物語の世界は、たとえ一時期遠ざかっていても、戻れば、すぐに見なれた同じ景色を私達に見せてくれるから不思議です。『魔法使いサキの物語』は、今からちょうど一年前の十二月に、主人公サキのイラストを描き始めた事で、物語も始まりました。私はその時、サキという人を、全く知らなかったわけですが、今では彼女の考えや性質がとてもよく分かります。

挿絵は、今回で四枚目です。お話は、『サキの修業時代』、『カン・ソク先生の災難』、という大きな区切りを経て、今回の『サキの大旅行』でシーズン3といったところです。


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この絵は、背景がふにゃふにゃに歪んでいるし、人物が建物に比べてかなり大きすぎると思います。^^;
でも、初めて『大都会』に来たサキが、感じている驚きや不安を表したかったので、私としてはこれで良いのではないかと思っています。

物語の中で、新しい人と出会うって、とてもスリリングな事ですよね。^^サキと話しているこの二人は、一体どんな人達なんでしょう?何だかサキが怒っているような・・・。^^;

では、今日はこの挿絵を元に、サキの旅先での様子を、お話ししたいと思います。


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サキが駅馬車を乗り継いで、フラトの都テトに着いたのは、故郷のビレジ村を出てから十五日余り後でした。
帽子のトミーの話では、この街に、尋ね人の消息を調べる秘術を会得した魔法使いが居るとの事でした。サキは、勢いで飛び出して来たものの、これまでで一番遠い外出と言えば、村からひと山越えた隣町に行ったくらいだったので、どの町を経由すれば、早く都に着けるのかなど、トミーから詳しく教わらなければなりませんでした。
トミーは、こんな世間知らずと、大陸横断の大旅行など、絶対にしたくないと思っていたので、とにかく、テトでカン・ソクの安否を確認させて、無事にしろ、そうでないにしろ、いったんビレジ村に引き返させようと思っていました。

まったく、テトは、サキが思っていた以上の大都会でした。全ての建物が空をさえぎるように高く伸びているし、頑丈な石造りの家ばかりで、藁屋根に土壁の家など、一軒もありませんでした。それに、道までが、平らな石で敷き詰められているので、サキは歩くたびに、ピョンピョン飛び跳ねているような妙な気持ちになってしまいました。

サキは、目抜き通りを行き交うたくさんの馬車や、馬が引かずに走る四角い筒のような乗り物に驚きながら、通りを渡って広場に出ると、花屋の屋台のそばの石段に腰かけて、ポケットから取り出した木箱をそっと開きました。
トミーは、木箱から出ないまま、「何か用かい?」と聞きました。
「あの、たくさんの塔は、何のためにあるの?」
サキは、家々の屋根の向こうに見える、鉛筆のように細長い塔を指さしました。
「あれは、『電気の塔』だよ。落雷のエネルギーを、あそこに貯めておいて、明かりを灯す力やなんかに提供するんだ。・・・タダじゃないがね。」
トミーは落ち着かなさそうに、目をきょどきょどさせて、いかにも早くふたを閉めろと言いたげでした。
「あれも、スナクフ様がお作りになったものなの?」
サキは、ふたを少し閉じて、隙間からトミーに尋ねました。
「そうだ。スナクフは、魔法使いの発明王と呼ばれている。この街の発展を支えている、魔法動力の多くは、そいつの考え出したものなんだ。」
サキは感心しました。先ほど見た、筒のような乗り物や、町はずれの運河で、船から荷降ろしをしていた大きな機械、あれらもやっぱり、スナクフが発明したものなのです。
そして、カン・ソクの安否を知るための魔法も、スナクフが知っているという事なのでした。
「スナクフはこの町の魔法動力を一手に管理している大物だからな。そう簡単には会えないぜ。」
トミーは、これまで道中でさんざん繰り返してきた言葉を、また口にしました。
「ええ、でも、頑張ってみるわ。私、どうしてもお会いしなければならないもの・・・。」
サキは、そう言って、広場の中央にある先王マテオの像ををぼんやりと眺めました。
トミーも、もう何も言わずに、サキが物思いにふけるのを、大人しく見守っていました。

つづく


今日は、絵の中の二人が登場する所まで書けませんでした。^^;次回は、色塗りが進んだら書いてみようと思います。
どうぞお楽しみに☆


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この記事へのコメント:
Kobitoさん

吸い込まれるような立体感のある構図
素晴らしいです

サキの不安もあるでしょうが
それよりも
街、大きな街の抱える問題
う~ん
不安点みたいのを表しているようで
すっごいな~って思いました

雰囲気はちょっと違いますが、風と共に去りぬでスカーレットは、気丈にも様々な場面をくぐり抜けていきましたよね

子どもを守ろうと思うときに、日本と海外では大きな違いがあるのご存知でした?

日本では、子どもに覆いかぶさるように敵に背中をむけますよね?
例えば、戦争で敵機が機銃掃射したとき、地面にひれ伏す時間がないとき、子どもをぎゅっと抱いて敵=敵機に背中をむけるイメージが麓にはあります

でも、海外では、例えば銃社会のアメリカで例に書くと、狙われていると感じたとき、母親は子供を自分の背中に回して、時には突き飛ばして、自分が一歩敵=銃を持っている相手に気をひきつけるように出ていくんですよね

う...ごめんなさい、またしても長くなってしまいましたm(._.)m

サキももしかしたらビレジ村を守ろうとしたのかなってふと思いました。ちなみに麓が住んでいるところは村です^^
2012/12/13(木) 20:28 | URL | 湖の麓より #-[ 編集]
麓さん、
じっくり観て、また読んでもらえて、本当に嬉しいです。^^
私は、子供の頃小倉に住んでいたから、大都市の美しい部分と、そうでない部分を、実感として理解する事ができたように思います。
スカーレットは、気丈で行動的な女性の代名詞ですよね。^^サキのキャラクターにも、少なからず影響を与えていると思います。
私は、女性が、男性に遠慮するようすが、あまり好きではないので、そうさせようとする男性側の圧力を、女性が跳ね返す絵を描くのが好きです。
サキがビレジ村を守ろうとしている、という麓さんの印象、私が想像しているお話の続きを言い当てているので、とても嬉しかったです。^^
サキは、過去に大切な友を失っているので、守らなければいけないものに対して、敏感になっているようにも思います。
2012/12/13(木) 21:04 | URL | Kobito #-[ 編集]
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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第3章・第1話 下絵完成|Kobitoのお絵描きブログ