今日は、ありんこジョーとトニが活躍するオリジナル童話、「小さな幸せ」の、4枚目の挿絵を描き始めたので公開します。画像は、下絵の線画に、色鉛筆で荒く色を付けて、アクリル絵の具で背景色の当たりをつけた状態です。
物語は、今回が一つの山場だったように思います。あとは、緩やかに下りながら、きっちりとしたエンディングにつなげていきたいなと思っています。上手に山を越えられたかな?^^



壁は、登るにしたがって、おうとつが無くなって、磨かれた大理石みたいにつるつるしてきました。トニは、何度か足をすべらせながら、横穴のあるくぼみまで登りつめると、その青く照らされた暗い穴をのぞき込んで、
「ジョー!」と呼びかけました。
返事はありませんでしたが、奥の方で、何かが、「ゴソッ」っと動いたので、トニは急に怖くなって、後ろを向いて逃げ出そうとしました。
すると、ほらの入口から、青くまぶしい光が照らしつけたので、目がくらんだトニは、「わー!」と言って、後ずさりすると、そのままうしろ向きに、穴の底まで落っこちてしまいました。
ごろごろした固まりの中にうずまって、トニはしばらく身動きもできませんでした。
ぶるぶる震えながら、耳を澄ましていると、やがて、とても美味しそうな、甘い匂いがただよってきました。トニは鼻をひくひくさせながら、あたりを見回すと、お腹の上に乗った、柔らかな毛の生えた、固まりの一つを手にとって、匂いをかいでみました。
「あ、これ、『空飛ぶ幸せ』だ。」
それは、トニの大好物の、タンポポの花の種でした。
「こっちは、『花火の幸せ』だ。」
もうひとつをかいでみると、それはヒメシバの種だと分かりました。
トニはようやく、自分が、たくさんの草の種の中に、うずまっている事に気がつきました。


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すぐ横で、何かが動いたので、トニははっとして、音のした暗がりを見つめました。
そこには、ジョーが座って、皮をむいた美味しそうなススキの種を、両手で抱えて、じっとしていました。
「ジョー、何してたの。」
トニは、ジョーが何にも言わないので、怖々たずねました。
ジョーは、口いっぱいに頬張ったススキの種を、やっとのことで呑みこんでから、顔を赤くして、
「僕、食べてたの。」
と言いました。
そうです。ジョーは、あんまりお腹が空き過ぎて、トニたちの呼びかける声にも気付かずに、夢中で、草の種を食べていたのです。
トニは、種の山からはい出すと、「わーい!」と言って、トニに抱きつきました。
そして、「これみんなありんこの幸せだね。」と聞きました。
「うん、湿気ていない、上等の幸せだ。」
ジョーは、真っ白なススキの種を、半分に割ってトニに渡しました。トニは、うっとりするその匂いをかいでから、大きな口をあけて、柔らかなその角にかぶりつきました。そして、よく噛んで味わいながら、こんなにおいしい、幸せを食べたのは、生まれて初めてじゃないかしら、と思いました。
「みんな、こんなにいっぱいの幸せを見たら、おお喜びだねえ。」
「うん、お腹一杯になったら、みんなに知らせようね。」
「そうしようねえ。」
ジョーとトニは、そんなことを話しながら、自分の大好きな種を探しては、夢中になって皮をむき始めました。



つづく


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童話「小さな幸せ4」下絵完成|Kobitoのお絵描きブログ