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かっぱのまちあわせ

ぼくは上戸池(じょうごいけ)のかっぱのかすけです。
きょうは、かのと遊ぶ約束をしたので、いつもの大亀岩(おおがめいわ)の上で、まちあわせです。
朝から、さらさらと、やさしい雨が降っていて、ぼくらにとっては、本当にいい天気です。
さといもの葉っぱの傘をさしているのは、雨よけではなくて、おしゃれです。
かのはいつも、待ちあわせの時、急に池からにゅうと顔を出して、「かすけさん」と声をかけるので、ぼくは毎回おどろいて、池に落っこちます。
だから、今日は、おどろかされないように、『かのがでてきて、じきに、「かすけさん」と呼ぶぞ。もうじきだぞ』と、何度も自分に言い聞かせながら、池を見おろしていました。
でも、ぼくはいつか、傘に落ちる雨の、ぱたぱたという、小気味よい音にひきこまれて、うっかり、別のことを考えていました。
『さといもの傘は、雨たちのすべり台なんだ。高い空から、傘をめがけて、たくさんの雨粒が、ぞろぞろ舞い下りて来る。うまく乗れた者は、得意にきらきら光りながら、まっしぐらに葉っぱの上をすべって行く。そうして、きちんと順番を守って、ひとつぶずつ、池に飛び込んで行くんだ』
「かすけさん」
足もとの池から、かのがにゅうと顔を出して、ぼくに話しかけたので、ぼくはたちまち飛び上がって、傘を持ったまま、ひっくり返って、池に落っこちてしまいました。

おしまい







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織部焼の器を窯で焼いて自分で作る、というのが、私の将来叶えたい夢の一つです。
織部焼は、正式な名前を、美濃焼といって、現在の岐阜県に多くの窯元がある、安土桃山時代発祥の歴史ある焼き物です。

絵付けは、白、緑、茶、黒が基本色で、他の色はあまり用いられません。

素朴で、力強く、それでいて高度な美意識に基づいた、魅力のある造形と絵付けです。

この絵は、空想で描いたんですが、文様は、夕映えに光る水田に、鷺(さぎ)が二羽たたずんでいる様子をイメージしています。

取っ手が付いているので、料理を盛るのには少々面倒な器ですが、エビのあえ物など、赤い色が鮮やかな食材を盛ると、美味しそうに見えるのではないかな、と思います。

こういう形の器を、『織部二重四方手鉢(おりべふたえしほうてばち)』といいます。
織部焼では比較的ポピュラーな器の形です。

画材:ハガキサイズのケントボードに鉛筆と色鉛筆で彩色



日本語は、オノマトペ(擬音語・擬態語)が豊富なことが、一つの特徴です。
普段何気なく使っているこんな言葉も、よく考えると、とてもユニークで面白い表現だと分かります。


うろちょろ

大きなものが歩きまわる「うろうろ」と、小さなものが歩きまわる「ちょろちょろ」が合わさった言葉。
だけど、合わさったからといって、
大きなものと小さなものが、
いっしょに歩きまわっているとはかぎりません。
(その可能性も、ありますけどね。)


    うろちょろの用例↓
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ウロとチョロの特訓(チョロはボクシングの試合で勝って、弱虫呼ばわりした仲間のねずみたちを見返したいのです。)



 きょうは、ファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の、第11章・第10話を書き進めてみようと思います。
今回のお話で、11章全体にまつわるいつくかの謎が解き明かされます。


前回までのあらすじ
サキを追って大陸を西へと向かう魔法庁の役人、ダンケルとマイネは、シェルの荒野を、マヒャライ族の少年タダニの案内で横断することになりました。
タダニは未来を予知する不思議な力を使って、二人がどう猛な獣サンバロに追われている事を告げ、サンバロを避けるために北側の谷地へと二人を導きますが、そこにはガリリ族の戦士ウルと、彼を今にも襲おうとするサンバロの姿がありました。
混乱のうちにタダニとはぐれたマイネは、サンバロに危うく襲われそうになりながら、タダニを追って谷地の底へと下りますが、そこで見たのは、気を失ったタダニと、絶命したサンバロ、そして、崖から落ちたと思われていたウルの姿でした。



