今日は、制作を進めているSF小説、『ハテナ』の、第3話を書いてみたので公開します。このお話は、いつも私が書いている物語に比べて、人の暗い面を見詰めさせるところがあるので、嫌いな人もいるかもしれません。でも、私はこのお話に出て来る、文とハテナがとても好きです。だから、彼女たちが幸せになれるように、できる限りの努力をしたいと思っています。

なお、次のイラストは、主人公ハテナの二面性を意識して描いたイメージ画です。


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ハテナは、研究施設を出て、アケボノ高校に通い始めたとき、左の絵のような表情をしていました。そして、文と友達になり、次第に学校生活に馴染んでいく中でも、決して微笑んだ顔を見せることはありませんでした ---。
 
公園で、同級生を襲ったハテナは、彼女たちが逃げ去ると、その足で、郊外にある小さな森まで移動しました。
途中、何人かの通行人を目にしましたが、ハテナには、例外なくレッドフラグの付いた攻撃対象として映りました。しかし、ハテナは彼らを攻撃しませんでした。なぜなら、彼女のメモリーの中の、ある重要なデータに、明らかな食い違いが生じていたからです。
彼女の中で、現在の最高司令官は文たち『友達』でした。その、最高司令官が、敵として識別されている以上、彼女はうかつに、攻撃命令を実行する事ができなくなっていたのです。
ただし、彼女には、もうひとつの重要な命令が下されていました。彼女は特別な回線を開いて、作戦の実行に欠かせない、ある『道具』を手に入れることにしました・・・。

ハテナが作られ、訓練を受けていた研究施設は、テロリストの襲撃以来、閉鎖された状態でしたが、主な機能は、別の施設に移されて、研究の継続と、ハテナやAIの捜索を、間もなく開始していました。
施設の奥には、ハテナが装着して使用するための、飛行用の機械の翼が格納されていました。
肩口に二門のビーム砲を備えた、空中戦用の遠隔兵器でもあります。
ハテナがコンタクトを開始したのは、この翼でした。

施設内の研究者達は、ハテナがインターネットに接続する際の、特殊なシグナルを探知していたので、居場所などの情報を収集するとともに、全機能を停止させる命令を、ハテナに送ろうとしていました。

その時、警報音が鳴りだして、格納庫の機械の翼が駆動を開始しました。
兵士や研究者が止めようとしましたが、機械の翼はビーム砲で天井や隔壁を破壊すると、逃げまどう人々を残して、勢いよく夜空に舞い上がって行きました。

翼は、導かれるままに、低空を飛んで、やがてハテナの隠れる、郊外の森に着陸しました。
ハテナは、到着した翼を、しげしげと眺めました。
全体に、空色のカラリングを施した、美しい機体です。ハテナはこの翼で、何千回も訓練飛行を重ね、数え切れないほどの標的を撃墜して来ました。
「青い鳥。」
ハテナがつぶやきました。それは、文がいつか話してくれた、童話に出てくる鳥の名前でした。二人の幼い兄妹が、その幸せを呼ぶという青い鳥を探して、不思議の国々を渡り歩くのです。
「お前は青い鳥なのかい。」
ハテナは、再び翼に問いかけました。翼は静かに固まって、何にも答えませんでした。



つづく


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この記事へのコメント:
Kobitoさん、切ない(´;ω;`)なんだか...
自分の本当の心の内では幸せを求めているのに、やらなければならないことがある
みな誰でも経験があると思うけれど、やすらぎだけでいたい部分と責任の部分

う~ん続きが気になります

ヾ(*´∀`*)ノ
2012/12/08(土) 20:48 | 湖の麓より
麓さん、こんばんは。
ハテナという存在の切なさ、伝えることができて本当に嬉しいです。
麓さんは、ハテナにご自身を重ねてくれたんですね。ハテナも、すごく喜んでいると思います。
麓さんの果たしている責任を、気持ちの部分で、応援してあげられたら良いなと思います。
それは、自分の幸せにもつながることだと思うので。
ハテナと一緒に、私達もガンバりましょうね。^^
2012/12/08(土) 21:43 | Kobito
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