜明けから進められ、カウントダウンも定刻通りに始められました。数値がゼロを切ると、轟音とともにロケットの噴射口から飴色の炎と大量の白煙が噴き出します。
その時、発射台から、奇妙なものが飛び出して、ロケットの先端に取り付きました。それは、青い翼のある、人間のような姿をしていました。

ロケットはすでに地上を離れ始めていたので、打ち上げを中止することはできませんでした。
まっ白な軌跡を描いて、ロケットは青空の彼方までぐんぐんと上昇して行きました・・・。

今、ハテナは、ロケットから離脱して、宇宙空間を、BIRDと一緒に漂っていました。
打ち上げ中、耐熱シートで、全身を覆っていましたが、圧力と衝撃から、コンピューターの機能を回復するのに、少し時間がかかっていました。

ハテナは、視界に映るいくつかの星を、細い光の線で結びはじめました。それは、宇宙空間で、自分の位置を知るための機能でしたが、ハテナは、文から見せてもらった、星座図の通りに、その星々を、結んで行きました。
自分のまわりに、たくさんの星座を描き終えると、ハテナはこう思いました。

「僕は青い鳥と一緒に宇宙を飛んでる星なんだ。そして、僕は星座の一部になって・・・。」
ハテナは、それ以上考えられませんでした。いいえ、頭の中で、自分ではない誰かが話しているような気がしたのです。

全身の機能が正常だと確認できると、ハテナはBIRDを操って軌道を修正し、目的のスペースデブリ回収船と、いずれ接触できる高度まで移動しました。



つづく


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この記事へのコメント:
Kobitoさん

星の王子様は麓も涙して感動した本のひとつです

内藤さんの訳、さがしてみますね

ハテナのお話、なんだか涙がでてきます
頭の中で、自分ではない誰かが話しているような気がしたのです、という下りには胸がじ~んとなりました

そんな状況の中にいながらもハテナは文のことを想っている
彦星と織姫を想像してしまいました
2013/01/11(金) 21:06 | URL | 湖の麓より #-[ 編集]
麓さん、
こんばんは。
星の王子さま、すばらしい本ですよね。麓さんが読んだのは、どなたの訳だろう?

内藤さんの言葉は、全て詩の味わいが出ていて、本当に素晴らしいです。ぜひ、さがしてみて下さい。麓さんにとっても、大切な一冊になると思います。

ハテナは、とても悲しい状況ですよね。何よりも、自分の意思とは無関係に、危い方へ向かわされているというのが、辛いです。

ハテナは、文のことを、無意識に、心のよりどころにしているんですね。それは、文の無償の愛のたまものだと思います。

これからのストーリーの中で、織姫と彦星のように、二人は宇宙でめぐり会えるかもしれませんよ。^^
2013/01/11(金) 21:42 | URL | Kobito #-[ 編集]
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SF小説「ハテナ」第6話とイラスト|Kobitoのお絵描きブログ