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魔法使いサキの物語 第11章・第10話 『サンバロとウル』


マイネは空を向いて、高く笛を吹きました。するとやがて、それを聞きつけたダンケルが、辺りをうかがいながら、さっきの岩棚を駆け下って来ました。
マイネはダンケルに紹介しようと、ウルを見あげましたが、彼はいつの間にか、そこからいなくなっていました。けれど、マイネが先ほどの出来事をダンケルに話していると、ウルはダンケルの馬と、タダニのブーを連れて戻って来ました。
マイネの馬は、荷だけ残して、どこかへ行ってしまっていた、という事でした。
その時、タダニが小さくうめいて、うっすらと目を開けました。
タダニのそばにしゃがんだウルが、「お前のおかげで、俺は死なずに済み、サンバロを仕留めることができた。ありがとう。」と声をかけました。
タダニは安心したようにかすかにほほえんで、うなずきました。
「全部分かっていたのか?ウルとサンバロがここに来ていることや、俺たちがここで、サンバロに出くわすことになるって事も。」
ダンケルが、タダニを上からのぞき込んで聞きました。
タダニは、マイネが持ってきた皮袋から水を飲ませてもらうと、少し元気が出たらしく、
「ごめんよ。黙っているのが、一番いいと思ったんだ。」
と答えました。
「まったく、大した奴だよ、お前は。いずれ世界一の勘の達人になるぜ。いや、もう世界一なのかもな。」
苦笑して、ダンケルが言いました。
するとタダニは、困ったようにほほえみながら、首を横に振って、
「おれの勘、もうないんだ。」
と言いました。
「ないって、どうして?」
「サンバロが欲しがったから、あげてしまったよ。」
ダンケルもマイネも、これには言葉を失いました。
「お前は、未来を見通す力を失くすことを承知で、ここへ来たんだな。」
ウルがたずねると、タダニは返事の代わりに、両目をとじて、ふうっと静かに息を吐きました。
タダニがまだしばらく、起きられそうもなかったので、みんなは、人間の姿のサンバロを、砂が厚く積もった場所まで運んで、そこに埋めてやることにしました。
マイネは穴を掘り終えると、「どうしてこの人は、獣の姿になっちゃったんだい?」と、ウルに聞きました。
ウルは穴底に、男を横たえると、砂をかけながら答えました。
「サンバロは俺の幼馴染だったのだ。子供の頃に、流れ者の魔法使いに教わって以来、こいつは簡単な魔法が使えるようになった。サンバロはそのことを、ずいぶん得意にしていたのだが、だんだん、自分を特別だと思うようになり、悪い道にそれて、魔法で人をだましたり、ひどい目に合わせたりするようになった。手を焼いた族長たちは相談の上、サンバロに三年間のスルガニ(難行)を課すことにした。スルガニを乗り越えれば、九つの部族の長(おさ)という地位が与えられるが、成功した者はおろか、無事に帰って来た者さえ一人も居ないのだから、実際は罰を言い渡したのと同じだった。
サンバロは負けず嫌いで、なによりうぬぼれていたから、たった一人の身内の、幼い妹を俺に託して、勇んで出かけて行ったが、二年ほどして、人目を忍んで俺のもとを訪ねて来た時には、人相が変わるほどやつれはてて、何かにおびえたような目つきになっていた。
そして、彼はこう言った。
『スルガニは全て乗り越えた。だが、そんなことはどうでもいい事だったんだ。俺はつまらない欲望のために、俺自身を信用できないものに変えてしまった。もし、俺がすっかり変わり果てて、だれかれ見境なく傷つけるようになったなら、どうかお前の手で、俺を始末してくれ。そして、俺の妹はお前の身内として育てて、俺という兄が居たことは絶対に話さないでくれ。』
俺は彼の話の半分も理解できなかったが、あまりのせっぱつまった様子に、『分かった。約束する。』と返事をしてやるしかなかった。
サンバロは、俺の手を握って、魔法の契(ちぎ)りを結ばせた。
その契りによって、俺はサンバロが今どのあたりに居るのかを、いつでも察知できるようになった。
日が暮れて、サンバロは逃げるように荒野に去って行った。見送っていると、彼はあの、まがまがしい獣の姿に変わって、夜の闇の中を振り返ることなく消えて行った。」

