こんにちは。今日は、制作を進めていたファンタジーイラスト、「魔法使いサキの物語」の、2枚目の挿絵が完成したので公開します。

物語も、絵の下に書いてみましたが、ちょうど絵に描いた二人が登場したので、良い区切りになったのではないかと思います。次回は新しい挿絵の構想が浮かんだら書き始める予定です。どうぞお楽しみに☆


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次に目を覚ました時、カン・ソクは、暖かい部屋の中で、ベッドに横たわって、赤茶けた木組みの天井を見上げていました。
ベッドの傍らには、サキが座っていて、カン・ソクの額を、湿らせた布で優しく拭いてくれていました。
「サキ、僕は夢を見たよ。とてもおかしな夢でね、ぼくはまた、ナップに飛ばされてしまうんだ。」
カン・ソクは、そう言って、サキを見上げましたが、次第に、頭がはっきりして来ると、その女性が、サキではない事に気が付きました。
真っ白な長い髪と、星のような青い瞳をした、年若い娘でしたが、カン・ソクは、彼女の顔立ちが、サキと見まがうほどそっくりな事に、驚くと同時に、背筋がひやっとするような恐怖さえ覚えました。
「あなたは眠らなければいけない。凍傷と、脚を骨折していて、ひどく熱も出ているから。でも、チェロは大丈夫だと言っている。」
その娘は、カン・ソクの様子がおかしいのを見て、落ち着かせるように言いました。
「チェロ・・・、僕を助けたのはチェロだったのか。そして君は、ダジーの娘のフキだね・・・。」
か細く震える声でカン・ソクが尋ねると、フキは嬉しそうにうなずきました。
「私もあなたを覚えている。あなたはとても素敵な魔法使いだった。」
しばらく見つめ合ってから、フキは席を立って、隣の部屋に行ってしまいました。
カン・ソクは、次第にうずき始めた傷の痛みと、頭のほてりのせいで、考えに集中する事ができませんでしたが、
「ただ、僕を呼んだ者が居るのは間違いなさそうだ・・・。」
と、自分に言い聞かせるようにつぶやきました。
ひどい疲れを感じて、彼は両目を固く閉じると、すぐに深い眠りに落ちました。

どのくらい時間が経ったのか、喉の渇きで、再び目を覚ますと、となりの部屋から、こんな声が聞こえました。
「・・・この吹雪では、メーベルも村までは走れない。」
それは、フキの声でしたが、相手の返事は聞こえませんでした。ところが、
「そうね・・・、ソリの修理はしておいた方がいいわ。」
と、フキは、誰かと語り合うように、やっぱり一人で話し続けているのでした。
やがて、その声も途絶えると、一人の若者が、カン・ソクのいる部屋の入り口に立ちました。それは、分厚いシロクマの毛皮を着て、アザラシの毛皮のズボンをはいた、二十歳くらいの青年でした。透き通るような青い瞳が、フキとそっくりなので、カン・ソクは彼が、フキの双子の兄、チェロだなと思いました。
チェロは、ベッドの傍らまで来て、凍った毛皮から雫を滴らせながら、カン・ソクを見下ろしました。
「助けてくれてありがとう。僕は、君のことお父さんと間違えたよ。」
カン・ソクが声をかけても、チェロは返事をしませんでしたが、何か言いたそうに、口元をゆがめたので、カン・ソクは彼が、言葉を発する事ができないのだと分かりました。
チェロの横に、フキが来て、「ヒウチゴケの煮汁を飲む?」と、器に入った赤い汁を見せたので、カン・ソクはその苦さを思い出して、思わず顔をしかめました。でも、この薬草に、凍傷を癒す効能がある事も知っていたので、「ありがとう。」と言って、包帯の巻かれた両手で受け取りました。そして、ご褒美を求める子供のように微笑みながら、「メーベルの乳も飲みたいな。」と付け加えました。


つづく

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コメント:
この記事へのコメント:
ウヒチゴケの汁とメーベルの乳飲みたいです

素晴らしいですね
2012/11/06(火) 16:01 | 湖の麓より
麓さん、こんばんは~。^^
メーベルの乳は、甘くてコクがあって美味しいですよ。トナカイみたいに大きな、私の創作した動物です。
「ウヒチゴケ」ではなくて、「火打ちゴケ」です。^^;赤い、サンゴのような苔です。ナップの、針葉樹の幹に、まれに生えています。
みんな、私の空想です。^^
2012/11/06(火) 18:26 | Kobito
Kobitoさん

火打ちゴケですね

う~んますます空想が空想を生み

ハマります

楽しみです(^○^)/
2012/11/07(水) 00:58 | 湖の麓より
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【ファンタジー小説】 魔法使いサキの物語 第2章・第5話 挿絵完成|Kobitoのお絵描きブログ