きょうは、ファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の、第14章・第4話を書き進めてみます。

前回のあらすじ
サキ達がナーグリアからの追手だと思っていたジルたちは、フラトで起きた魔法使いの革命を支持する勢力の一味でした。
ジルは、サキが持っているかもしれない『三法者の書』を手に入れるために、サキをフラトに連れ帰ると言います。

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魔法使いサキの物語
第14章・第4話「進むか、戻るか」

「あんたがカイザールだね。いつ魔法を使ったんだい。まったく気が付かなかったよ。見事なもんだ。」
ジルは言葉とは裏腹に、挑戦的なまなざしでカイザールを見上げました。
カイザールはジルが言葉を継ごうとしたその時、手に持っていたグラスの中の燃える液体をジルの顔に浴びせかけました。
「きゃっ!」
サキが悲鳴を上げ、ジルは青い炎を鼻と口から吸いこむと、うめきながら床に崩れ落ちました。
驚いたことに、気を失ったジルの肌は、見る間に赤褐色から色白の肌に変化して行きました。
レカが椅子から立ち上がって、カイザールにかけ寄って抱き付きました。
「けがはないか。」
「カイザールさん、私、上手くやったでしょう。」
レカは口を開けて舌を出し、その上に載せた穴の開いた草の種を見せました。「ああ。お前は勇気がある。」カイザールは何度もうなずきながらレカを抱きしめました。
炎が怖くて縮こまっていたサキが、ようやく気を落ち着かせて、
「さっきの液体は何だったの?」と震える声でカイザールに聞きました。
「自白剤だ。上手く調合できていたのか、自分で確かめてもらおう。」
カイザールはジルの襟首をつかんで引き起こすと、そのまま椅子にどさりと座らせました。ジルは「うーむ。」とうなりながら薄目を開けて、カイザールを見上げました。
「フラトでお前たちと連絡を取っていたのは誰だ。」
「ハウスト。」
「それが新生フラトの指導者の名前か。」
「違う。ハウストは指導者の側近だ。指導者の名前は、まだ明かされていない。」
「ふん。誰だか分からない指導者に従っているわけか。」
「誰だっていい。あたしたち魔法使いを、こんなみじめな立場から救ってくれるなら。」
「『三法者の書』は、今もスナクフ様が持っているかもしれないだろうに、どうしてサキに託したと思うんだ。」
「スナクフは、革命後、テトの王宮に舞い戻った所を捕らえられた。革命闘争をやめて、魔法使いの権利を認めるよう、アモスと交渉するようにと、指導者を説得しに来たのだ。指導者はスナクフの魔法を封じて、アモスの所在や三法者の書のありかを吐かせるために、魔法による拷問にかけた。自白剤が効かなかったからだ。その結果、スナクフはアモスの所在を知らない事や、三法者の書がすでに手元にない事を明らかにした。さらに痛めつけると、スナクフは三法者の書を、サキか、ダンケルとマイネという魔法庁の役人か、どちらかに託したことを自白した。」
「なんてむごい事を。」サキは我が事のように口を手で覆いました。
「スナクフ様は、今どうされているの?」
「人質として結界牢(けっかいろう)に閉じ込めてある。お前とダンケルとマイネをフラトに連れ戻すためだ。老体に、拷問まで受けているからな。たとえお前を連れ戻しても、それまで持つかどうか……。」
サキが言葉を継げなかったので、カイザールは、現在のテトの都の様子や、革命後の王国軍の動向などを、ジルに問いました。しかし、それらはジルの感知しない事らしく、むにゃむにゃとあいまいな返事をしただけでした。
レカは、カイザールとジルの問答が終わると、待ちかねたように、
「ねえ、この人たち、どうするの。」と聞きました。
「サキが決めるんだ。こいつらの目的は俺たちではなく、サキだったのだからな。」
サキは、「私、この人たちと一緒にフラトに戻る。」と、答えました。
レカはおどろいて、
「革命は、まだどちらが勝つか決まってないんでしょう。テトの都だって、ずっと魔法使いが治めていられるか、分からないのよ。」と注意しました。
「スナクフ様には、とても大きな恩があるの。私が戻ることでお助けできる可能性があるなら、そうするのが一番いいと思う。」
「どんな恩があるっていうの。命がけでここまで来たのに。また逆戻りするなんて。サキ、きっと途中で死んでしまうわ。」
レカはしゃべっているうちに口をゆがめて泣きそうになりました。
「スナクフ様は---」
サキはスナクフとの関係を説明しようとしましたが、その時、左手の中指に刺すような痛みを感じて、あわててその手を確かめました。
指に巻きついた透明な魔法の指輪が、白い炎の渦を描きながら、明滅するように光を放っていました。
サキは魔法庁で見聞きしたことを、スナクフから魔法で口止めされていた事を、ようやく思い出しました。
「ね、私たちと行きましょう。サキはお師匠様を助けに行かなければならないんでしょう。私、できるだけサキの役に立つわ。サキがフラトへ戻るって言った時、私すごく嫌な予感がしたの。ね、だからお願い、フラトへは戻らないで!」