つづく


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 きょうは、七夕をテーマにした3コマ漫画を描いてみたので、ご紹介します。
タイトルは、『客寄せ』です。
セリフが無いので、絵から状況を想像して、声やそれぞれの気持ちを感じ取ってもらえると嬉しいです。


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私のよく利用する電車の駅の待合室には、毎年、幼稚園児たちが作った七夕かざりが飾られます。
今年も、飾ってあったので、この漫画はそれを見て着想を得ました。

画材は、はがきサイズのネオピコボードと、タチカワのスクールG(セピア・細)という万年筆です。


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関連記事
 きょうは、久しぶりに、ファンタジー小説『忘れかけていた物語』の、第13話を書き進めてみたので、ご紹介します。
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』のような、ナンセンス童話にしたいと思って書いています。




登場人物

少女=さえ
かえる(大)=ブーン
かえる(小)=チョコ
緑の小人=グル
赤い小人=ピコ
蝶=フール
テントウムシ=ピック
樹木=トンおじさん
ロバ=ローマン
操り人形=ジョージ
猿=チャッキー
熊=リリィ
悪い魔法使い=ズル

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忘れかけていた物語 第13話 「テーブルにさえが舞い降りた」

さえは穴のふちにひざまずいて、「おーい!落着した?」と問いかけましたが、声はずいぶん深くまで響いて行って、耳を澄ましても、返事はちっとも聞こえませんでした。
「声が届かないくらい穴が深いか、もしくは、声に届けようという気がなかったんだな。」
ジョージが穴をのぞき込みながら、残念そうに言いました。
ローマンがさえの横に来て、「ぼくに乗りなよ。どんなに深くても軟“落着”できるよ。」と言いました。チャッキーがローマンの頭の上に飛び乗ると、急かすようにキーキー鳴いて、さえを手招きしました。
さえはリリィをだっこすると、「お願いするわ。でも、私ロバにもポニーにも、またがるなんて生まれて初めてよ。」
と言いながら、ローマンの背にまたがりました。
「忘れてるだけさ。自転車と同じで、一度覚えたら、乗ってるうちに思い出すよ。」
ローマンはひょいと穴に飛び込むと、泳ぐように前脚を動かしながら、木の葉みたいにひらひらと舞い降りて、首っ玉にしがみついたさえが明るさに目を細めた時には、もう穴底の広い部屋のテーブルの上に立っていました。
部屋は土を固めた黄色い壁に囲まれていて、テーブルの他にも、食器棚やクローゼットや、暖炉まである、気持ちのいい居間になっていました。
テーブルには、名前のない宝石が明々と灯ったランプに、花柄のティーポットに、六つの小皿が置いてあって、取り囲んだ椅子には、ブーンとトンおじさんとピコが、もぐらのような毛むくじゃらの二人の穴底人と並んで、緑茶の注がれたティーカップを、守るように胸に抱いて座っていました。
「はじめまして。素敵なお部屋ね。」
さえはみんなが妙に黙りこくって見上げているので、間が悪そうにあいさつしました。
「ありがとう。だけど、初対面の人がテーブルの上でロバにまたがってあいさつするなんて、いかがなものかと思うよ。」
穴底人の奥さんが、小さな目をつりあげてぴしゃりと言いました。
すると、となりの席の、よく似た顔の穴底人の旦那さんが、
「出入り口の真下が居間のテーブルというのが、そもそも具合が悪いのさ。」
と、奥さんに聞こえないように、となりの席のトンおじさんに言いました。
さえはローマンからおりて、テーブルからも下りると、
「ごめんなさい。私、軟落着する事ばかり考えて、ここがおもてなしの席上だなんて、想像もしていなかったんです。」
と言って頭を下げました。
「お前さんが乗っているのは席上じゃなくて机上だよ。それに、お行儀が二の次ってのは感心しないね。」
穴底人の奥さんはそう言ってから、「お行儀を重んじる王母さまの前だから、良い所を見せようと思って、叱っているんじゃないよ。」と付け足しました。
「もちろんです。あなたは根っからの教育家ですわ。」
ブーンが片手にティーカップを持ち、片手にチョコの入った真鍮鍋を抱えながら、鷹揚(おうよう)にうなずきました。
「私は、よその子だって、地上の子だって、遠慮せずに叱りますよ。ええ、それが責任ある大人の役目ってもんですからね。」
穴底人の奥さんは、誇らしげにツンと鼻を上向けると、熱い緑茶を一気に飲み干しました。
「王母さまだって、テーブルの上からごあいさつなさったんだぜ。その時俺たちは、昼食のじゃがいもを食ってたんだ。」
穴底人の旦那さんが、奥さんやブーンに聞こえないように、今度はさえに耳打ちしました。

つづく




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『テーブルにさえが舞い降りた』


 きょうは、オリジナルの短編童話、『きつねからのたより』を書いてみたので、ご紹介します。
この物語は、熊本地震の被災者支援にあたるボランティアの方々から着想を得ました。
ですから、この作品は、心優しいボランティアの方々に捧げます。


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きつねからのたより

ヒルコのきつねが、クアルモでききんがあったということを聞いて、友だちのくまのことを心配して、手紙を書きました。
「はいけい、くまさん。そちらはききんがあったそうですが、だいじょうぶですか。ぼくらが、ききんでこまったとき、くまさんは、ほししいたけやら、はちみつやら、じようのあるものを、たくさんおくってくださいましたね。どんなにぼくらがたすかったか、ことばにもできないくらいです。そんなくまさんが、いま、たいへんなめにあっているかとおもうと、ぼくらはほんとうに、いてもたってもいられなくなります。
みんなでもりであつめたものを、このてがみといっしょにおくりますね。ほったばかりの、やまいもや、たけのこです。
どうぞ、おたっしゃで。あきには、くまさんのだいすきな、くりのみを、どっさりおくりますからね。」
手紙を書きおえると、きつねは、それを小包と一緒につつんで、切手を貼って、郵便局で「くれぐれもよろしくおねがいします。」と言って、びっくりした窓口の人に、預けました。
というわけで、あさってには、クアルモの森のたもとで、きつねからの小包を受け取ったくまが、うれしさのあまり、片足ずつ上げて、ふっふと鼻息を吐きながら、夢中で小躍りしている姿が、見られるだろうと思います。

おしまい

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 きょうは、ナンナとブーウが登場するシリーズ童話、『ナンナとブーウのかくれんぼ』を書いてみたので、ご紹介します。
ナンナとブーウは、子猫(ペルシャ猫かな?)と犬(ミニチュアダックスフンドかな?)の仲良しコンビです。
(二匹の絵はこのブログのバナー画像にも用いています。)

このコンビが登場する作品は、できるだけ短い文章で、幼稚園児くらいでも楽しめるようなシンプルな内容にしたいと思っています。


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ナンナとブーウのかくれんぼ



ブーウは、散歩に出かけたので、ナンナは、紙袋にはい込みました。ブーウが帰った時に、おどかしたかったからです。
まもなく、散歩から帰ったブーウは、居間の紙袋を見つけて、「紙袋が落ちているよ。」と言うように、私を見あげました。
私が、「なんだろうね。」と言うと、ブーウは、「ぼく調べよう。」と、しっぽをしきりに振りながら、紙袋の中をのぞき込みました。
そして、私をふり返ると、ブーウは、「見てごらん。」と言うように、へっへと舌を出しました。
私がそっとのぞくと、紙袋の中では、待ちくたびれたナンナが、前脚を上げて、仰向けで眠っていました。
私が「寝かせとこうね。」
と言うと、ブーウは、散歩の後にいつもするように、部屋の隅に行って、水入れから水を飲みはじめました。
すると、その水音で目が覚めて、ナンナがもそもそ紙袋から出てきました。
ナンナは、眼をしょぼしょぼさせながら、ブーウのところまで行くと、ぺたりと座って、「ナンナ!」と、鳴きました。
その声は、私には、「もう、待ちくたびれちゃったじゃないの!」と、ブーウに、小言を言っているようにも聞こえました。
ブーウは、まじまじとナンナを見て、それから、私の顔を見ると、「なんのことさ?」と小首をかしげました。私は吹き出そうとするのを、こらえているのが、やっとでしたよ。

おしまい
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