レカが懇願しましたが、サキは、それでもスナクフのことが心配で仕方がありませんでした。半生をかけて、フラトでの魔法使いの地位向上を成し遂げ、王家と国家の繁栄に一生を尽くして来た誠実な人が、今、その恩恵を受けて来たであろう人々から、理不尽な仕打ちを受けているのです。どうして見て見ぬふりなどできるでしょう
その時ふと、サキは、これが自分一人で決められる問題ではない事に気が付きました。
「トミーにも意見を聞いてみるわ。もし、私について来たくないって言ったら、彼の身の振り方も、考えなければいけないし。」
サキは懐から小箱を取り出して、ふたを開けると、「話を聞いていたでしょう。どうしたらいいと思う?」と聞きました。
小箱の中では、小さくなった帽子のトミーが、いつもの通り、仏頂面でこちらを見上げていました。
「どうしたもこうしたもないね。俺は革命がおっ始まったフラトになんか戻りたくないし、ましてやカン・ソクのために最果てのナップへ行くなんて事もまっぴら御免なんだ。それに、何だって?俺の身の振り方?どうしてお前はそう、自分の勝手で俺をどうこうできると思っちまうんだい。」
「ごめんなさい。」サキはしょんぼりして謝りました。トミーはうつむいたサキを見ると、なおさらしゃくにさわったらしく、帽子のつばをパタパタ打ち鳴らしてから、
「一つ言える事はだ、スナクフはたとえ自分が死んじまうような目に遭ったとしても、お前がフラトにもどって来る事なんか絶対に望んじゃいない、って事だ。」
サキは驚いてたずねました。「なぜそう思うの?」
「考えてもみろ。魔法使いなら誰もがほしがる三法者の書を、初めて会ったお前にこっそり託したかもしれないって事は、何が何でも革命軍にそれを渡したくないって事だろう。」
「あ!」
「そして、老かいなスナクフのことだ。危険を承知で都へ戻ったのも、自分なりのもくろみがあってのことに違いねぇ。そこへお前がのこのこと帰ってみろ。お前なんかに大切な三法者の書を託さなきゃよかった、と失望させるのが落ちだぞ。」
サキは本当にそうだと思いました。ここまでの旅で、スナクフの予知や先見の明が、どれだけ自分を助けてくれていた事か。そんなすごい魔法使いが、考えなしに軽はずみな行動をとるはずがありません。
「そうだわ。私が戻ったら、かえってスナクフ様の計画の邪魔をしてしまうかもしれない。」
サキの決意が揺らぎだしたので、レカが、「そうよ。きっとそうよ。」と、急いで合いの手を入れました。
トミーが言いました。
「一番いいのは、ナップに行くなんて無謀な事はあきらめて、シンギ半島でどこか安全な場所を見つけて、そこで魔法使いであることを隠しながら、平穏に暮らして行くことだな。」
レカはいよいよ、トミーに味方して、「そうよ!私たちと一緒に暮らしましょうよ!ねえ、カイザールさん。」と、カイザールの上着のそでを引っぱってたずねました。
カイザールは、レカがすっかり、自分とホピンが一緒になるものと思っていることを知って、嬉しいやらとまどうやら、「うむ?」と妙な返事をしてしまいました。
サキは、首を横に振って、トミーを見おろすと、
「ナップにはカン・ソク先生がいて、今も誰かの助けを待っているのよ。それに、ナップへ行くことは、あなたも承知してくれたでしょう。」と聞きました。
「承知も何も、しょせん俺はお前の帽子だからな。」
トミーはつっけんどんに答えると、帽子のつばを器用に伸ばして、小箱のふたをつかむとパタンと閉じてしまいました。

つづく


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今日は、ロックンロール・ミュージックの創始者である、チャック・ベリーと、エルビス・プレスリーの似顔絵を描いてみたので、ご紹介します。


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二人がレコードデビューしたのは、1954年(エルビス)と1955年(チャック)とほぼ同時期です。
彼らの登場によって、ロックンロールはその基礎を確立し、以降のロックミュージシャンは、直接的、間接的に彼らからの影響を受けて自己のスタイルを確立することになります。

チャック・ベリーは黒人なので、肌の色もそれらしく塗ろうか迷ったんですが、参考にした写真がモノクロだったので、色のイメージが湧かず、白っぽい顔のままにしてあります。
絵全体の色のバランスや、デザイン的な観点で見てもらえると嬉しいです。





プラットホームの
木造の屋根
新式電車が居るときは
ここだけ
ひっそり
古びた感じ


DSCF4008s-.jpg


鉄道ファンなら、画像のプラットホームの屋根と、電車の一部を見ただけで、これがどこの駅だか、分かるのかな。
さすがに、難しいかな。




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